
自分で開発したゲームを披露する場や企業とのマッチングの場は、ますます重要になってきている。特に京都は学生が多い街。しかし、学生にとってイベント出展はハードルが高いのも事実。そんな悩みを解決できるかもしれないイベント、「OPEN GAME FEST」が、2025年5月16日に京都コンピュータ学院 京都駅前校を会場に開催された。
このイベントは、ゲーム開発者やゲーム業界を志す学生の成長と、モチベーション向上を目的としたイベントである。会場では、特に学生などの個人や企業によるゲームの展示や試遊、トークセッションなど、様々なプログラムが実施された。当日は午前中からあいにくの雨だったにもかかわらず、会場には約700人が集まった。
様々な出展者と交流ができることはもちろんだが、スポンサーやパートナーとして来た企業の担当者と交流できることもこのイベントの魅力となっている。それに加え、トークセッションでは、実際にゲーム界の最前線で活躍する方々や企業の貴重なお話を聞くことができることも注目したい。
この記事では、本イベントの様子をお届けしてゆく。
Epic Games Japan 篠山さんのトークセッション
会場では、ゲームの展示や試遊のほか、プロの方々による貴重なお話を聞く機会となるトークセッションが開催された。
ここでは、Epic Games Japanの篠山さんによる、「リアルで大規模だけじゃない! UEで作られた世界中の様々なゲームのご紹介! アンリアルだけじゃない! Epic Gamesの様々なツール群 Epic Ecosystemのご紹介!」の様子をお届けする。
Unreal Engine(UE)は、Epic Gamesが開発するゲームエンジンであり、最新版はUE5がリリースされている。都市、自然、異世界など、多様なシーンを得意とし、シネマティックな表現を可能とする。それ以外にも、アニメ調、イラスト調の表現、また、レトロゲーム的な2D要素と最新の3Dゲームの要素を組み合わせた「HD-2D」と呼ばれる表現など、工夫次第であらゆる用途に使えるのが魅力。
もちろん様々なゲームで採用されているが、その活躍の幅は大規模だったり、小規模だったり、あるいはゲームだけに留まらない、と篠山さんは言う。というのも、個人や小規模のゲームディベロッパーは、UEのライセンス料を無料で使えるのである。また、有志による使い方やtipsの情報もインターネット上に豊富であり、初心者から上級者まで扱いやすいのもポイント。
それ以外にも、Epic Ecosystemの一環である、Quixel Magascansにあるアセットや、Metahumanでキャラクターメイクを簡単にできるので、手軽にゲーム開発をできる環境が整っている。
「開発側としても様々な人や用途でUEを使ってもらえることは嬉しく、それらのメリットを存分に活用して、個性あふれる作品が世に放たれるのを期待している」と篠山さん。
スポンサースペースの紹介
インディーゲーム開発者と交流することを目的として、様々なスポンサー企業が参加した。ここでフランクに話をすることで、自社のサービスとクリエイターの新たなビジネスが生まれることを期待できる。
ACTIVE GAMING MEDIA

ACTIVE GAMING MEDIAが携わったゲーム
ゲームのローカライズ、デバック、PRなど、ゲームに関する幅広い事業を展開している大阪の会社。聞き覚えのある、あの有名ゲームにもこの会社が関わっていることが多い、縁の下の力持ち的な存在。
今回も、自社の知名度向上だけでなく、まだ日本語でしか展開されていないような出展者のゲームを商機と考え、魅力的な作品を探しに来ているそうだ。
OSAKA INDIE GAMES SUMMIT
「関西から世界へ。」をコピーに開催されるゲームの展示・頒布会。
ビジネスデーも設定されているため、自らの自信作を知ってもらう機会になるだろう。開催は10月4日(土・ビジネスデー)と10月5日(日・パブリックデー)。参加者募集は既に受付中。公式HPはこちら。
出展作品
現在鋭意開発中や、既にリリースされたタイトルを出展者たちが持ち寄り、体験版を試遊できるブースが設置された。
Sweets & Dragons
バッキーさんが現在開発中の作品。経営シミュレーションとアドベンチャーゲームの要素を合わせた作品で、キャラクターがかわいらしいのが一番の魅力。
お店を改装してお客を集客し、お客に食べ物を提供してお金を稼ぎつつ、そのお金でお店の運営と美少女メイドアンドロイド「つばさ」の育成を楽しもう。
