- Home
- マンガ・アニメ, 京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ), 作品紹介
- 「ブッチギレ!」監督とプロデューサーにアニメ放送直前インタビュー!
「ブッチギレ!」監督とプロデューサーにアニメ放送直前インタビュー!
- 2022/7/7
- マンガ・アニメ, 京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ), 作品紹介
- 1,661
©︎2022 「ブッチギレ!」製作委員会
7月8日(金)から放送のオリジナル TV アニメ『ブッチギレ!(一番光れ)』。
今回は本アニメの監督・シリーズ構成を務めた平川哲生氏と株式会社ツインエンジンのプロデューサー浅沼航太郎氏に、立命館大学映像学部の学生がインタビューをさせていただきました!
本アニメは、新選組幹部の替え玉に選ばれた罪人たちが京都の治安を守るために奮闘するお話。作品中には実際の新選組に関わる人がたくさん登場します!
キャラやストーリーの魅力、新選組について、キャストと OP、ED 曲のアーティスト決定までの流れなどなど!さらに『シャーマンキング』のお話も……!?
盛りだくさんの内容でお届けします!
◇
ーー初めて作品を知った時、かなりインパクトのあるタイトルだと感じましたが『一番光れ』と書いて『ブッチギレ』と読ませようと決まった背景や、エピソードがあれば教えてください。
平川監督(以下、平川):たしかにインパクトのあるタイトルですよね(笑)。オリジナル作品ということもあってタイトル案は100以上出たのですが、最終的にはツインエンジンさんが決定したという感じです。新選組の本人たちが死んでしまい、罪人たちが替え玉になるという内容なので、“本当に悪いヤツら”というよりは、もうちょっと“不良”っぽいノリでやりたいなというのがありましたね。なので“不良”っぽい「当て字」にしました。
浅沼プロデューサー(以下、浅沼):「本気」と書いて「マジ」と読むみたいな感じですよね。
平川:だから「一番光れ」と書いて「ブッチギレ」ですね。主人公の“一番星”という名前であったり、刀が光ったり、いろいろな要素が不良というコンセプトで決定しました。
ーー新選組の隊士たちでは無く、その「替え玉」にスポットを当てた理由や経緯を教えてください。
平川:新選組は何度も映像化されて、こすられすぎているだろう、というのがあって。
浅沼:史実ですけどもはやコンテンツ化していますからね(笑)。
平川:近藤勇は顔が四角い人みたいなイメージを多くの視聴者は持っていると思うのですが、そこから離れたいなというのがありましたね。「替え玉」だったらもっと自由に発想ができます。あと、アニメーションは絵にすぎない登場人物が本物のように、本当にそこにいるように感じられる表現です。にせものが本物になる「替え玉」という内容は、アニメで描くのにふさわしいと思いましたね。
ーーファンの方からの PV に対する反響はどんな感じでしたか?
浅沼:一番反響があると見てとれたのが武井宏之先生のファンの方が盛り上がってくださったことですね。狙ったところだったので良かったなと。藤堂平助が『シャーマンキング』の主人公と本当にそっくりで。武井先生に原案を描いていただいたときからずっと思っていたのですが、これ、バレるよなぁ……と。まぁ、バレましたね(笑)。キャラクターの魅力が売りの一つなので良かったです。あとは、「刀がライトセーバーみたいに光っていてなんか面白そう!」という声はありましたね。
平川:藤堂平助に関しては、すでに人気のキャラクターに似すぎていたので、少し離れるために、片目をなくしたり、顔に傷を入れたりしました。あとは海外の方々のウケが良くて、武井先生のファンは世界中にいるのだな、とあらためて思いました。
ーーどうしてキャラクターデザインを『シャーマンキング』の武井宏之先生に担当していただくことになったのでしょうか?
浅沼:『ブッチギレ!』では“少年マンガ感”を意識していたので、そのエッセンスをデザインで入れたかったんです。元々「刀が光る」「勢いのある若者たち」というコンセプトがあったので、「武井先生がぴったりでは」という話になり、依頼しました。
平川:結果的に内容にも合っていましたよね。実は“ヤンキー”というコンセプトを考えたのも武井先生だったりするんですよ。武井先生からいただいたキャラクター原案を見て、「この作品はこうなるんだ」というような新しい発見がかなりありましたね。
ーーオリジナル作品ならではの魅力を1つあげるとしたら何ですか?
