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アニメーション監督 新海誠氏が語る「『天気の子』-物語の起点-」。第1回コンテンツクロスメディアセミナー開催報告
- 2019/11/21
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KYOTO CMEXの公式イベント:「コンテンツクロスメディアセミナー」。今年の第1回のセミナーを、2019年11月12日(火)に開催しました(於:ANAクラウンプラザホテル京都)。講師はアニメーション監督の新海誠(しんかいまこと)氏。「『天気の子』-物語の起点-」をテーマにご出演をいただきました。
まずは「この映画のテーマはどのように思いついたのか」、「きっかけやインスピレーションは何だったのか」といった、映画制作後のインタビューで聞かれることの多い“映画の着想点”に関する質問についての話題からスタート。そうした問いに対しては、紙面への配慮もありできるだけ短くまとめているものの、実際には「発想の工程を一言でお伝えすることは難しい」と語られました。
その上で、2019年7月に公開された映画『天気の子』を題材にして、物語が生まれる工程について詳しくご紹介いただきました。「映画を作るために必要なものは“テーマ“、“キャラクター“、“物語の要素“を掴むこと」と語り、テーマ(例:「少年と少女が、世界を変えること」、「調和を取り戻さない(世界が狂ったままの)物語」)を基に、どのようなキャラクターがどのような物語の要素(例:「晴れ女」「家出少年」「大人(社会)との対立」)と関係しているのかを明確にする必要がある旨を語られました。そして、「そこに至るまでに一人で半年間考える。その期間が物語の起点となる」と、アイデアやインスピレーションの断片をかき集める過程の大切さを示唆されました。
次に、実際にアイデアやインスピレーションの断片をかき集める過程を、ご自身の制作日誌をもとにご紹介いただきました。映画『君の名は。』制作中の2016年3月から、2016年8月の劇場公開を経て、2017年2月に『天気の子』の最初の企画書を脱稿するに至るまでの日誌には、2016年4月の熊本地震や同年6月の九州の記録的豪雨、10月のトランプ氏のアメリカ大統領就任などの社会のできごとや、日々のできごと、参考資料の記録などとともに、アイデアやインスピレーションの断片を記述。日誌が進むほどに断片にまとまりが出て、テーマ、キャラクター、物語の要素が生まれていく様子が伝わってきました。文字通り語り尽くせぬほどの思考・工程を経て、2017年2月にようやく最初の企画書が誕生。さらに4ヶ月半・合計8回の企画会議を経て、キャラクターや物語の要素に磨きをかけて脚本ができあがっていく過程についても併せてご紹介いただきました。
最後に、映画『天気の子』をとても多くの方が観るに至った要因については、合計2年間、約800人のプロジェクト・集団の力としながらも、その上で「半年間、テーマやキャラクター、物語の要素を掴む期間があったからできました」と語り、アイデアやインスピレーションを考え続けて、それを深めて研ぎ澄ましていく過程の大切さを改めて強調し、「少しでも参加者の皆様のヒントになれば幸いです」と、ご講演を締めくくられました。
また、ご講演に引き続いて開催された交流会でのQ&Aコーナーでは、作品に関する質問や、映画制作に関する質問など、参加者からの質問にお時間の許す限りお答えいただきました。
新海様、ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
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