ゲームの制作はチームで行うことも多いが、バッキーさん一人で頑張っているそうだ。そのため、苦労することも多いそうだが、今回出展してみて「様々な人からのフィードバックを得られたことが何よりもの収穫で、モチベーションが湧いてきた」とのこと。
今後の情報は、Xで随時お知らせしていくそうなのでフォローと、Steamのウィッシュリストも忘れずに登録しておこう。
雑音系少年少女
繊細かつビビッドなビジュアルが目を惹く、謎解きアドベンチャーゲーム。MYUさんがディレクション・イラスト・シナリオを担当する。システムは親しみを感じるようなレトロさもあり、とっつきやすい。
迷宮都市「雑音スクランブルシティ」に散らばった主人公たちの記憶を取り戻していく。まるで引き込まれるかのような世界観で、筆者は会場でのテストプレイ中に没頭してしまった。
MYUさん自身の想いがたっぷりと詰まっているという、この作品の今後に目が離せない。リリースは間もなくの2025年夏を予定し、Steamでは現在体験版も遊べる。
RDの遠隔推理・#推しと異変 都市伝説編
ザグザクゲームが現在開発中のゲーム2作品。
『RDの遠隔推理』では、ゲームの中でブラウザを駆使し、キーワードを集めていくことで事件の真相に迫っていくというミステリーゲームとなっている。
『#推しと異変 都市伝説編』は、大ヒットゲーム『8番出口』にインスパイアされつつ、新たなプレイスタイルを提案するゲームだ。自らがコメント欄で推しに指示するという形で、異変を見つけよう。ステージの暗さも相まって、緊張感を煽られる作品に仕上がっていた。
どちらもリリースが待ち遠しい。最新情報はこちらのXからチェック!
Zurarararush!!!
ズラでウイルスを撃退するシューティングゲーム。独創的なキャッチコピーがひと際目立っていた。プレイヤーはミクロスーツを着たドクターとなり、ZURAをかぶって、ウイルスを倒していく。
大量の弾や爽快感のある必殺技を駆使しつつ、たくさんの種類がある「ZURA」を拾ってかぶることで、効率よく敵を倒していけるかが勝敗を分ける。
2025年第3四半期にリリース予定。体験版はSteamで利用可能なので、ウィッシュリストへの登録も忘れずに。
多々狸ミタコの因習村配信ZP
京都に拠点を置くロブスタジオ株式会社が開発する、無料のブラウザゲーム。名前の通りホラーゲームで、配信プラットフォームはこちらから。
実際に筆者も家に帰ってプレイしてみたが、ブラウザゲームという手軽さと凝った演出を両立していて、しっかり恐ろしさを感じられる内容となっていた。DL不要でできるので、時間があればぜひ一度プレイしてみて欲しい。
同社では、そのほかにも『Zombie Police』や『ODEN』などのゲームをリリースしている。ブースの写真は『Zombie Police』から。
ハンズオン
今回はご紹介できなかったが、講義形式でゲームや映像の作り方を学べる企画も行われた。
\ハンズオンのご紹介📝/
— OPEN GAME FEST (@OPEN_GAME_FEST) May 17, 2025
有難いことに全ての枠が埋まっております!
ゲーム開発未経験の方でもゲームや映像の作り方をプロから教わることが出来ますので、次回以降の参加を検討してみてください💻 pic.twitter.com/EeOxL5c8BQ
将来ゲームの道に進むための入り口として、ハンズオンを通して雰囲気を知ってみるのもいいかもしれない。
まとめ
イベントに参加する意味は何だろうか。試遊を通して他のクリエイターやユーザーと交流することで、モチベーションを高めることだけでなく、作品の露出を目的としたビジネス的な側面や、将来ゲーム分野への就職を希望する専門学生は自らのポートフォリオの一環にできるなど、メリットは多種多様なのである。
しかしそれ以上に、様々なゲームリテラシーを持つ参加者の生の意見を直接聞くことができる機会となっていることにも注目したい。開発チーム以外のフィードバックを得られる貴重な機会となるのは間違いないので、作品をよりブラッシュアップできることにも繋がるのではないだろうか。
実際、若い世代の参加が多かった。このイベントがきっかけで、ゲーム作りをしてみたくなったという方も多いだろう。実際筆者もそう思った。自分の想いを込めた作品を形にできることだけで尊いことだが、それをたくさんの人と共有できることは更に幸せだ。
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