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『鈴木敏夫とジブリ展』レポート
- 2022/6/10
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今回は、大盛況中の「鈴木敏夫とジブリ展」にお邪魔してきました!
この展覧会は、6月19日(日)まで京都文化博物館で開催中です。
元々愛知県で始まった「言葉の魔法展」がより多くの人々に届けられるようにとリニューアルされ、京都で「鈴木敏夫とジブリ展」として開催されることになったこの展覧会。
京都文化博物館さんの所蔵している貴重な資料の数々がより一層展覧会を盛り上げています。
順番に巡っていくことで鈴木さんの幼少期から影響を受けたものや出会った多くの人物、そして鈴木さん独自の「プロデューサー」という仕事への取り組み方を知ることができ、鈴木敏夫という人物がいかにして「今まで」を生きてきたのかそして「今」を生きているのかを知ることができます。
平日で1日3800人ほどが訪れている「鈴木敏夫とジブリ展」。そのみどころはどこなのか探ってきました!
みどころ① 鈴木プロデューサーに影響を与えた人々
展示を見ていく中で、数々の人との出会いが鈴木敏夫さんの人生に大きな影響を与えたということが分かりました。
- 尾形秀雄さん:尾形さんは「アサヒ芸能」から追い出されてしまった鈴木さんに救いの手を差し伸べた当時「月刊テレビランド」の編集長に就いていた方です。尾形さんと出会ったことで鈴木さんは雑誌「アニメージュ」での第一歩を踏み出すことになっていくのです。
- 高畑勲さん
- 宮崎駿さん:「アニメージュ」という雑誌を制作していく中で鈴木さんは二人の人物に注目していきました。その人物こそ高畑勲監督と宮崎駿監督です。なんと、「変わった人だな」というのが最初の印象だったとのことです。
- 徳間康快さん:鈴木さんが「徳間康快なしにいまのジブリはなかったと言っていい」とおっしゃるほどの方で、豪快さと企画を実現させる巧みな交渉力を持っていた方です。座右の名「志 雲より高く」を体現する人だったのでは無いでしょうか。
- 氏家齊一郎さん:鈴木さんと氏家さんは当初ピリピリとした関係性でした。「ジブリ美術館」の建設を機に仲を深めていったお二人。鈴木さんにとって氏家さんはとてもウマの合う年齢の離れた友達という印象でした。
今や日本一のプロデューサーと称される鈴木敏夫さんですが、これまでの多くの転機や人との出会いを通して、様々な考え方や価値観を得てそれが過去や現在の作品制作にも役立っているのだと改めて実感出来ました。
筆者自身、徳間康快さんの「志 雲より高く」という言葉が響き、日々力をもらっています。
みどころ②: 鈴木プロデューサーの仕事の極意
次に、プロデューサーの仕事についてのコーナーを見てきました!
壁に展示されたプロデューサーとしてのこれまでの仕事の数々の中には、「え!こんなものまで!?」というものも。
展示の中にあった「プロデューサーの仕事は主に雑用だ」という言葉が特に印象的でした。
プロデューサーというと監督と肩を並べる花形のイメージがありますが、その裏には日々の雑用や地道な仕事の数々があったのですね。
そしてこちらが、壁一面を使った新聞広告の展示。
その迫力に圧倒されてしまいました…!
このような広告のキャッチコピーを考えるのも、鈴木プロデューサーのお仕事。
クリエイターと共に考え、制作に寄り添う姿勢を大切にしていたからこそ、鈴木プロデューサーはキャッチコピーまで自分で考えていたのです。
他にも興味深かったのがこちら。
これは、映画『かぐや姫の物語』の10の宣伝ポイントを実際に鈴木プロデューサーがまとめたものです。このポイントを見ると、宣伝ポイントが具体的な数字を使って示されています。
そしてこれは、映画制作の進捗をまとめた表です。
宣伝ポイントにも進捗表にも共通して言えることは、どちらも具体的で、目標や状況が「見える化」されているということです。
状況を「見える化」するテクニックは、プロデューサーの仕事としてだけではなく、スケジュール管理や目標を立てる場面などで普段から活用できそうですよね!
私もさっそく普段の生活に取り入れてみたいなと思いました!
