【京まふ2025 取材レポート】学生たちのセンスが光る妖怪×伝統工芸がずらり!京都伝統工芸大学校 京都美術工芸大学ブース

「京まふ2025」に現れた、おどろおどろしい妖怪たち。
アニメ・マンガに影響を与えた鳥山石燕(とりやませきえん)の描く手法を学んだ、学生さんたちによる伝統工芸作品です!
こちらの記事では京まふ2025「京都伝統工芸大学校 京都美術工芸大学ブース」をレポートしていきます!
■京まふ2025「京都伝統工芸大学校 京都美術工芸大学ブース」で見られた展示とは?
京まふ2025京都伝統工芸大学校 京都美術工芸大学ブースの展示テーマは“妖怪”。
伝統の技で立ち上がる鳥山石燕の世界をコンセプトに、妖怪と工芸が融合した独特の世界観を作り出していました。
漆絵専攻4年生 西澤光咲さん作『猫又』
実は、京都伝統工芸大学校・京都美術工芸大学ブースは昨年も“妖怪”をテーマに、若い感性が挑む新たな妖怪のかたちというコンセプトのブース展示を開催(京まふ2024取材記事はこちら)。
同じ”妖怪”というテーマでもコンセプトが違うと展示の雰囲気もガラリと変わります。写真をご確認ください。
京まふ2025 京都伝統工芸大学校 京都美術工芸大学の展示ブース
京まふ2024 京都伝統工芸大学校 京都美術工芸大学の展示ブース
ブースでは学生さんたちがコンセプトを意識しながら“妖怪”をテーマに作ったという伝統工芸品が展示されていました。
伝統工芸は複数の職人が分業しながら一つの作品を完成させていくものということで、合作も見ることができました。
漆絵専攻4年生 鴉屋京さん作「銀螺鈿研出蒔絵打刀『夜行』」
鴉屋京さんが主となり、さまざまな学生たちの技術が集まり完成した
■鳥山石燕とは?大河ドラマ『べらぼう』にも登場!?マンガ・アニメと深いかかわりが…
「伝統の技で立ち上がる鳥山石燕の世界」というコンセプトで作り上げられた展示。
そもそも鳥山石燕とはどんな人物なのか…紐解いていきます。
鳥山石燕は江戸時代に活躍した妖怪絵師。
2025年放映中の大河ドラマ『べらぼう』にも登場し、片岡鶴太郎さんの熱演が話題となっています。
\ #大河べらぼう 新キャスト/
— 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」日曜夜8時 (@berabou_nhk) January 11, 2025
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鳥山石燕 #片岡鶴太郎
妖怪画の大御所
歌麿の人生に大きな影響を与えた師
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新キャストはあと8人!詳しくは👆 pic.twitter.com/hzCvZPF1Fm
水木しげる等がキャラクターとして作品に引用した事で、現代へと広がりを見せました。妖怪をユニークかつ個性的に描き、マンガやアニメの描き方や表現に影響を及ぼしてきたといわれています。
百年以上前に描かれたにもかかわらず、令和を生きる私たちが見ても違和感なく受け入れられますよね。
鳥山石燕の絵にはもう一つ特徴があります。それは単なる絵ではなく、物語を感じさせる絵だということです。
鳥山石燕は”言葉遊び”も表現手法として取り入れられております。
たとえば『猫また』は顔役が猫であるという動物妖怪ですが…年老いた猫は尾が二つに分かれ(二又になり)やがて妖怪「猫又」になるというストーリー性をもった妖怪なのです。
■鳥山石燕をオマージュした学生による作品とは?
京まふ2025への展示品を作るにあたり学生さんたちは、はじめに鳥山石燕がどのように作品を手掛けたか手順を学びました。
オマージュする作品を選び、物語や昔の伝承、絵巻物を読み解き、元の絵は何を表しているのかを理解したうえで、自分の作品を再構築したのだそう。
鳥山石燕が好んだという”言葉遊び”も取り入れられているとのことです。
ここで私たちも『以津真天(いつまで)』という妖怪を見てみましょう!
