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京都国際マンガミュージアムの学芸員を独占取材!「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」を120%満喫できる”展示の見方”聞いてきた!
- 2026/5/13
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- ダーリンは外国人, 小栗佐多里, 西原理恵子
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京都国際マンガミュージアムは2026年、開館20年!その記念行事として2026年4月25日(土)~9月1日(火)の期間、「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」が開催されています。
今回は本展を企画した学芸員の倉持佳代子さんに独占取材!企画展を120%満喫するための”見方”と注目ポイントを聞きました。
■「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」とは?
一般的にエッセイマンガとは作者の個人的な体験や知識をベースに描いた実録マンガととらえられていますが、創作を織り交ぜたマンガもあります。「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」ではあえて細かく定義せず、広い意味でエッセイマンガをとらえ、ジャンルの広がりと魅力を考察しているそう。
エッセイマンガを牽引してきた27名のマンガ家の原画総計300点を展示する、見ごたえのある内容となっています。
誰が飲(読)むべきかを記した処方箋をエッセイマンガに添えた「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」。単行本は手に取って閲覧可能
エッセイマンガを描くことは作者の日常から物語を「掬(すく)う」ことであり、その物語に共感した読者が「救(すく)われ」、作者自身も描くことで「救(すく)われる」ととらえ、作品やマンガ家を処方箋形式で紹介するのも見どころです。
■「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」はどう巡る?
「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」をどう巡ればよいのか?
倉持学芸員は「展示されている原画は思わずじっくり読んでしまうので、ちゃんと見ようとすると1~2時間ほどはかかると思います。でも時間がなければ、流し見る形でもいいので第1章~第4章まで順番通りに歩く」という巡り方をおすすめ。
というのも本展は戦後~1970年代の作品を集めた「第1章 エッセイマンガというジャンルの始まりを探る」、1980~1990年代の作品を紹介する「第2章 エッセイマンガというジャンルの成立」、2000年代の変化について考察する「第3章 『コミックエッセイ』というジャンルの確立」、2010年以降の発展を紐解く「第4章 広がる!広がる!エッセイマンガ」と時代ごとに構成されており、順番通りに巡ることでエッセイマンガの成長の歴史をたどることができるようになっています。
今日広がる「コミックエッセイ」の源流を探る第1章
「1970年代頃はエッセイマンガを専門に手掛ける作者は少なく、ストーリーマンガの作者が単行本や雑誌に身辺雑記をおまけ的に描くことが多かった。読者は”憧れのマンガ家の生活”を覗けるという意味合いで楽しんでいたのではないか」と倉持学芸員。
その後転機となったのがさくらももこさんの登場。自らの体験を元に、誰にでも起こり得そうなとりとめもないエピソードをユニークに描く「エッセイマンガ」のスタイルを自らの道だと決めてマンガ家になったおひとりで、読者に「私の日常と変わらない体験が、こんなに面白いのか」「私でも描けるかも」と思わせたことが、このジャンルが活性化する大きな出来事だったと話します。
エッセイマンガにまつわる明治~昭和の雑誌や単行本を展示
さまざまなエッセイマンガが生まれ始めた変革期について紐解く第2章
現在はKADOKAWAとなったメディアファクトリーから出版された小栗佐多里さんの『ダーリンは外国人』も新たな風を巻き起こした作品。
マンガは分類記号(※書店で本を陳列する際の目安となる書籍に付けられたコード)をC9979(マンガ)として出版されることが一般的でしたが、『ダーリンは外国人』はC0095(文芸)として出版!
これにより書店でマンガ棚とは別の場所に陳列されることから、普段マンガを読まない層からも支持を集めました。
メディアファクトリーが行った「コミックエッセイ」に強化した足跡を中心に紹介する第3章
2000年代以降にヒットした作品や、SNS時代の特長を紹介する第4章
2010年以降はSNSが人々の暮らしに浸透しプロ・アマ問わずさまざまな人が発信できるようになり、多種多様なエッセイマンガが誕生することとなりました。
エッセイマンガを取り巻く環境の変化を感じながら各作品を読んでいくと「この時代だから、この作品が生まれたのか」や「この時代に、このテーマで作品を描いたのはチャレンジだったな」など新たな気づきが生まれます。
■「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展」
『ダーリンシリーズ』で知られる西原理恵子さんを紹介するパネル。それぞれの作者に合わせた特別処方のキャッチコピーにも注目
最後に倉持学芸員に本展について伺うと「エッセイマンガはストーリーマンガよりも一段下に見られることがあり、エッセイマンガを専門に研究する人も少ないのが現状です。エッセイマンガを主役に据えた企画展は初ではないかと思っています。本展でこのジャンルのすごさが見直され、エッセイマンガの研究がさらに進めばいいなと思い企画しました。一般的な展示のテキストでは主観を入れないことが原則ですが、本展ではあえて主観を盛り込んで作品を紹介するコーナーもあり、実感たっぷりに人生に効く一冊を紹介しています。本展をきっかけにすばらしい作品との出合いがあると嬉しいです」と思いを語ってくださいました。
エッセイマンガの歴史をたどりながら、考察できる本展。自分なりにエッセイマンガを捉え直し、今後どのように発展していくのか未来を予想してみてはいかがでしょうか。
【わたしをすくう エッセイマンガの処方箋展】
開催期間:2026年4月25日(土)~9月1日(火)※休館日/毎週水曜日、6月15日(月)~19日(金)
会場:京都国際マンガミュージアム2階 ギャラリー1・2・3
料金:無料 ※ミュージアムへの入館料は別途必要(京都国際マンガミュージアム入館料/大人1200円、中高生400円、小学生200円)


