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清水寺の境内、映画を通して「いのち」を考える。第28回京都国際学生映画祭プレイベント「生死(しょうじ)」レポート【第28回京都国際学生映画祭】

2026年1月17日、清水寺・経堂にて第28回京都国際学生映画祭プレイベント「生死(しょうじ)」が開催されました。
本イベントは、来る2月20日の第28回京都国際学生映画祭の開催の機運を高めるための企画。過去の映画祭で高い評価を受けた作品が上映されたほか、宗教の専門家のゲストによる座談会が開かれました。
KYOTO CMEXはイベントパートナーという形で、イベントを支えています。ここからは、上映された映画の紹介をはじめ、イベントの模様をお届けします。
上映作品のご紹介
イベントのために選ばれた映画作品は、過去の映画祭で入選したもの。特に他者の人生に思いを馳せることができる3つの映画作品がピックアップされ、奉納上映という形でスクリーンを彩りました。今回上映された作品の詳細については次の通りです。
The hills of the birds

韓国/2024/27分/フィクション 監督:Lee Euntaek
「鳥の山」、鳥だけが越えられると言われていた山は、誰一人超えることはできなかった。数十年前に唯一超えることができた父は、今では数メートルの丘さえ登れないがん患者だ。車椅子の父と病院から帰る途中、息子のザイオンは急な丘を越えて家に帰ろうとする。
Vortex

韓国/2024/19分/フィクション 監督:JANG Jae-Woo
男の子は、父親が海で働いている間、病気の母親の世話をしている。彼は母親と父親に関する最悪の想像に悩まされ、ひどい悪夢に苦しんでいる。ある日、彼は海辺で大きな岩を引きずっている女の子を見かけ、彼女の後を追い、彼女がどのようにして最悪の想像から逃れたのかを発見する。
『にわとりはじめてとやにつく』

日本/2024/16分/アニメーション 監督:栗原侑莉
200X年、世界は「全ての生き物が生まれも死にもしなくなる」という未知の災害に襲われた。生という無期懲役を課せられた世界で男と少女は出会う。なぜ人は生きるのか、この命に意味はあるのか。人が生きる意味に迫った、短編アニメーション映画作品。
お寺という空間で「生死」を扱う映画を鑑賞する

会場は、清水寺の境内にある「経堂」と呼ばれている建物です。イベントは夜の7時30分から始まり、夜の清水寺から京都市内を見下ろす景色が、参加者の心を日常から切り離しているように感じました。
堂内に入ると釈迦の像が安置されており、お線香の香りが漂うなかで、とても荘厳な雰囲気に包まれました。座談会のゲストには、森清顕 師(清水寺 執事)、髙木慶子 氏(上智大学グリーフケア研究所名誉所長 / 全人力を磨く研究所 理事長)、山口洋典氏(立命館大学)が登場。宗教指導者という立場から、映画を見ながら「生死」を考えます。
イベントタイトルの「生死」は、避けられない事象です。それにもかかわらず、私たちが日常的に意識しないテーマを、映画を通して考える機会になりました。作品に描かれるのは英雄の姿でも、非日常な冒険でもありません。それは私たちのすぐそばにある、生と死の「影」そのものです。
1.17 阪神淡路大震災を想う
開催日の1月17日は、31年前に阪神淡路大震災が起こった日でもありました。映画上映の冒頭には、森執事によってお経があげられ、犠牲者への祈りがささげられました。
筆者を含めて、参加者の中で震災の記憶がある人は多くありません。当事者ではないと、歴史的な出来事として震災を捉えてしまいがちです。しかし、やはり災害は身近なものです。映画や映像を通してその恐ろしさを知っているのに、見ないふりをしてきた筆者にとって、考えを改める機会になりました。
上映作品 栗原侑莉監督が来京

以前KYOTO CMEXが独占インタビューを実施した栗原侑莉監督が、イベントに合わせて京都にいらっしゃいました。今回上映された『にわとりはじめてとやにつく』は、第27回(2025年)の映画祭で入選を果たしています。「全ての生き物が生まれも死にもしなくなる」という作品のテーマは、今回のイベントの趣旨を考えるにあたって、ぴったりの内容でした。
インタビュー記事はこちら→『にわとりはじめてとやにつく』栗原侑莉監督 独占インタビュー【第27回京都国際学生映画祭入選作品】
座談会の後半では、前述のような映画のテーマについて、参加者やゲストと議論を交わすことができました。死ぬことも生まれることもなくなった世界で、人間はどのように振る舞うことができるのかと、作品は問うています。

特に、コロナ禍を経たという監督の経験の重さが、作品の描写をより深いものにしています。今回のイベントやインタビューで語る「悔しさ」が、様々な形で鑑賞者の心を震わせたようです。栗原監督にとって、この作品は厳しい時代を懸命に「生きた」証でもあるのです。
栗原監督の作品『にわとりはじめてとやにつく』は、YouTubeをはじめ、Amazon Prime Video、U-NEXTで見ることができます。ぜひご覧ください。
おわりに:「生きる」とは何だろう?

普段、私たちは「死」をどこか遠いものとして扱い、直視することを避けてしまいがちです。しかし、この夜、清水寺という場で向き合った「生死」というテーマは、避けるべき重荷ではなく、今この瞬間をどう生きるかという輝きを内包していることに気づかされました。
映画は、目に見えない感情や、言葉にできない痛みを、作り手の想像力を通して「可視化」する力を持っているようです。スクリーンに映し出された人々の人生は、いつの間にか自分自身の物語として心に根を下ろしているように感じました。
最後にイベントは、参加者に対してもう一度「生きるとは何か?」という問いを投げかけて幕を閉じました。今回の上映を通して一人一人が見つけた答えを胸に、残された時間の生き方に思いを巡らせます。自分だけでなく他人も大事にすること、決断に対して責任を負うことなど、様々な意見が挙がりました。「生きる」を考えるきっかけ――このイベントを通して、翌日からの人生が少しだけ気楽になった気がします。
第28回京都国際学生映画祭の開催迫る!

第28回京都国際学生映画祭は、2月20日(金)から23日(月)の日程で開催されます。会場は京都文化博物館で、期間中は作品の上映のほか、ゲストによる様々な企画が予定されています。
今年は、アニメーション監督の田口智久氏、映画監督の竹林亮氏、山中瑶氏の3名が最終審査員として、入選作品を審査します。イベントの詳細は公式HPにて随時更新されていくので、お見逃しなく!


