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長い線路の上を、一緒に地下鉄に乗ってこれた感謝。思い出の地、VOXビルで感動が蘇った一夜【地下鉄に乗るっ アニメーション展】オープニングイベントレポート

「地下鉄に乗るっ」が登場してから、もう10年以上の時が経ったという事実に驚きだ。
2025年5月24日、FRAME in VOXにて、「地下鉄に乗るっ アニメーション展 オープニングイベント」が開催され、シンガーソングライターの大木ハルミさんによるミニライブ・トークショーが行われた。
トークショーでは、大木さんの他、「地下鉄に乗るっ」のアニメーション制作を手掛け、今回の展示の主催者でもある株式会社魚雷映蔵の代表、佐野リヨウタさん、スペシャルゲストとして、かつて存在したライブハウス「VOX hall」の店長、有堀誠さん(現在はPUB VOX hallの店長)も登場。
大木さんは「地下鉄に乗るっ」のプロジェクトが発足して以来、音楽を提供するという形でこのプロジェクトに関わり続けてきた人物ということもあり、3人による内容の濃いお話を聞くことができた。本稿では、オープニングイベントの様子を写真とともにお届けしていく。
また、同会場では5月24日から29日までの期間中、アニメの資料などを展示する「地下鉄に乗るっ アニメーション展」も開催され、多くのファンたちが訪れた。
KYOTO CMEXでは、計3本に渡って「地下鉄に乗る アニメーション展」の様子を追った。他の記事は以下のリンクから(工事中。更新され次第リンクが有効になります)。
②企画展の内容と魚雷映蔵佐野さんへのインタビュー記事はこちら
③クロージングイベントの様子はこちら。
ミニライブ
イベントの目玉は、もちろん大木さんのミニライブだ。今回のイベントでは、なんといっても演者と観客の距離の近さが印象的。こじんまりとしたスペースの中で、「地下鉄に乗るっ」への愛があふれた、とても素敵な時間を過ごすことができた。
実際に筆者も2013年ごろに「地下鉄に乗るっ」が登場して以来、キャラクターたちとずっと一緒に通学・通勤の足として地下鉄を利用してきた。そのため、今回のイベントは筆者にとってもとても思い出深いものとなった。
大木さんは「地下鉄に乗るっ」のアニメの中で使用されている楽曲などを中心に、10曲ほどを披露。緑の衣装とジャズマスターが印象的で、力強くも繊細な歌声がとても素敵だった。観客も手拍子やレスポンスで会場を盛り上げ、小さなハコということもあって、とても一体感のあるライブだった。
トークショー
ミニライブに引き続いて、「地下鉄に乗るっ」の過去と未来を語らうトークショーが行われた。ここでは、株式会社魚雷映蔵の佐野さん、大木さん、そしてスペシャルゲストとして、当時ライブハウス「VOX hall」の店長だった有堀さんが登場。
かつて河原町三条にあったライブハウス「VOX hall」は、「VOXビル」の5階で営業していた。ここは「地下鉄に乗るっ」のイベントが何度も開催された思い出の地。だが、コロナ禍まっただ中の2020年、残念ながらライブハウス「VOX hall」は閉店してしまった。
しかし、建物としての「VOXビル」は残っており、今回のイベントは会場はビル3階の「FRAME in VOX」で行われた。思い出のライブハウス「VOX hall」は無くなってしまったものの、同じ建物で再び「地下鉄に乗るっ」のイベントができたということで、非常に感慨深い。
ちなみに、無くなってしまったライブハウス「VOX hall」だが、その精神を受け継いで、有堀さんは室町今出川で「PUB VOX hall」という飲み屋兼ライブハウスを営業している。ライブハウスが営業されていた当時の思い出話がたくさん聞けるそうなので、興味があればぜひ店を訪れてみて欲しい。
トークショーでは、本プロジェクトの中心メンバーである2人と、かつてのイベントの会場提供者としての有堀さんによる、とてもディープな内容の興味深いお話を聞くことができた。観客のファンの皆さんと思い出を共有できる時間を過ごすことができ、終始和やかでとても居心地のいい空間だった。
ここからは、そんな盛りだくさんのトークショーの内容を、会場に来られなかった方々に向けてお届けする。
魚雷映蔵の法人化10周年を迎えて
魚雷映蔵が株式会社になるより前の2014年から、「地下鉄に乗るっ」のプロジェクトでイニシアチブを取り続けてきた佐野さん。このプロジェクトに乗ろうと思った最大の理由は、大学時代を過ごした場所が京都だったから。
大学を卒業後、京都で「魚雷映蔵」を立ち上げ、これから上京してアニメの事業を軌道に乗せようと画策していた佐野さんにとって、このプロジェクトは、大好きな街・京都に貢献できるまたとない機会だった。当時の血気盛んだった佐野さんの様子を、大木さんは「ちょっと怖かった」と振り返る。
キャラクターたちと共に歩んできたこの12年間を、佐野さんと大木さんはたくさんの思い出話と共に振り返った。どれも決して楽なことばかりではなかったが、自分たちの今があるのは間違いなく「地下鉄に乗るっ」のおかげだと、二人とも目を輝かせていた。
ライブハウスVOXでの思い出
前述の通り、2020年、ライブハウス「VOX hall」は閉店してしまった。
このライブハウスは「VOXビル」の5階でかつて営業しており、「地下鉄に乗るっ」のイベント会場としても使用されたため、佐野さんと大木さんにとっては非常に思い入れ深い場所。
今回は、当時のホールを使うことは叶わなかったが、同じ「VOXビル」の3階にある「FRAME in VOX」というギャラリースペースを借りて行われた。このビルでもう一度「地下鉄に乗るっ」のイベントができた、という事実だけで、ファンにとっては感慨深いものがあるかもしれない。
この数十年でアニメイベントの在り方も随分変わった。当時のライブハウスとしては、「バンドやアイドルに会場を貸すことがメインだったので、アニメイベントを開催するのは大変だった」と、有堀さんは言う。
キャラクターとコラボしたドリンクを考案するなど、当時のイベントの成功はライブハウス「VOX hall」の協力が不可欠だったと言えるだろう。「今日、かつてライブハウス「VOX hall」があったVOXビルという場所で、また「地下鉄に乗るっ」のイベントができて良かった」と、佐野さんは改めて強調した。
昔からのファンも、これからも
佐野さんが「以前に「地下鉄に乗るっ」のイベントに来たことがある人?」と観客に問うと、ほとんどの参加者が手を挙げた。一方で、初めてだという人も一定数おり、このプロジェクトがどれだけの人々に愛されていて、今でもその魅力を輝かせ続けているかがよくわかる。
実際、筆者も10年以上前から地下鉄ユーザーだが、ある日突然「萌えキャラ」が現れたのには驚いた。しかし、今ではすっかり見慣れてしまったし、あの駅の雰囲気の中に太秦萌たちがいないと少し寂しい。彼女たちは間違いなく駅や車内を華やかにしていると確信している。
今や地下鉄に乗ると彼女たちを見ない日はない。この取材に行くときも烏丸御池駅を利用したが、特に注意をしていなかったのにもかかわらず、2回も彼女たちと出会うことができた。

