- Home
- 京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)
- 京まふ10回記念!歴代担当者インタビュー第四弾【by立命館大学映像学部学生チーム】
京まふ10回記念!歴代担当者インタビュー第四弾【by立命館大学映像学部学生チーム】
- 2021/9/1
- 京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)
- 665
今回の開催で10回記念を迎える京まふ。京まふは、京都市と京まふ実行委員会が主体となって開催しているマンガ・アニメイベントです。そこで、京まふを支えてきた歴代の担当者様にインタビューをしました。
今回インタビューを行ったのは、2019~2020年担当の皆越さんです。
地域経済や市民のライフサイクルを支えていきたい
ーーーーー京まふが他のマンガ・アニメイベントと異なる点はどのようなところでしょうか?
「最も異なっている点は行政が主体となって運営している点です。行政の役割としては、まずクリエイター支援があります。アニメや3Dイラストの制作会社などのコンテンツ企業に京都での仕事を生みだしてもらうために、いろいろな形でクリエイターとのマッチングを行っています。京都市内には芸術系の大学が多くありますが、学生数に見合うだけの芸術系の仕事の枠が,市内に十分ではないため,首都圏で就職するケースが多いというのが現状です。ですから私たちは、京都市内のコンテンツ企業と芸大生たちをマッチングすることで、京都の芸術大学に進学した学生が,そのまま京都で就職するチャンスが増えるようなイベントを、京まふを通じて実施しています。私たちの目標は、京都で生まれ、京都で小中学校、高校に通って,京都の芸術大学に進学した人たちが、市内のコンテンツ会社に就職して、結婚して子供が生まれて……というように、京都市内でライフサイクルが完結できるようにすることです。京まふは,そこに辿り着くための一つの手段になっています。
京まふは西日本最大級のマンガ・アニメのイベントだと言われています、とはいえ,グッズ販売のみを行っているイベントではありません。文化庁の補助金や企業からの支援,そして何よりも市民の皆さんからの税金を使わせていただき開催しています。ですから,市民の皆さんの生活に還元されないと意味がないのです。イベントを開催することにより,他府県から京都に来てもらうことで、公共交通機関やその他観光地、宿泊地などにお金が回ります。人が来るということは,経済が循環するということです。ですが、京まふを開催する2日間だけでみるとそれは非常に一時的なものです。だからこそ私たちは、今後10年先、20年先を見据えた上で,京まふを実施していく必要があるんですね。
例えば、京まふの中で実施している「京都クリエイティブ企業キャリアフォーラム」、これは簡単に言うと京都市内のコンテンツ企業に絞って行っている企業説明会です。現在は20社くらいの企業にブースを出展していただいていて,参加してくださる就職希望者者の数も,昨年はコロナの影響で減ってしまったのですが、一昨年は500人を超えました。京まふの会場である「みやこめっせ」の地下では就職活動が行われてるんです。それに「マンガ出張編集部」というのもあります。これは関西圏に住んでいる漫画家志望者に自分の原稿を持ち込んでもらい、東京から来ていただく出版社の編集者に見てもらうものです。これら2つの企画はまさにクリエイター支援ですね。ここまで行政が関わっているマンガ・アニメイベントはおそらく他にはないと思います。
また,京都といえばやはり伝統産業です。伝統産業とコンテンツとのコラボ商品の販売にも積極的に取り組んでいます。これも京まふが他のマンガ・アニメイベントとの最も大きな違いですね。」
何が正解なのわからなかったんです
ーーーーー皆越さんが担当されていたときに、ご苦労されたことはどのようなことでしょうか?
2020年京まふ当日会場内の様子
「昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で本当に大変でした。一番苦労したことは、未知のウイルスに対して,何が正解なのかわからなかったいうことですかね。今もそんなに大きく変わらないと思いますが,こうしたら確実に安全という基準のない中での京まふ開催でした。しかも開催日の前日まで1万人を超える大規模イベントには規制がかかっており、解禁後初の全国規模のイベントが京まふだったんです。そのため、取材の方がたくさんお越しになられ,かなり注目を集めました。運営については,人が多すぎると感染リスクも高まるし、人が少なすぎると採算が取れなくなってしまいますから、ちょうどいいバランスをとることが難しかったですね。対策として実施したのは時間制のチケットです。同時間帯に会場に入れる人数を制限し,密にならないよう気を付けました。」
クリエイターさんにもっと支援したいです
ーーーーー京まふを開催してきたことによってコンテンツ産業やその他、京都市産業にどのような変化や影響がありましたか?
「まだまだこれからだと思います。でも,京まふで実施しているマンガコンテストには,アジア系の方が多く参加してくださっていますし,世界100か国以上から応募があるんです。それに昨年(2019年),大賞に選ばれたのは台湾の方だったんですが、台湾の蔡総統がTwitterで『〇〇さんが大賞とりました!』のように発信してくださいました。とても嬉しかったですね。このことをきっかけに,京まふの国際的認知度は高まったと思います。また,先ほどご紹介したマンガ出張編集部に持ち込みをされて、実際にマンガ家になった方もいらっしゃいます。
このように、京まふがきっかけの一つとなり,クリエイターとして活躍している方もいらっしゃいますし、コンテンツ関連の企業に就職をされている方もいらっしゃいます。とはいえ,即効性があるものではないので、継続的に実施していくことが必要なんだと感じています。」
ーーーーー今年で10回目を迎える京まふですが、更に10年後の京まふへの展望はいかがでしょうか?
「京都では7月といえば「祇園祭」です。7月の1か月間は、市内の至る所に提灯が飾られ、否応なしに雰囲気は盛り上がります。いずれは,京まふが開催される9月が、コンテンツ系のイベントで盛り上がるようになってもらいたいですね。京まふのメイン期間は2日間ですが、他の週にもコンテンツに関わるイベントを誘致・開催し、9月の1か月間は京都のまちなかに京まふの旗が飾られている、というイメージですね。そのためには、コンテンツを活用してまちを豊かにしていきたいという思いを,市民の皆さんにもっと伝えていく必要があると思います。」
コンテンツへの愛が溢れている場所
ーーーーーーーーーー最後になりますが、京まふを漢字一文字で表すとしたらどのように表現しますか?
「やはり『愛」でしょう。でも『支える」の『支」も考えられますね。京まふは様々な方からの支援のおかげで開催できていますから。」
ーーーなぜ「愛」ですか?
「京まふは,コンテンツへの愛情がたくさんある場所だと思います。来場される方は,推しキャラや好きな作品に,すごく愛情を持っていて、とてもエネルギーを感じるんです。愛がないと並ばないですよね。だから、京まふは『愛』なんだと思います。」
市民のことも考えて、「支える」ことに力を入れている京まふの優しい面を非常に感じています。未来に向けて、頑張っている京まふでした!京まふをぜひ今年もお楽しみください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
第五弾の2020年~担当者インタビューも近日投稿予定です。
「KYOTO CMEX」ポータルサイトでは、マンガ・アニメ、映画・映像、ゲーム、クロスメディアの情報を発信する京都発のポータルメディアです。SNSをフォローして掲載情報をチェック!(情報募集)