そしてここからは、今回の取材に同行したプロデューサー志望の大学生の皆さん、そして京都文化博物館で本特別展示をご担当された森脇清隆さんからのお話をフィーチャーします。
取材にあたり開催地の京都文化博物館・施設長である森脇さんにお話を伺いました!
―『鈴木敏夫とジブリ展』の開催背景を教えてください。
宮脇さん(以下M)「今回の展示は、2018年に愛知県で開催された『スタジオジブリ 鈴木敏夫 言葉の魔法』展をパワーアップさせたものになっています。博物館でやるからには、これまでのような「テーマパーク」感を出すのではなく、お客さんに展示内容そのものを楽しんでもらえるような内容にしたかったんです。そこから鈴木敏夫さんがプロデューサーとしてどう成り立ってきたかの展示を追加し、今回のような展覧会になりました」
―鈴木敏夫さんはジブリにとってどのようなプロデューサーであるとお考えですか?
M「コピーライターと対等に仕事ができるプロデューサーだと思います。子供の頃に読んできた本や徳間書店での編集者としての仕事が言葉の力を磨いたのでしょうね。
また、鈴木プロデューサーはストーリーから作画まで、クリエイターと一緒に考え、制作に寄り添うプロデューサーです。
制作に深く関わっているからこそ、作品に合ったキャッチコピーを考えることができるのだと思います。
今回の企画展では、鈴木プロデューサーが考えたキャッチコピーや新聞広告も展示しているので、ぜひ注目して見てください」
―特に注目して見てもらいたいところはどこですか?
M「私たちは、今までの積み重なった歴史を辿って新しいものを作り出していきます。
しかし、鈴木プロデューサーが子供の頃は、今に比べてアニメがあまり作られていない時代でした。
アニメがあまりなかった時代に生まれた鈴木敏夫さんは何を養分にしてプロデューサーになったのかということをこの展示で見てもらいたいです」
今回の展覧会は鈴木敏夫プロデューサーにとって、思い入れの深い「愛知県」で開催された「言葉の魔法展」が基盤となった展覧会です。
始まりから終わりまでを辿っていけば鈴木敏夫さんの人生の一変を私たちも少しだけ覗くことができます。
京都文化博物館さん所蔵の貴重な資料の数々が展覧会を更に盛り上げ、これまでの数々の出会いや出来事が今の鈴木敏夫さんを構築し、鈴木敏夫というプロデューサーを生み出したのだと知ることができます。
途中数箇所にはフォトスポットとしてとなりのトトロや「言葉の魔法展」が基盤となったことが窺える鈴木敏夫さんの書道文字で描かれた各作品の印象的な台詞と登場人物たちが展示されています。
これらの書道文字…実は師匠という師匠さんはおらず鈴木敏夫さんが独学で学んで書いたものなんだそうです。
力強さや勢いがある一方で可愛らしさや暖かさも感じさせられる不思議な力を持つ文字だと感じました。
鈴木敏夫さんの「文字」の魅力には「宮崎駿」監督も作品の顔ともいえるタイトルロゴをお願いしてしまうほどです!
作品の持つメッセージ性を出来上がっていく段階から完成に至るまで「文字」の中にギュッと凝縮しており、「言葉の持つ力」を生で拝見することができました。
本展覧会は鈴木敏夫さんという人を知ることができるとともに、出会いというものが人生においていかに大切なものなのか、そして「言葉の魔法展」から始まったこの展覧会において鈴木敏夫さんのこれまでの人生の厚さを表現するような「文字」に本当に魔法をかけられたかのように感じるのではないかと思いました。
ジブリという作品は鈴木敏夫さんなしでは考えられないと深く思わされる展覧会であるとともに「ジブリの魔法」は鈴木敏夫さんはもちろんのことクリエーターの皆さんの「作品への深い愛」だと感じました。
最後までお読みいただきありがとうございました!
【展覧会詳細】
開催期間:2022年4月23日(土)〜 2022年6月19日(日)
※月曜休館
会場:京都文化博物館
〒604-8183 京都市中京区三条高倉
開館時間:10:00〜18:00
(金曜日は19:30まで)
※入館は閉館の30分前まで
ホームページ: https://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/suzuki_ghibli/
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