
2025年3月22日と23日、京都市内の西院春日幼稚園・春日神社境内にて、モノづくり展示会・発表会の「NT京都 2025」が開催された。
この記事では、参加者の方々の楽しい展示物をご紹介しつつ、終始あたたかい空気に包まれていたNT京都の準備日に潜入した筆者のレポートをお届けする。
NT京都とは?
NTは、ネタものモノづくり「Nico-TECH」の略。2008年以来、ニコニコ動画のタグ「ニコニコ技術部」をきっかけに、ものづくりが好きな人々が集まったことにより始まった。2025年現在、京都のほか、東京や金沢などの全国各地で開催されている。
NT京都の会場は、なんと休日の幼稚園と隣接する神社の境内である。NT京都は既に10年以上の開催実績があり、会場側との信頼の証と言えるだろう。
NT京都では、幼稚園の教室はもちろん、その屋上、そして広い神社の境内の敷地をゆったりと使うことができる。そのため、比較的大規模な作品を並べることもOK。ハイテクな機械や大掛かりな装置などは、サイズが大きくなりがちかもしれないが、安心して参加できるのはありがたいポイント。
自慢の開発品がずらり
展示レイアウト
今回のNT京都では、約90のスペースに集った参加者たちが、思い思いの作品を発表した。作品には、電子工作をはじめ、プログラムやガジェットなど、その種類は様々。特にジャンルに縛りはないため、自由な発想で参加できる。
展示と合わせて、自作電子工作キットや、技術系同人誌の頒布などを行っている参加者も多い。中にはコミケに出展するなど、経験豊富な方もいる。そのため、「自分も技術同人イベントに出てみたいけど……」という初心者は、話を聞きに行ってみるだけでも面白いかもしれない。
初めに述べた通り、NTの参加者はニコニコ動画に「ニコニコ技術部」等のタグを付けて動画を投稿していることが推奨されているが、そうでなくても構わないとのこと。
初参加でも混ざりやすい、アットホームな場所

内覧会の様子
NT京都は古参勢も多いが、10年ぶりの参加者や、初めてなど、本当に色々な人たちが集まって来るそうだ。本番前日の準備日には、みんなで会場設営をするだけでなく、全参加者の作品を見て回る内覧会を行う。
この内覧会では、出展者限定で交流しながら、技術的な深い話や情報共有できるものとなっている。記録用に録画する「10秒コメント」に続いて、出展者の熱い解説、そして質疑応答が飛び交った。
普段は仕事でエンジニアやプログラマーとして活躍している人も多く参加しているため、場合によってはかなり踏み込んだ、最前線の話が聞けることも。逆に大学生の参加者が、熟練の参加者をうならせる光景も見られ、技術の世界は非常に広いと感じさせられた。
作品紹介★
ここからは、参加者の方々の素敵な作品を紹介していく。
超ハイテク 振動から発電する装置
大学発ベンチャー企業、「仙台スマートマシーンズ株式会社」の出展。なんと振動から電気を作るというソリューションで、社会をより便利にする発明品だ。文系の筆者でも感嘆するほど、この小さな装置にはすごい技術の結晶が詰まっている。
生成AIを使ってあなたをキャラクター化
その場で撮った人物の写真をChat GPTに読み込ませ、その人の特徴をとらえたプロンプトを生成。それを画像生成AIに渡すことで、ほんの数分でオリジナルキャラクターを作ることができるシステム。Image to Imageも(多分)可能。製作者はこたうち さんさん さん。
不思議な形の足の移動ロボット
足は3Dプリンターでの自作。汎用のコントローラで、ラジコンのように前後左右に動かすことができる。ロボットアニメに出てくるような洗練された見た目とシステマチックな動きで、参加者のハートを射抜いていた。多面体製作所さんの作品。
LEDを使った光のアート
自作の回路設計だけでなく、光を使った美しいものを作ろうというコンセプトの展示。ちょっとしたインテリアとして使うこともでき、シンプルながらも製作者の方のセンスが「光る」。yuzuharaさんの作品。
機械式ピンボール
Windows XPなどでおなじみのピンボールにインスパイアされたとのこと。金属製のボールが装置に当たることで、電気的な接点ができ回路が作動するなど、面白い仕掛けが満載だった。沖川 豊さんの作品。
自作ピザ窯「El-Pico」
「おいしいピッツァを手軽に食べたい!」との想いで作られたピザ窯。500度にまで加熱でき、90秒でピッツァを焼きあげられる。普通に既製品のオーブンを買った方が安上がりなのは内緒だそうだ。奥田 耕司さん設計。
新感覚忍者シューティング「XSA」
専用設計のクナイ型赤外線発信機を使い、忍者になりきって対人戦を楽しめる。体を使って楽しめるので、子供たちにも大人気だったようだ。あいらぼさんの展示。
吸水ポリマーを使ったお手軽防音装置
簡易的な作りながら、かなりの防音効果が期待できる装置。これを大きくできたら……など、実用化への妄想が膨らむ。HAL900さんの展示。
その他にも、ラーメン屋台やLEGOを使ったゴム銃、自宅精製の顔料など、三者三様で思いのこもった作品が並べられた。
来年こそは、NT京都に出展してみよう
↑たんく@ぎんなんモータースさんの初音ミクとTOMOさんのしんどいサイネージ
NT京都は経験や年齢を問わず、思い思いの作品を展示し、技術に関する話を共有できる場である。一番の魅力は趣味を通した交流にあるのではないだろうか。
作品が直に陳列されているため、参加者同士の会話が自然と発生しやすい。触って体験できる展示も多く、会場は終始笑いが絶えないあたたかい雰囲気に包まれていた。それ以外でも、内覧会をはじめ、打ち上げなどで親交を深めることができる。
全国各地でNTのイベントは開催されているものの、「京都会場ほど自由度が高く、かつのんびりしている雰囲気はないのではないか」とベテランの参加者は言う。2日間の日程を使った余裕を持ったスケジュールが組まれているので、遠方からの参加も歓迎。
去年までは一般参加者として見学していたが、それが楽しすぎて今年から展示する決心ができたという方もいた。まずは一般参加からでもいいので、ぜひ会場に足を運んでみてはいかがだろうか。
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