今回、京伴祭と京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)がコラボするこということで、作曲家の林ゆうきさんに色々なお話を伺いました!このインタビューでは、京伴祭を開催するにあたって、成功するチャンスを掴む秘訣や夢を追う力について語っていただきました。前編と後編がございますので、どちらもぜひチェックしてください!後編では、人生の転換期や京伴祭への意気込みをお話しいただきました。
また、最後に京まふ2023直前イベントのご案内もございますのでそちらもご覧ください。
【前編】作曲家・林ゆうき氏 京伴祭直前インタビュー(京まふ2023連携企画) | KYOTO CMEX(京都シーメックス)ポータルサイト
-林ゆうきさんが制作された作品で個人的に一番印象に残っている作品はなんですか?
『神様のカルテ2』という作品です。当時、若気の至りといいますか、生意気だったんで。(笑)短い尺の曲がほしいという監督のオーダーを全く無視して、クライマックスの音楽を作ったんです。6分か7分くらいの曲になりました。これを出したら二度と仕事が来ないか、めちゃくちゃ文句言われるか、やり直しかと思っていたんですけど、自分はそれが一番いいなと思っていました。そうしたら、その監督がすごく喜んでくれて。「想像以上のものができあがってすごい良かった」と言っていただいて。それからは、リクエストをくれる人の意見は大事にしつつ、最終的に何かを決めるときは自分の感性や直感を一番大事にするようにしています。それに気づけたという意味で、この作品が一番印象に残っています。
-林ゆうきさんの人生転換期は何ですか?
2人の大恩人に出会えたことです。1人目はHideo Kobayashiさん。僕の昔の師匠です。ダンスミュージックのプロデューサーで、男子新体操の伴奏曲もたくさん作られていました。僕が高校生の時、Kobayashiさんの作った曲で映像に合わせてアレンジを作るってこんなに素晴らしいものなんだと気付けて、後々その人に弟子入りして、音楽の基礎を教えてもらいました。Hideo Kobayashiさんが作っていた音楽に出会えたことが僕の第一の転換点になります。
もう1人は、澤野弘之さん。僕が作りたい音楽のジャンルに悩んでいるときに、劇伴の世界の最前線で、自分の理想に一番近い音楽を作ってる人でした。当時、澤野さんのホームページに問い合わせ先として本人のメールアドレスが掲載されていました。ここで送らないと後悔すると思って、「もしよかったら聞いてください」というメッセージと一緒に、自分が作った曲を送りました。絶対返事は返ってこないだろうな、と思ってたら、次の日にメールが返ってきました。ものすごく丁寧なメッセージと「すごいいい音楽だと思いました。もしよかったらうちのマネージャーと会ってみませんか」と。僕が今、日本のアニメやドラマの世界で仕事ができているのは間違いなく澤野弘之さんがいたからですし、何年か同じ事務所に在籍して、僕のデビュー作にも参加いただいたことで得られた経験は今でも大事なものです。
その2人の恩人がいないと、僕は今ここにはいないと思います。
-専門的な機関に通わず、音楽制作者を志す学生へのアドバイスが何かあればお願いします。
SNSが普及して、作曲家のまがい物みたいな人もたくさんいると思いますけど、その反面、本物と気軽にコンタクトが取れる世の中になっていると思います。昔は作曲家になりたいと言ったら、作曲家の先生の指導を受けることが当たり前だったと思いますが、今だと簡単にデモを送ったり、プロの話を聞かせてもらうことができるようになったので、作曲家になりたいって思った時に行動すればいいと思う。チャンスを逃さないように行動している人たちが今トップの最前線で仕事をしてる人たちだと思います。さっき話に出た澤野さんも、当時の事務所の社長に出会った頃、毎週デモを送って毎週会おうとしていたし、そのくらいチャンスに貪欲で、機会を失わないようにしてた、という話を聞いて、あんなすごい曲を書く人でも、そこまでストイックなことするんだと思いました。もうちょっと上手くなってから聞いてもらおう、とか思うじゃないですか。でも、上手い人たちと現場で一緒になって、あぁ今日も俺ダメだったな、と思って、泣いて帰って、社会に揉まれるしか上手くなる方法はないと思います。若い頃の失敗なんて、何も恥ずかしくないと思うので、何でもやってみればいいのに、と思うおじさんの感想です。