『太平記』に載る妖怪で、健武元(1334)年に紫宸殿の上に「いつまで、いつまで」と鳴く怪鳥が現れ、聞く人みな恐れていた。源義家や頼政に倣い、弓の名手隠岐次郎広有が召され、見事射落とした。その姿は、頭は人、身は蛇、くちばしは鋸のようで、両足の爪は剣のように鋭く、羽を伸ばすと一丈六尺あったという。
『太平記』が記された時代は南朝・北朝の争いや内乱で世の中が荒れ、死体が町や川に放置されることもあったといわれています。
「いつまで死体を放置しておくんだ」の“いつまで”と妖怪の名前『以津真天』がかけられており、皮肉めいていながらも寂しい背景の元、生まれた妖怪でもあるのです。
その妖怪『以津真天』をオマージュした、学生さんの作品がこちら。
木彫刻専攻4年生坂本ひなたさん作『以津真天の時計』。
妖怪『以津真天』を時計に乗せています!!原画への理解の深さに加え、“言葉遊び”の上手さ、センスの良さに感動…!
「いつまで寝てるんだ」「いつまでもゆっくり過ごしてください」などいろいろな想いが込められているのだそうです。
■妖怪と伝統工芸を愛する先生に聞く…今後の展望。
最後に、京まふ2024・京まふ2025「京都伝統工芸大学校 京都美術工芸大学ブース」の監修および生徒の指導に当たられた、京都美術工芸大学の芸術学部デザイン・工芸学科の古賀謙太郎助教に今後の展望を伺いました。
「文化財をはじめとした伝統工芸、そして妖怪、どちらも次の世代に繋いでいきたいと思っています。そのためにどうするかということですが、知ってもらうにとどまらず興味を持ってもらう必要があると思います。京まふの展示を見てもらってもわかると思いますが、同じ“妖怪”というテーマにも関わらず学生の作品や解釈は大きく変わります。これからも手を変え品を変え、みなさんにも伝統工芸、そして妖怪に興味を持ってもらえるような伝え方をしていきたいと思います。」
伝統工芸の力で今後、どんな世界をわたしたちに見せてくれるのか…楽しみでなりません!
こちらの記事で紹介できた作品はほんの一部。京まふ2025で展示された作品をはじめ、京都伝統工芸大学校と京都美術工芸大学の学生さんたちによる作品は、京都美術工芸大学鴨川七条ギャラリー・京都伝統工芸館で見ることができます。
~きょうのKYOBI~
— 京都美術工芸大学 (@KYOBI_official) September 16, 2025
今日から鴨川七条ギャラリーで特集展「Re. 文化財 文化財情報デザインコース 」がスタート✨学生たちが文化財と向き合い学んだ成果をどうぞご覧ください。【入場無料】
詳細▶https://t.co/EbXgepV2Kl#KYOBI#京都#美大#デザイン#文化財#展覧会#ギャラリー#プロジェクト pic.twitter.com/OMdnOzQRIb
【鴨川七条ギャラリー】
京都府京都市東山区川端通七条上ル
開館時間/平日:10:00〜18:00(入館は17:30まで)、土日祝:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- ※展覧会開催期間のみ開館
- ギャラリーの詳細はこちら
京都伝統工芸大学校 公式サイトはこちら
京都美術工芸大学 公式サイトはこちら
【京まふ2025(京都国際マンガ・アニメフェア2025)】
2025年9月20日(土)21日(日)の2日間にわたり、みやこめっせ・ロームシアター京都にて開催された「京まふ2025(京都国際マンガ・アニメフェア2025)」。日本最大級のマンガ・アニメ見本市で、作品の世界観に没入できるブース展示や、声優さんの生トークを聴けるステージ、オリジナルグッズ・フードの販売などが行われた。