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「八雲幻想祭第九幕SNS」イベントレポート――すべての参加者がひとつになれる場所、同人誌即売会の現在

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2025年3月9日、ようやく京都の厳しい冬も明け始めたころ、京都市勧業館みやこめっせにて、「八雲幻想祭 第九幕 SNS(スキマ・ナインテール・すぺしゃる)」が開催された。

この記事では、準備から閉会まで密着取材を通して筆者が感じた、同人誌即売会の現状とその奥深さについて、参加者やスタッフの声と共に迫ってゆく。

「八雲幻想祭」とは?

八雲幻想祭は、弾幕シューティングゲーム『東方Project』に登場するキャラクター、「八雲紫」・「八雲藍」・「橙」に焦点を当てた同人誌即売会、いわゆる「オンリーイベント」である。毎夏冬の風物詩として有名な「コミックマーケット」などとは違い、特定のキャラクターを主に取り上げ、参加者を募っているのが特徴。

ちなみに、同人誌の世界は奥深く、キャラクターの数だけ需要があると言える。今回は3名のキャラクターだが、場合によっては1人のキャラクターなどのオンリーイベントも開催されることがあるが、それでも参加者は絶えることがない。

スタッフはボランティア精神で

準備を終え、整然と机と椅子が並ぶまでの様子

同人誌即売会の特徴の一つとして、そのボランティア性が挙げられるだろう。八雲幻想祭だけでなく、様々な同人誌即売会でスタッフ経験のあるベテランから、若手の方々までが責任感を持ちつつも楽しそうに任務に当たっているのがとても印象的だった。

「東方Projectって、大分昔から(東方紅魔郷のリリースは2002年)あるので、割と年齢層が高めだったりするんですけど、若い人たちも来てくれてほんとに助かってます」と、ベテランスタッフは言う。

会場の設営は、ボランティアのスタッフによって行われる。サークル入場は10時半、一般入場は12時からだが、スタッフは朝8時半に集まり、準備を開始する。同人誌即売会に必須の椅子や机の搬入はもちろん、音響や荷物整理など、確認するべきことは多い。

作品やキャラクターを愛していることはもちろんだが、スタッフ同士の間で生まれる絆もイベントの成功の鍵だ。

「知ってる人たちも多くて、半分オフ会みたいな感じですよね。もちろん円滑に運営することも大切なんですけど、それだけじゃなくて友達と話をしに来てるって言うか(笑)。まるで大人の文化祭って感じで……ってのも過言じゃないですよ」と、スタッフの一人が汗をぬぐいながら教えてくれた。

一般参加者を迎えるために

午前10時半、サークル入場が開始。オープンを待ち望んていたサークル参加者が、大きな荷物を持って一斉に会場に入ってきた。今回の「八雲幻想祭 第九幕 SNS」では、80スペースが用意され、サークル参加者は思い思いの頒布物を持ち込んだ。

入場開始から30分程度で自分のスペースの同人誌などを並べ終えたサークルの方々は、周りと談笑するなどして賑やかになるだけでなく、たくさんの頒布物が陳列されることで会場は一気に華やかな雰囲気が出てきた。

開会を前に、挨拶をする代表

これこそが同人誌即売会でよく見る風景だが、朝早くの何もない会場の景色を見てきた筆者にとっては、とても感動的な体験だった。見本誌(運営が内容をチェックするために全頒布物を集める)や椅子の数など、一般入場者を迎える前に確認するべき事項を全て終え、後はその時が来るのを待つだけとなった。

作品が大好きや、イベントを盛り上げたいという気持ちがあれば、誰でも大歓迎。今回の八雲幻想祭の最年少参加は、家族と一緒に来た5歳の女の子だった。スタッフ参加、サークル参加、一般参加など、性別や年齢に関係なく様々な関わり方ができるのも同人誌即売会の魅力と言えるだろう。

いざ開場

腕を上げ続々と入場する一般参加者たち

参加者全員が協力しあい、スケジュールはオン・タイムで進行していく――この間に、一般参加者も待機列の形成を始め、正午ちょうどの代表の挨拶の後、一斉に一般入場が始まった。

会場の待機場所には、約70名程度が列を作っていたという。彼らが腕を上げているのは、コロナ禍以降主流となってきた入場券代わりとなるリストバンドを、スタッフに見えるようにするためだ。今回の八雲幻想祭では、リストバンドの他にカタログ(参加サークルなどの情報がまとまった小冊子)が頒布された。