平川:キャラクターのわちゃわちゃ感ですね!個性の強すぎるキャラクターたちがわちゃわちゃしているアフレコは、とても楽しかったですね。話数が進んでいくとキャラ同士も声優さんたちも打ち解けていきました。そういうところが作っていて良いなと思いましたね。視聴者の方々にも、ぜひ登場人物たちのわちゃわちゃ感を楽しんでもらいたいです(笑)。
浅沼:僕もやっぱりキャラクターですね。この作品は話数を重ねていく度にわちゃわちゃもあるし関係性の変化もたくさんあります。そういったところも見どころだと思いますね。
ーーキャラクターが魅力の一つということで、その中でもお気に入りを教えてください。
平川:全員好きなんですけど、“藤堂平助”ですかね。唯一の生き残りで、話し方もまわりと違う時代劇風ですし、難しい役どころだと思っていて……。でも声優の豊永利行さんの解釈とか対応力の凄さもあって、アニメが完成してみると私が想像していたよりもずっといいキャラになったんですよね。
浅沼:僕も藤堂って言おうとしたんですよ(笑)。別のキャラクターだと……“アキラ”かなぁ。凛々しさもありつつ、真っ直ぐで可愛らしいところもあって。他のキャラクターとの絡みも魅力的だし、ストーリーが進んでいくにつれて、女の子としてというより人間として柔らかい人になっていく姿が好きですね。
ーー声優さんの声を収録する前までの、キャラクターたちの声のイメージについて教えてください。
平川:事前に、登場人物たちの背景や性格をまとめたキャラクター・シートを作って、声優さんたちに渡しました。例えば、サイコドクターの“ソウゲン”は「人体解剖が大好きで、科学的な合理性を追求する」みたいな。そういう基本的な設定を踏まえていただいて、具体的にどういうお芝居がふさわしいかは声優さんにお任せしました。キャラクターたちの声は、元々私がイメージしていたものとバッチリ合っていましたね。ちょっと味付けを濃くはしましたけど……例えば、お坊さんの“スズラン”は「もっとあざとかわいくお願いします」みたいな(笑)。
ーー他のキャラクターについて、演じてもらう上での指示などはありましたか?
浅沼:声優さんの半数以上の方はオーディションじゃなくて決め打ちのお願いだったのですが、それぞれイメージにぴったり合っていました。キャラクター・シートを作った時には既にキャラクターの原案が完成していて、個性的なキャラが多いのは分かっていたので、癖が出せる声優さんたちで良かったなと思います。
平川:敵役の“羅生丸”のキャストの八代拓さんは、オーディションで元々一番星の演技をされていたのですが、その時からもう羅生丸のイメージぴったりの声だったんですよ。なのでもう羅生丸のオーディションはせずに、決め打ちでお願いしましたね。あと“ギャタロウ”はもう高木渉さんがやりたい放題やってくれたので、私としてはOKにするしかなかった(笑)。ただ本当に声優さんたちが達者な方々で、キャラクターの解釈も確かなもので、私たちからお芝居の大きな変更の指示はしていないです。
浅沼:収録のリテイクも少なかったですよね。
平川:ほぼ無かったんじゃないですか?一番星の声が大きすぎて、音が割れてリテイクしたくらいだったような(笑)。
ーーOP曲を西川貴教さん、ED曲を自象存在name-lessさんが担当されていますが、どのようにして決定したのでしょうか?
