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【京まふ2026】行政主導の挑戦から西日本最大級のマンガ・アニメフェアへ。主催者・京都市に聞く15回目を迎える京まふの現在地

西日本最大級のマンガ・アニメの祭典として親しまれている「京都国際マンガ・アニメフェア」、通称「京まふ」が、2026年で開催15回目を迎えます。

節目となる今回は、これまでの歩みを振り返る展示や作品とのコラボ、「おこしやす大使」(声優の梶裕貴さんと上坂すみれさん)による平安神宮での絵馬奉納企画、新設の「クリエイティブステージ」など、「15の記念企画」が展開されます。出展規模も過去最大となり、例年以上に充実した開催となりそうです。

一方、現在の京まふは、ファンが作品や出演者との出会いを楽しむ場所に留まりません。15年間にわたって築かれたネットワークを生かし、作品と京都企業のビジネスマッチングや、若手クリエイターとプロとの接点を生み出すなど、京都のコンテンツ産業を支える場へと役割を広げています。

京まふは、どのような成長を経て、15回目となる今回を迎えるのでしょうか。2026年の見どころと、京まふが歩んできた15年、その先に描かれる未来について、主催者である京都市にお話を伺いました。

「挑戦」から始まった2012年

京まふの第1回が開催されたのは、2012年のこと。現在でこそ京まふは西日本最大級のマンガ・アニメイベントとして定着しています。実際、京都在住の筆者の周りでは、普段からマンガやアニメを見ない層にまでイベントの名前が浸透しているように感じます。

2012年当時といえば、マンガ・アニメの総合展示会について、「首都圏以外では根付かない」「行政が関与すると失敗する」といった見方をするマンガ・アニメファンは多かったと、京都市の担当者は振り返ります。

第1回京まふの前年の2011年、京都市がコンテンツ産業を成長戦略分野として位置づけたという流れもイベントの計画を支えました。このように、京都市が京まふの開催に踏み切ったことには、「『挑戦』という側面が強かった」と、担当者は強調します。2012年4月には、当時の門川市長が東京で記者会見に臨む※など、力を入れていたことが見て取れます。

業界や企業の関係者からは、「マンガ・アニメの振興のために京都が頑張ってくれるなら応援したい」「京まふの将来に賭けてみたい」といった声も寄せられ、2012年9月、京まふは33企業・団体の出展、来場者約2万人でスタートを切りました。

※京都市情報館「共同記者会見(2012年4月11日)京都国際マンガ・アニメフェア2012‐西日本最大規模のマンガ・アニメ総合見本市の開催‐」

2026年、過去最大規模となった京まふの価値

時が経ち、京まふは当初の不安を跳ね返すような成長を遂げました。近年、京まふは60企業・団体の参加を受け入れており、今回に至っては会場スペースの都合から、出展者の希望に沿えないという事態まで発生しています。来場者数も伸び、約3万5千人以上がみやこめっせに訪れるようになりました。

では、京まふに出展する企業は、どこに価値を見出して京都まで出張しているのでしょうか。実際、京まふに出展する企業は首都圏に拠点を置いていることが多く、京都での出展にはスタッフの交通費や宿泊費などが必要です。首都圏で行われるイベントと比較すると、出展にかかる経費は大きくなるでしょう。それでも多くの企業が京まふへの出展を希望する背景には、地方で作品を発信できるという意義に加え、京都ならではの連携機会があるからです。

担当者:「地方でのプロモーションに魅力を感じていただいているのだと思います。特に、京まふの場合、京都の老舗企業とのマッチング、文化財とのコラボ、ロケ支援、京都市営地下鉄でのラッピング列車でのプロモーションなどを、行政である京都市が全面協力しています。首都圏のイベントにはない、京まふならではのメリットを魅力に感じていただけているのではないかと考えています」

会場内で作品を紹介することだけでなく、京都の企業や文化、都市空間と作品とを結びつけられることが、京まふの特徴です。例えば例年「コラボビジュアル」として、京都の有名な景色の中に、マンガやアニメのキャラクターたちが描かれたビジュアルが何枚も公開されています。

実際、筆者が初めて京まふを知ったきっかけは、京都市営地下鉄を走るラッピング車両でした。アニメやマンガのキャラクターが京都の日常風景に現れるラッピング車両は、イベント会場の外にも京まふとの接点を生み出しています。

この取り組みは、駅や電車を単なる広告スペースとして用いているということではないでしょう。作品と京都のまちとの関係を目に見える形でつくり、普段はマンガ・アニメイベントに接点のない人にも、その存在を伝える役割を果たしています。作品と地域の企業、文化資源、交通機関などを結びつけ、京都のまち全体へ展開できることにこそ、京まふの独自性があります。

