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ページの中で、盤上で。響きあう二つの世界の共演【マンガとボードゲーム展】京都国際マンガミュージアム企画展レポート

2025年4月26日から7月1日にかけて、京都国際マンガミュージアムにて、「マンガとボードゲーム展」が開催されている。
この展示では、国内外の幅広い年齢層の人々から根強い支持を得るボードゲームと、ボードゲームを中心にアナログゲームが作中に登場するマンガ作品、そしてマンガとボードゲームとの関係を紹介するパネルが展示されている。
本稿では、マンガとボードゲームの関係性を知ることができるこの企画展の様子と魅力を、キュレーションを担当した京都国際マンガミュージアム学芸室の應矢さんと、BGBEのH1R0さんのお話を交えつつ、詳しくお伝えする。
マンガとボードゲームの出会い
マンガとボードゲームの共通項とは何だろうか? 実は、日本では昔からマンガとゲームは深い関係にある。
例えば、日本では江戸時代から侍やお化けなどのキャラクターが登場する双六が人気だった。戦後にもマンガやアニメのキャラクターがアナログゲームに使用され、昔から日本はゲームにキャラクターを用いる傾向にあることがわかった。
専門的な分野をテーマにしたマンガが好まれる近年では、将棋や麻雀など昔から現在にいたるまで人気のあるゲームの他、新しく生まれたボードゲームをプレイすることを中核とした作品が登場してきた。また、面白い現象としてマンガ内に登場するオリジナルのボードゲームが、私たちが遊べる形で商品化されるなど、マンガとボードゲームは様々な関わり方でお互いを高め合ってきている。
「マンガとボードゲーム、両方向からの動線や繋がりを感じてもらいたいと思ったのがきっかけですね」とH1R0さん。すると、「ボードゲームのオリジナルストーリーが原作のマンガが出ていたりする現状を知っていてもらいたいですね」と應矢さんが付け加えた。
本展では、以上のような2つの世界に共通する観点から、今日に至るマンガとボードゲームの関係性の軌跡を読み解いてゆく。
さらに、メインビジュアルには、mononofuさんのマンガ作品『天王寺さんはボドゲがしたい』より、天王寺ユリアたちが登場。会場には特大パネルも設置されているので、一緒に写真撮影を楽しもう。
ボードゲームの裾野を広げたい
本展は、ミュージアムに入ってすぐの、解放的なスペースで開催されている。「ボードゲームを知ってもらう入り口になれば」と應矢さん。
会場はマンガの本棚とゲームやパネルの展示スペースに挟まれるような形になっており、参加者は2つの世界に誘われる。その魅力的な展示方法に、思わず足を止めて見入ってしまう参加者が絶えなかった。
海外を中心に大人気の「カタン」などをはじめとしたボードゲームの実物と一緒に、作品の中でボードゲームなどアナログゲームが描写されるマンガ作品約200冊が並ぶ。それだけでなく、ボードゲーム文化の歴史や解説のパネルも展示されている。
どの展示にも非常に熱が入っている。並べられたボードゲームの数々を鑑賞し、マンガを手に取って読み、ゲームや物語の世界に深く入り込もう。
ボードゲーム・アナログさの真価
予測不可能だから面白い
PCゲームに比べて、アナログなゲームはより機敏な変化に富む。というのも、そこには乱数以外の、人間だけが生み出すことのできる、能動的な偶然さが存在するのである。
対面で人と話しながらゲームをプレイすることによって、表情から相手の意図を読み取り、リアルタイムでの駆け引きを楽しめるのは、アナログゲームならではと言えるだろう。たとえビデオチャットがどれだけ便利でも、多少の遅延は発生するし、他の人の会話に瞬時に割り込むといったことが難しい(というのは、ネットゲームをしたことのある人にならなんとなく理解してもらえると思う)。
こうしてリアルで集まらなければ遊ぶことのできないアナログゲーム特有のコミュニティーが形成されていく――まさにこれはアナログさのみが可能とする価値ではないだろうか。昨今、世界中で毎年約5,000種類のボードゲームが誕生し、日本でもボードゲームカフェが人気を集めているのも、このような理由があると考えられる。
誰もが親しめるもの
また、特にシンプルなルールで構成されるゲームや、古典的なカードなどを使った遊びは、誰もが楽しめることも魅力。
実際、妄想ゲームズ☆(H1R0さんが主宰するサークル)の「ジュラッタ」は京都市内の児童館に提供され、子供たちに遊ばれているそうだ。「私が開発したゲームをきっかけに、子供たちもゲーム作りに興味を持ってくれたら嬉しいですね。アナログゲームは小さなチームでも作ることができるので、仲間との達成感というものも味わってもらえると思います」とH1R0さん。
教育現場以外でも、アナログゲームは輝く。デジタルゲームよりも能動的な側面もあるので、子供たちにとって教育的なものであること以上に、福祉施設の就労トレーニングなどで活用されているとのこと。
修学旅行の夜にトランプで遊んだ、という経験をしたことがある人も多いだろう。このように、アナログゲームは、老若男女に多様な親しみ方を提供し続けている。
制作者とビジネス・参加者をつなぐBGBE
今回の「マンガとボードゲーム展」は、京都国際マンガミュージアムと、BGBE(Board Game Business Expo・ボドゲエキスポ)の共催となっている。
BGBEは、西日本最大級のボードゲームイベントとして、その最先端のトレンドを発信する展示会だ。2025年のイベントは既に終了したが、インターナショナルの参加者も含め、2日間で1万人が来場した。
特徴としては、各日の午前中をビジネスタイムとして設定し、日本で一般的な即売会イベントとは一味違った切り口から自分の作品を宣伝することができる点。
2026年も開催決定!
来年のBGBE(ボドゲエキスポ)は、2026年1月31日(土)と2月1日(日)の2日間、インテックス大阪3号館で開催される。
インディーズの制作者の参加や、作品を通しての交流はもちろんだが、先述の通りビジネスという面にも重きを置いている。そのため、自らのゲームの認知度を、更に大きな世界に羽ばたかせる機会となるだろう。
次回の目標は、倍の来場者2万人。まだ先の話ではあるが、今からでも新作のストラテジーを考え始めるのは早くはない。
BGBEについて詳しくはこちら。
BGBEの公式Xはこちら。
マンガとボードゲームの世界に飛び込もう

「ボルカルス」とも一緒に写真を撮ることができる
ふたつの世界の魅力がたっぷりと詰まった「マンガとボードゲーム展」。
「マンガとボードゲームの関わり方の面白さについて知ってほしい」を出発点に企画されたこの展示会は、そのふたつだけの世界を超えて、今後のサブカルチャー全般の関係性に対して問いを投げかけるものであったように思われる。
すでにボードゲームが大好きな人にとっては、歴史や最近のトレンドについて学びつつ、まだ知らない作品に出会う機会になることは間違いない。そうでない人でも、気軽に展示を見て、もし興味があれば近くのボードゲームカフェなどを訪れ、その面白さを体験してみてはどうだろうか。
京都国際マンガミュージアム
〒604-0846
京都市中京区烏丸通御池上ル (元龍池小学校)
TEL: 075-254-7414
FAX: 075-254-7424
開館時間 10:00~17:00(最終入館時刻: 16:30)
入館料 個人: 大人1200円 中高生400円 小学生200円
※休館日、開館時間は予告なく変更する場合がございますので、予めお問合せください。
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