最近ではカタログが入場券を兼ねるという従前のスタイルに戻す同人誌即売会もある中、八雲幻想祭ではハイブリッドな方法を採用。賛否はあるらしいが、スタッフの方曰く、「リストバンドのほうが確認しやすいような気がします」そうだ。

カタログとリストバンド

コスプレエリアも大盛況

左から 八雲藍 橙 八雲紫

左から 八雲藍 魂魄妖夢 十六夜咲夜 霧雨魔理沙

同人誌即売会の楽しみといえば、コスプレもその一つだろう。八雲幻想祭でももちろん、更衣室と専用のコスプレエリアを完備し、撮影や交流を楽しむことができた。「撮影もいいんですけど、知り合いに会いに来ました……あ、でもコスプレしてると誰かわからないや。声で判別してますね(笑)」と参加者。

イベントの終盤では、コスプレをした全員で集合写真を撮る八雲幻想祭恒例のイベントも行われ、代表も一緒に参加。カメラマン・コスプレイヤー共に笑顔が絶えず、会場は即売会エリアにも劣らない盛り上りをみせた。

★写真撮影に協力してくださった方々、どうもありがとうございました:D

次回開催を熱望され困惑する主催

ここまでお読みになればわかるように、同人誌即売会を主催するのは相当な精神力が必要だ。作品への深い愛、そして何より、たくさんの人を集められる人望がなければ、決して成功はないだろう。ここまでの楽しいイベントを企画し、運営されてきた主催の田村さんはじめ、スタッフ、そして全ての参加者に最大限の敬意を払いたい。

じゃんけん大会の目玉 主催の寄贈によるキービジュアルの布ポスター

即売会終了後のアフターイベントでは、参加サークルが寄贈していった直筆イラスト色紙やグッズなどのじゃんけん争奪戦が行われた。ほとんどの人たちが帰らずに参加し、こちらも大盛況。途中、作品を寄贈したサークルからのメッセージに次回開催を熱望するコメントが多々あり、会場は代表を呼ぶシュプレヒコールに沸いた。

代表の田村さんいわく、八雲幻想祭公式Xをチェックしていると、そのうちいいお知らせがあるかも……とのこと。

同人誌即売会に行ってみよう

「同人誌即売会」――その名前を耳にしたことがある人や、ニュースで断片的に取り上げられた内容を知っている人は多いかもしれない。しかし、実際にどのようなことが行われているのかが分からず、参加を敬遠している人は少なくないように思われる。この記事が、既に同人誌即売会に関わったことのある人はもちろんだが、そうでない人にとっても、それが楽しいものであるということを伝えられる一助になれば幸いに思う。

八雲幻想祭以外にも、様々なジャンルの同人誌即売会が行われている。SNSなどで情報を仕入れるのもいいが、会場には他イベントのチラシが置いてあるし、何よりほかの参加者からの情報も得やすいのが魅力。

2025年の京都府下で開催される同人誌即売会は以下のようなイベントがあるので、併せて要チェックだ。このような文化が未来に引き継がれてゆき、様々な人が楽しめるものであるよう願うのは、筆者だけでなく、同人誌即売会を愛する全ての人の想いである。

名称 日程 会場
舞鶴合同祭1 3月20日 舞鶴赤レンガパーク
サンライズクリエンション 2025京都春 4月5日 みやこめっせ
Iris Projection Triangle Link(アイドルマスターシャイニーカラーズ同人誌即売会) 6月8日 みやこめっせ
往古のゆかり(東方Project 鬼伝説&秘封倶楽部同人誌即売会) 8月30日 ガレリアかめおか
文々。新聞友の会(東方Project 射命丸文とゆかいな仲間たちオンリー同人誌即売会)
科学世紀のカフェテラス(東方Project 秘封俱楽部オンリー同人誌即売会)
11月22日 みやこめっせ(共催)

八雲幻想祭公式HP: http://www2.mahoroba.ne.jp/~natural/gensosai.html
公式X: https://x.com/yakumogensousai

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雨森ライター

投稿者プロフィール

京都歴22年目。KYOTO CMEXの一員として、地元目線から〈マンガ・アニメ、映画・映像、ゲーム、クロスメディア〉の最新情報を発信します。

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