浅沼:『ブッチギレ!』はオリジナルアニメで、ヤンキー・アツさ・勢いといったアニメのコンセプトに沿った曲が良かったので、OP曲に関しては西川さんがドンピシャでしたね。
平川:叫べる感じが良いですよね。
浅沼:あと今作はアイデンティティーを貫き通したキャラクターたちが多く登場するので、「若者の叫び」みたいなものをED曲で表現できればいいなと。こういった経緯で今回は、若手のヴァーチャルシンガーである自象存在name-lessさんにお願いしました。
平川:反骨精神を持った若者っていう感じがして良かったです。
浅沼:OP曲もED曲もBPMが高くてノリノリな曲なので、『ブッチギレ!』で求められている“勢い”などの要素にハマったなと感じます。
ーー「替え玉」が多く登場する新しい新選組を描く上でどのようなことを工夫されましたか
平川:新選組について詳しく調べていくうちに、新しく付け加える要素が無いほうが新選組らしいなと思いました。今の人々が思うような“新選組っぽさ”がない方が新選組っぽいというか。なので「替え玉新選組」はみんな現代的な考えなのですが、主要メンバーで唯一の生き残りである“藤堂平助”だけが古い価値観の中で生きている武士なんですよね。今作においてこの対比が結構良いのかなと思います。
ーーキャラクターのわちゃわちゃ感が強いというお話がありましたが、アニメの内容ではコメディ要素が多いのでしょうか。
浅沼:僕も監督に聞いてみたいです。監督は絵コンテもシリーズ構成も脚本もご担当されたじゃないですか。これはどれくらい意識していたのか気になります。
平川:多分脚本だけを読むとこれは結構シリアスで暗い話なんですよね。ただ完成映像を見るとがちゃがちゃしているんです。コメディにできるなというところがあればガンガン入れたので、企画段階では入っていない軽いノリと明るいトーンが入っています。詳しくはぜひ観て下さいという感じです!
ーーネタバレにならない範囲でおすすめのシーンを教えていただきたいです。
浅沼:全体を見るとやっぱりチームビルドですね。バラバラの奴らがまとまっていくというか。
平川:当初はこういうキャラクターだと思っていたら、話数が進んでいくと違う面が見えてくる展開があります。いい加減な奴かと思いきや、実は人間をすごくよく見ていて深く考えているとか。ある瞬間から違う面が見えて、深みが増してくるというところがおすすめですね。
ーー作品名である『ブッチギレ!(一番光れ)』にちなんで、ご自身が一番光っていると思ったとき、または「ブッちぎっている」と思われる点はなんですか?
平川:誰が考えたんですか、この質問(笑)。そうですね……自分が一番光っているのは働いているときです。アニメ関係者はみんなそうかもしれないですが、ぎょっとするほど長い労働時間です。一番光ってないとも言えるし、光っているとも言える(笑)。仕事してないと私はたぶん生きてないのと同じなんでね。
浅沼:僕はプロデュース側として一番大変だなと思うのが、いろんなタイプの人とお付き合いすることです。どこかで不慮の事態が起こると自分にしわ寄せが来たりするんですよ。なので、僕が一番光っているのは精神的耐久性ですね(笑)。
ーーそれでは最後に、視聴者の方へ一言をお願いします!
浅沼:この作品は勢いとかノリを重視している、暑い夏にピッタリな熱い作品です。いろんな面白みのある作品です。キャラの中で推しを見つけるでもいいし、幕末の動乱を生き抜いた人の熱さを追うでもいいし、人間の関係性の変化、人間ドラマを追うでもいいですし。見方がたくさんあって、誰しもが楽しめる作品です。個人的には全部見た後に、そういえばあんな楽しい奴いたなと思えるような明るい作品なのでぜひ楽しみにしておいて下さい。
平川:『ブッチギレ!』は、キャラクターのわちゃわちゃが好きとか、あとは歴史物が好きな人にも結構引っかかるフックがあったりします。実在した新選組に関わる人物はほとんど登場するので、新選組マニアが観ると「おっ、これを再現するとは!」なんて面白さがあるかもしれません。たくさんの要素がごちゃまぜになっていて、どんな方が見ても、自分が何を楽しもうとしているのかがあらためて発見できる。そういう意味で『ブッチギレ!』は鏡のような作品だと思います。
◇
平川監督、浅沼プロデューサー、ありがとうございました!
たくさん見どころがあって放送が待ちきれないですね!
アニメ『ブッチギレ!』は 7月8日(金)22時30分から放送開始予定です!
ぜひご覧ください!!
『ブッチギレ!』公式サイト
株式会社ツインエンジン公式サイト
「KYOTO CMEX」ポータルサイトでは、マンガ・アニメ、映画・映像、ゲーム、クロスメディアの情報を発信する京都発のポータルメディアです。SNSをフォローして掲載情報をチェック!(情報募集)