烏丸線でおなじみの緑のベンチとのツーショットがいい感じ(最近は青いのに切り替わりつつある?)
「僕もライブハウス「VOX hall」の仕事で「地下鉄に乗るっ」に関わらせてもらって以来、地下鉄を使うときにキャラクターたちを見ると、なんだか嬉しくなるんですよね」と、有堀さん。この想いはその場の参加者全員が共有していたようだ。
地下鉄に?→乗るっ!
18時から始まったオープニングイベントは、20時ギリギリまでファンたちの交流の場として賑やかだった。
会場には、アニメの資料はもちろん、往時のライブハウス「VOX hall」を思い出せる資料など、様々な展示があった。その中でも、佐野さんのイチオシは原画の展示だ。最近では「複製」原画は多く見られるが、ここでは本物の原画が展示されている。近年主流のデジタルではなくアナログのアニメ原画が残っているということも、このプロジェクトの息がとても長いということを、間接的に示す良い資料ではないだろうか。
ライブとトークショーを終え、「ファンの皆さんの熱量を感じられて、改めて続けていきたいと思った」と、大木さん。また「地下鉄に乗るっ」の新曲が聞ける日を待ちたい。
また、「地下鉄に乗るっ」が、フランス・アヌシーにて開催される世界最大級のアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭2025」併設のビジネスマーケット・MIFA(Marché international du film d’animation)内「インディーアニメ特集」ブースの上映・展示作品として選出されたことが、サプライズで発表された。詳細はこちら。
「ここまで来れたのはキャラクターたちを愛してくださるファンの皆様のおかげ。もっとコンテンツを広げて、次の10年も続けていけるようにしたいので、今後とも応援よろしくお願いします」と、佐野さんは改めてメッセージを送った。
最後に、「地下鉄に?」→「乗るっ!!」のコールアンドレスポンスで、イベントは幕を閉じた。
おわりに

左から有堀さん、大木さん、佐野さん
このように、リアルでのイベントを再び開催できる幸せと、「地下鉄に乗るっ」というコンテンツが京都市民だけでなく、様々な人に愛されているということを実感できるイベントだった。
トークショーの中で、登壇者だけでなく、ファンたちも「続けていきたい」という気持ちを持っているのが強く伝わってきたことも、改めて印象的だ。通勤・通学、近年では観光客など、本当に様々な人が京都市営地下鉄を利用している。
20系電車(新型車両)も導入され、まだまだ地下鉄には期待できることが盛りだくさんではないだろうか。私たちの夢を乗せて、今日も地下鉄は国際会館から竹田を駆け抜ける。
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