【有頂天家族】さらに長く愛される作品へ!「京都有頂天祭 糺の森感謝の集い」イベントリポート
- 2018/7/9
- マンガ・アニメ
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京都の街に暮らす、たぬきや天狗や人間の姿を描いている『有頂天家族』。
森見登美彦さんの小説を原作としてアニメ化し、第1期が2013年に、第2期が2017年にTV放送されました。第2期の放送がスタートする直前の2017年1月、下鴨家の棲み家として作中に登場する下鴨神社で、「『有頂天家族2』成功祈願!下鴨神社糺の森 たぬきの集い」が開催され、成功祈願のお祓いも執り行われました。そこで、第2期の放送を無事に終えた今、作品を長く愛してくださるファンと共に下鴨神社へお礼参りをするべく、2018年6月3日に再び下鴨神社にて「京都有頂天祭 糺の森感謝の集い」が行われました。
世界遺産・下鴨神社の舞殿をステージとして繰り広げられた、「面白き」イベントの様子をご紹介します。
下鴨神社の楼門を閉門し、このイベントに来場された方のためだけに下鴨神社の境内を使う贅沢なイベントです。舞殿の前に広がる砂利の上に椅子を設置し客席を作る、この日だけの特別な空間。「祭」という言葉がイベントタイトルになっていることもあり、浴衣姿でご来場の方もいらっしゃいました。幅広い世代に人気がある作品だけに、ご家族一緒にご来場の方も見られました。
開演時間の18時には日が沈み始め、よく晴れた青空がゆっくりと星空に変わっていく中で、イベントのトップバッターを飾ったのは『有頂天家族』のオープニングでお馴染みのmilktub!この日はmilktubのbambooさん(vo.)による『有頂天家族』のオープニング曲『有頂天人生』のライブからスタートしました。一気に会場はライヴハウスのような熱気に包まれます。下鴨神社で男性がライブを行うのはこれが初めてとのことで、かなり緊張したというbambooさん。作品の大ファンであるがゆえに、自身の結婚式を下鴨神社で執り行ったという幸せなエピソードも披露しました。「聖地巡礼」ならぬ「聖地婚礼」!作品への深い愛情が伺えます。
ライブが終わった後、この日の出演者が舞殿に勢揃いしました。井上喜久子さん(桃仙役)、能登麻美子さん(弁天役)、西地修也さん(金閣役)、畠山航輔さん(銀閣役)のキャスト4名に加えて、監督の吉原正行さん、プロデューサーの堀川憲司さん、原作者の森見登美彦さんが登壇。
昨年1月の成功祈願イベントからおよそ一年。京都特別親善大使への任命、京都の街を舞台にしたスタンプラリー、叡山電鉄とのコラボ電車の運行、ガイド付きコラボタクシーや京都伊勢丹でのポップアップストアなど、様々に展開してきた歩みを振り返ってのトークが繰り広げられました。イベント序盤から第3期への期待を語る堀川さんに対し、森見さんからは「まだ(続編は)自分の中にしかない」と執筆を始めていないことを明らかにするも「『有頂天家族』のイベントがとても楽しい。こういったイベントをまた開催するためには、僕が(続編を)書くしかない」という意気込みも聞くことができました。第2期制作にあたり、改めて京都ロケハンをした吉原さんは「原作小説の第2部は山がたくさん登場したので、ロケハンはほぼ山登りだった」とその苦労を告白。第2期のBlu-ray BOX下巻の特典映像として収録されていた「がんばれツチノコ探検隊」に森見さんがサプライズで登場されたエピソードにも触れ、「当日Twitterを見て、出町柳の駅のロッテリアで探検隊が来るのを待ち伏せしていた」という裏話も飛び出しました。ファンの方と相乗りでガイド付きタクシーに乗車し、スタンプラリーを巡ったbambooさんは「途中で(自分がbambooだと)気付かれて、タクシーの中で一曲歌った」という衝撃のエピソードを披露。「そのタクシーに同乗した方、もしかして、この会場にいますか?」という客席への呼びかけに、なんと、手を挙げる女性の方が…!まさかの、奇跡の再会を果たしたのでした。
