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漫画家 弘兼 憲史氏 × 三田 紀房氏が語る「サラリーマンから漫画家へ―マンガ制作術」。第2回コンテンツクロスメディアセミナー開催報告

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KYOTO CMEXの公式イベント:「コンテンツクロスメディアセミナー」。今年度の2回目のセミナーを、2020年1月27日(日)に開催しました(於:京都国際マンガミュージアム)。講師は『島耕作シリーズ』などの作者、弘兼憲史(ひろかね けんし)様と、『ドラゴン桜』『アルキメデスの大戦』などの作者、三田紀房(みた のりふさ)様。お二人の対談形式でお話しいただきました。

まずは、「漫画家になるまでの流れ」についての話題からスタート。弘兼様はご退職後、失業保険受給期間中の6ヶ月で毎日映画を6~8本ほど見て勉強しつつ、雑誌への投稿を行いデビュー。三田様はご退職後、ご実家の衣料品店で店番の合間に原稿を執筆しつつ、雑誌への投稿を続けてデビューに至ったとのことでした。また、漫画家としてデビューするための行動指針として、三田様は「画力や構成力等の技術についてはプロとアマの間で明確な境界はなく、どの段階まで高めればプロの漫画家になれるということはない」、「まずは思い切ってチャレンジすることが大事」と語られました。弘兼様は「漫画家として売れるかどうかの50%は運」と語り、そのうえで「自分が編集者なら、同程度の実力の漫画家が2人いて、雑誌の掲載枠が1つ空いたときは、締切を必ず守る人や、人付き合いを大事にする人に先に連絡する」と、良好な人間関係を築くことの大切さについて語られました。

次に、漫画の制作体制についての話題に。弘兼様は10名のアシスタントを2つのグループに分け、月の前半後半で交代する体制だそうです。一方、現在2本の連載をされている三田様は、『アルキメデスの大戦』をご自身とアシスタント4名で制作し、仕上げはデジタル処理の会社に委託。『ドラゴン桜』はネームを三田様が制作し、残りの作業はデジタル作画の会社に委託されているとのこと。弘兼様が三田様に『ドラゴン桜』の制作体制について「表情については0.5ミリずれるだけで全然変わってしまうけれど、作画を任せるのは不安では?」と質問されたところ、「作画を委託するにあたっては、事前に技術指導を行い、クオリティを担保するようにしている」、「不十分な状態でもまずはスタートさせて、続けていくうちに足りないところを補えば良い」と語られました。弘兼様もその意見に同意し「常に100点満点のものを仕上げようとするのはある種の自己満足。週刊連載の締切を守るためには、クオリティと時間との折り合いをつけることも大切」と語られました。

最後に、映画やドラマなど、実写化についての話題へ。実写化の恩恵について、三田様は「実写化の出来不出来は重要ではなく、実績として残せることが大事。プロフィールを出す時に『映像化された作品がこれだけありますよ』と言えるのはありがたい」と語られました。また、実写化をする上でのシナリオの改変について、弘兼様は「脚本にケチを付け始めたらキリがないし、映画制作陣のモチベーションに悪影響があるのも良くないので、あまり突っ込まないようにしている」と語られました。このほか、出演者のキャラクターがストーリーに与える影響や、出演者のスケジュール調整にまつわるエピソード、お二人が撮影現場へ訪問する際の手土産についてなど、話題が尽きませんでした。

対談後の質疑応答では、「人間関係が苦手な人でも長く漫画家として活動している人はどのような人でしょうか?」という質問に対して、お二人より「人間関係は必ずしも必須ではないが、口下手でも誠実にこなしている人や、圧倒的に絵や話が上手い人が長く続いている」とのご回答でした。また、「漫画を書く上でどうしても譲れないことはありますか?」という質問に対しては、お二方ともに「セリフやストーリーが変わってしまうような修正は譲れない」とのご回答。最後の質問の「三田先生は漫画を書いたことがない状態からいきなり漫画家を目ざしたとのことでしたが、漫画家を目指す時にどのようなことを意識していましたか?」に対しては、「技術面で上を見たらキリがないので、『どんどん書いてどんどん出す』ことを意識して『このくらいのものを書けば入賞する』というレベルを自己判断で決めてたくさん書いた」とのご回答をいただきました。弘兼様、三田様、ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

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