-京伴祭への意気込みがあればお願いします。
コロナ禍で京都に帰ってきた時に、ゴーストタウンのようになっていたのを今でも覚えています。その時、自分がやってきた音楽で地元に何かできたらいいなと思ったんです。その頃に「Spotify」で海外でよく聞いてもらっているアーティストに選んでもらって、アニメが世界中で愛されて、ファンは世界にたくさんいるという事に気付けたので、アニメの映像だけじゃなくて音楽も大事に思ってくれているんだったら、そのコンテンツで人を呼べるものが作れたらいいなって思ったんです。アニメの音楽が好きと言ってくれてる人もたくさんいることが分かったから、アニメの映像を観ながらその作品の音楽を生演奏で聴いてもらえたら、きっといいものになると思いました。それをフェスみたいにたくさんの人が出るコンテンツにして、世界中からお客さんを呼べるものにしたい、これができるのはきっと日本だけだと思いました。京都や東京で根付かせて、毎年、海外の観光客が来て観光地だけじゃなくてフェスも楽しんでもらって「日本に毎年来る理由ができた」と言ってもらえるようなものにできたらと思っています。仲間に夢物語のように話してたら、少しずつ事が運んで、去年エピソード0を上賀茂神社で、春に東京伴祭を東京で。京伴祭がもっと大きいものになるだろうと僕は信じてますし、それに対して仲間が最大限動いてますし、スタッフも一緒に動いてくれている。失敗するかもしれないけどやってみないとわからないから、ないなら作ってみようって思ってやってます。
いかがでしたか?
劇伴音楽のイメージやそれが秘める可能性を知るきっかけになったのではないでしょうか。
林ゆうきさん、インタビューにご協力いただきまして誠にありがとうございました!
<林ゆうき氏 プロフィール>
京都市北区出身(加茂川中学校、紫野高等学校、東洋大学卒業)。
元男子新体操選手、競技者としての音楽の選曲から伴奏音楽の世界へ傾倒していく。
音楽経験は無かったが、大学在学中に独学で作曲活動を始める。卒業後、競技系ダンス全般の伴奏音楽制作を本格的に開始。
さまざまなジャンルの音楽を取り込み、元踊り手としての感覚から 映像との一体感に重きを置く、独自の音楽性を築く。アニメファンを中心に海外にもファンが多く、Spotify(スポティファイ)※による「海外で最も再生された国内アーティスト(2020年)」では第6位にランキングされた。
~代表作~
NHK連続テレビ小説「あさが来た」、ドラマ「リーガルハイ」、「あなたの番です」、「真犯人フラグ」、アニメ「ハイキュー!!」、「僕のヒーローアカデミア」、「ポケットモンスター」、「ワンピース フィルムゴールド」等
<京まふ2023直前イベントのご案内>
【京まふ2023直前イベント】林ゆうき氏×島津真太郎氏対談イベント開催!~アニメの劇伴音楽が秘める可能性~ | KYOTO CMEX(京都シーメックス)ポータルサイト
<参考>
~京都国際マンガ・アニメフェア(通称:京まふ)~人気作品のブース出展や豪華声優によるステージイベントに加え、京都ならではの伝統工芸体験など、京都のコンテンツ市場の拡大を目的とした西日本最大規模のマンガ・アニメ・ゲームの総合見本市。今年12回目となる「京まふ」は、過去最多の企業・団体が出展し、話題作から新作までが一堂に京都に集結します。
開催日:令和5年9月16・17日 (土・日)
開催場所:
・みやこめっせ/ロームシアター京都(メイン会場)
09:00~17:00(17日は16:00まで) ※入場は終了の30分前まで
・京都国際マンガミュージアム(第2会場)
10:30~19:30 ※入場は終了の30分前まで
・梅小路公園(サテライト会場) ※「京伴祭」開催会場
13:00開場/14:00開演/18:45終演(予定)
入場料:公式ホームページをご参照ください
公式HP:https://kyomaf.kyoto
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