ソフト的な面でも京まふは改善を続け、例えば会場内でキャッシュレス決済を導入したり、海外からの来場者の対応のために京都外国語大学と連携した通訳ボランティアの配置などの取り組みを実施してきました。

ファンイベントだけではない「総合プラットフォーム」へ

15年間で変化したのは、イベントの規模だけではありません。京まふが京都で果たす役割も開催当初から大きく変化し、広がっていると、担当者は語ります。

コンテンツ産業を発展させるためには、企業や人材の集積が必要です。そこで京まふは、業界団体、企業、クリエイターとの関係を築くきっかけとして、また、マンガやアニメに力を入れている都市として京都を発信する場として成長してきました。これまで14回の開催を経て、イベントが定着した現在では、京まふそのものを成長させる段階から、15年間に築いたブランドやネットワークを活かす段階へ移りつつある、と担当者は続けます。

担当者:「京まふは、京まふというブランドを核として、作品と京都企業を繋ぐビジネスマッチング、さらには若手クリエイターが直接プロと出会う場など、京都のコンテンツ産業を持続的に支える総合プラットフォームとしての役割にシフトしてきています」

京まふを通じて業界とのネットワークが形成されたことで、多くの関係者どうしの信頼関係が積み重なってきました。結果的に、作品とのコラボレーションやロケ地、イベント開催に関する相談や、京都進出に関する話も増えているといいます。ファンが楽しむ2日間を入口として、イベント終了後にも企業同士の連携や新たな事業が続いていくこと。それが、現在の京まふが持つもう一つの価値と言えるでしょう。

行政である京都市がマンガ・アニメイベントを開催する意味

ここまで見てきたように、京まふはファンがマンガやアニメを楽しむイベントであると同時に、京都のコンテンツ産業を支える役割を広げてきました。では、民間企業ではなく、行政である京都市が主催者として京まふに関わることには、どのような意味があるのでしょうか。

民間主導のイベントでは、事業を継続するために一定の収益性が求められます。しかし、人材育成のように成果が表れるまで時間を要する取り組みは、短期間で採算を確保することが難しい場合もあります。担当者は、コンテンツ産業を持続的に発展させていくためには、こうした分野にも継続的に取り組む必要があると話します。

担当者:「民間主導のイベントでは、どうしても収益性確保の側面が生じます。その場合、人材育成など、採算性の確保が難しい部分は、進まない可能性も考えられます。一方で、産業として発展していくためには、人材育成は必要不可欠です。このような民間ベースでは中々難しい部分も、行政が予算を投じることで守れる部分もあります」

京まふにおける京都市の役割は、イベントの2日間を成立させることだけではありません。京まふが重視している「総合プラットフォーム」としての役割を守り、育むことで生まれた出会いや関係を、京都の産業と人材の未来へつなげることにあります。

2つの危機の中で下された継続の判断

行政が長期的な視点からイベントを支える意味は、京まふが大きな危機に直面した際にも表れました。京都市の担当者が開催15回を振り返るにあたって特に印象に残っている出来事として挙げたのが、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大と、京都市の財政危機です。

当時は全国でイベントの中止が相次ぎ、社会全体が催事の開催を控えることになったことは、まだ記憶に新しいかもしれません。そのような中で、京まふは感染症対策を徹底したうえで開催されました。コロナ禍において開催した大型イベントの一つとして全国のメディアにも取り上げられ、注目を集めたといいます。

同じ時期、京都市では厳しい財政状況を受け、行政主催のイベントが原則として凍結されていました。しかし、京まふには開催の継続を望む声が数多く寄せられ、市会議員からの理解も得たことで、予算を凍結せず開催を続ける判断が下されました。

「15回にわたって継続して実施できているのも、京まふというイベントの存在が年々大きくなっているからだと考えています」と、担当者は振り返ります。この数の重みは、さまざまな困難に直面しながらも、開催を守り、イベントの価値を育ててきた15年間の積み重ねでしょう。

感謝と未来への思いを込めた「15の記念企画」

さまざまな危機を乗り越え、歩みを止めることなく迎えた2026年、15回目。今回行われる「15の記念企画」には、京まふをつくり上げてきた企業やクリエイター、ファンへの感謝と、これからも多くの人と一緒に歩んでいきたいという思いが込められています。

企画の一つとして、これまでの京まふの軌跡を振り返るメモリアル展示が行われます。長年会場へ足を運んできた人は、自身の思い出とともに京まふの歴史を振り返ることができます。今回初めて訪れる人にとっても、イベントがどのように成長してきたのかを知る機会になりそうです。