『有頂天家族』をきっかけに京都の魅力を再発見したのはbambooさんだけではありません。能登さんもプライベートでスタンプラリーを巡り、南禅寺で、矢一郎のスタンディパネルを前に盛り上がるファンの方に遭遇したそうです。今回のイベントの前後で京都観光を満喫した井上さんは、鴨川の納涼床や実相院を訪れ、京都が大好きになったと語りました。憎らしいけど憎めない、独特のキャラクター・金閣の役作りについて聞かれた西地さんは「オーディション用のテープを作る時に、とある俳優さんをイメージして台本を読んだ。合格の知らせをもらってから初めてキャラクターの絵を見て、さらにアレンジを加えたのが今の金閣」というエピソードと共に、その「とある俳優さん」をイメージしたオーディション段階の金閣も披露。役作りの変遷をうかがい知ることができた瞬間であり、会場が大きな笑いに包まれたシーンでもありました。金閣と一緒に登場することが多い銀閣の役作りについて、畠山さんは「金閣のマネをして、金閣の台詞を繰り返すことが多いので、西地さんの演技に反応できるように準備していた」と語りました。
成功祈願のお礼として、作品の舞台になっている下鴨神社へ特大の有頂天絵馬の奉納が行われました。幅150cm、高さ100cmの巨大絵馬には、このイベントのために描き起こされた下鴨一族のイラストが。この絵馬は、下鴨神社の楼門近くに飾られます。ぜひご参拝と共に、ご覧ください。
下鴨神社からは、『有頂天家族』が下鴨神社の素晴らしさを、さらに広く紹介する機会を生んだことへの感謝状が贈られました。感謝状とともに下鴨神社・大塚権禰宜から贈られた記念品の木札には「有頂天家族3製作委員会」の文字が…。世界遺産・下鴨神社から、第3期へ向けて、力強く背中を押される形となりました。
「感謝状を頂けたのは、自分たちのおかげだ!」と主張する夷川家の兄弟 金閣・銀閣に釘をさすように、櫻井孝宏さん(矢三郎役)からのサプライズコメントが流れました。イベントに集まったファンへ感謝を述べるとともに、森見先生へ続編を期待するコメントや、矢三郎から桃仙・弁天に宛てたメッセージもあり、ファンには嬉しい内容でした。
「夷川家の爪痕を下鴨神社に残したい!」という夷川兄弟の強い希望もあり、夷川兄弟をメインにした、下鴨神社が舞台の特別エピソードの朗読劇も行われました。矢三郎と矢四郎に化けた金閣・銀閣が、化け術と声帯模写で、弁天を喜ばせようとするお話です。下鴨四兄弟だけではなく、赤玉先生や二代目、挙句の果てには、へそ石様にも化け、声帯模写をする金閣・銀閣に、会場は大盛り上がり!能登さんは朗読劇後「台本には、『弁天は全く笑わない』と書かれていたので、笑いをこらえるのが大変でした」とコメントするほど面白い特別エピソードでした。
イベントも終盤にさしかかり、出演者全員から改めてファンへ感謝の気持ちを伝えた後は、bambooさんによる『成るがまま、騒ぐまま』のライブ!夜の闇がさらに深くなっていく中、ライトアップされた舞殿で力強く歌う姿は、特別な光景でした。
ライブが終わり、イベントの締めくくりは『有頂天家族』のイベントで恒例になっている「面白きことは、良きことなり!」のコール&レスポンス。出演者の「面白きことは?」の呼びかけに、客席から「良きことなり!」の割れんばかりの唱和があり、イベントは大団円を迎えました。
第2期放送終了から少し期間が空いてのイベント開催でしたが、京都での『有頂天家族』イベントの開催を待ち望んでいたファンの熱気と、作品に深い愛で向き合う出演者との、双方の想いが実る瞬間を目の当たりにした、温かなイベントでした。京都の街を舞台にした物語は、このイベントを推進力にしてまだまだ走り続けます。ぜひ、今後の『有頂天家族』にも注目です!
©森見登美彦・幻冬舎/「有頂天家族2」製作委員会
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