例えば、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉」とのコラボレーションでは、2012年と2013年に京まふの公式グッズで使用された、京都らしい描き下ろしイラストが復刻されます。このイラストを活用し、京都の老舗企業などと連携した開催記念グッズも販売されます。ほかにも、京まふ2026のおこしやす大使による平安神宮での絵馬奉納企画など、15回目だからこそ実現できた特別な取り組みが予定されています。

担当者:「これまでの歴史なども振り返りながら、これからも皆様とともに歩んでいきたいという思いを込めています。15回目だからこそ実現できた『特別感』を随所に散りばめましたので、ご期待ください」

完成した作品の向こう側にいる「担い手」へ

15の記念企画の中でも、京まふの未来への姿勢を象徴しているのが、今回新設された「クリエイティブステージ」です。完成した作品やキャラクター、出演者に目を向けることはあっても、その制作を担い、支えている人々について知る機会は、決して多くありません。しかし、一つの作品が完成するまでには、いわゆる裏方と呼ばれるさまざまな職種の人が関わっています。

一方、コンテンツ業界では、こうした担い手の慢性的な不足が深刻化しています。京都市は、日本が世界に誇るマンガ・アニメ・ゲーム文化を将来世代へ継承していくために、作品をつくり、支える人材の確保と育成が欠かせないと考えています。担当者も、「このままでは、いずれ日本が誇る文化を将来世代に継承していくことが難しくなるのではないか」と、危機感を抱いています。

クリエイティブステージは、作品を支える担い手について「知ってもらう場」、クリエイターなどを目指してみたいと感じる「きっかけづくりの場」、すでに業界を志望している人の意欲を高める「機運醸成の場」として企画されました。京まふや京都、関西圏にゆかりのあるクリエイターやプロデューサーなどを通じて、作品の制作や関連する仕事、京都の取り組みについて発信します。ファンと作品が出会う場所から、未来の作り手と業界が出会う場所へ。クリエイティブステージには、京まふが次の15年に向けて果たそうとしている役割が表れています。

まとめ:15回の蓄積を、未来へと

京まふは、マンガやアニメのファンが作品や出演者との出会いを楽しむイベントとして成長してきました。同時に、15年間にわたって築かれたネットワークは、会場の外にも広がるようになりました。これまで支えてきた人々への感謝を伝えるとともに、次の時代をつくる人や取り組みに目を向けること。京まふ2026は、15年間の歴史を振り返るだけでなく、京都のコンテンツ産業が次の段階へ進む姿を示す開催となりそうです。

担当者:「京まふは、今年で記念すべき開催15回目を迎えます。子ども連れの方や、まだ来たことのない方でも楽しめるイベントとなっています。来場者の皆様に楽しんでいただけるよう、さまざまな企画を準備していますので、ぜひ京まふにお越しください」

長年参加してきた方も、今回初めて訪れる方も、15回目ならではの企画を楽しみながら、新しい作品や人、京都の魅力との出会いを見つけてみてはいかがでしょうか。

京都国際マンガ・アニメフェア2026(京まふ) 開催概要

開催名称 京都国際マンガ・アニメフェア2026
略称 京まふ(KYOMAF=KYOTO INTERNATIONAL MANGA ANIME FAIRの略)
開催期間 2026年9月19日(土)~9月20日(日)

[メイン会場]
みやこめっせ/ロームシアター京都

9:00~17:00 (20日は16:00まで) ※入場は終了の30分前まで

[第2会場]
京都国際マンガミュージアム

10:00~19:00 ※入場は終了の30分前まで

主催 京都国際マンガ・アニメフェア実行委員会、京都市
共催 KYOTO CMEX 実行委員会、京都国際マンガミュージアム、京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学
協賛 読売テレビ放送株式会社、『楽園追放 心のレゾナンス』製作委員会、彌榮自動車株式会社、株式会社BAKERU、ローソンチケット
協力 「伝統産業の日」実行委員会、京都伝統産業ミュージアム、京都外国語大学
開催趣旨 コンテンツを活かした新産業の創出・成長
クリエイティブ人材の創出・育成・定着
世界的な文化都市としてのブランド力向上
京都に愛着を持つ関係人口の創出・拡大

ライター

雨森 / ame-mori

ライター

京都歴24年目。KYOTO CMEXの一員として、地元目線からのディープな情報を発信。写真も自分で撮っています。 I've been living in Kyoto for 24 years. As a member of KYOTO CMEX, I offer authentic information of local contents. Besides taking a photo is my hobby :D

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