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『活撃 刀剣乱舞』と巡る 京都の刀剣ヒストリー 〜第2回 「元の主」の歴史〜

 

 2017年7月よりテレビ放送が開始され、今年の京まふコラボビジュアルにも登場しているアニメ『活撃 刀剣乱舞』。立命館大学映像学部 企業連携プログラム学生チームでは、京都とゆかりのある刀剣スポットを訪ね「彼ら自身」である刀剣そのもの、また彼らを使用していた「元の主」である歴史上人物や、彼らを作り出した刀工について、スポット関係者のかたにインタビューを行うシリーズ企画「『活撃 刀剣乱舞』と巡る 京都の刀剣ヒストリー」を実施しました! 前回の刀剣の歴史に続いて、今回は刀剣を使用していた歴史上人物、『刀剣乱舞』で言う「元の主」の歴史のご紹介です。

 第2回となる今回の刀剣スポットは、東山区にある日本唯一の幕末維新総合博物館・霊山歴史館です。作品内でも活躍する和泉守兼定、堀川国広の「元の主」である新選組副長・土方歳三、また彼が所属した新選組や、土方が使用していた刀剣について霊山歴史館 学芸課長・木村武仁氏にお話を伺いました。

  • まずは土方歳三本人や、新選組についてのお話を伺いたいと思います。最初に、新選組副長・土方歳三とはどのような人物だったのでしょうか。

一般的には「鬼の副長」と呼ばれ、新選組の組織づくりに尽力した人物と言われています。他の藩や幕府との外交を主におこなっていた局長・近藤勇に対し、彼を補佐し、近藤ひとりでは見きれない隊士の世話など隊の内部をまとめる役割を担っていました。

土方は子供時代、大きな商人の家に丁稚奉公に出ていたことがあります。結果商人としては大成しなかったのですが、この経験で学んだ組織づくりのノウハウを新選組の組織づくりに活かしていたのでしょう。

 

  • 続いて、彼らが所属していた新選組とは、どのような組織だったのでしょうか。

同じく近藤が率いていた「壬生浪士組」が前身となっています。当初の目的としては、将軍と共に大阪湾で外国人を追い払うこと(攘夷)、また将軍の警護をすることを目的に集まった浪士の集団でした。やがて活動が認められ、京都の治安維持を担当する京都守護職の「御預かり」となると、その義務として不本意ながらも京都市中見回りを担当するようになりました。1864年(元治元年)の池田屋事件の少し前に、老中に対して「このまま市中見回りを続けさせるようなら、新選組を解散し江戸に帰る許可が欲しい」と嘆願していたことからも、市中見回りが不本意な業務であったことがわかります。

その後、池田屋事件にて長州・土佐の倒幕派を斬ってしまったことから、敵対する対象が外国人から倒幕派の志士へ、また同年に起こった禁門の変によってそれが朝廷の敵(朝敵)の倒幕派・長州藩へと変わります。したがって、活動の目的も当初のものとは大きく変化していきます。しかし「幕府と朝廷のために働きたい」という思いは一貫していました。

 

  • 新選組と同じく、京都の見回りを担当していた集団に「京都見廻組」があります。彼らと新選組にはどのような違いがあるのでしょうか。

京都見廻組は、「御家人」と呼ばれる幕府直属の武士によって構成されている、いわば公務員のような存在です。彼らは身分が保証されているため、基本的に京都守護職から命じられた業務のみを行っていました。対する新選組は「京都守護職御預かり」であり、臨時雇用のような扱いであったため身分は保証されていません。京都守護職に気に入られようと、命じられた以上の仕事をしていたようです。

 

  • 「身分は保証されていなかった」とのことですが、このような不安定な職で、新選組隊士は組の活動だけで生活をまかなえていたのでしょうか。

新選組は給料制であり、基本給として月に3両(現在の9万円)、これに加えて、活躍した隊士には歩合制の褒美金が与えられていました。現在の9万円というと安く聞こえますが、当時は4万5千円で家族5人の生活がまかなえたため、生活するには十分の金額であったといえます。また、戦の際に最前にいた隊士は多め、後方の隊士は少なめなど、褒美金の金額にも細かい規定があり、完全な実力主義の方針がとられていたようです。

ちなみに、亀山社中の月給は固定給で3両2分(10万5千円)、海援隊も固定給で5両(15万円)であったと言われています。新選組は臨時収入があるとはいえ、いつ死ぬかわからない仕事をしてのこの給料と考えると、高給とは言い難いと思います。

 

  • 新選組の、京都における主な活動はどのようなものだったのでしょうか。

普段の活動では、市内見回りを担当する隊士と非番の隊士の2組に分かれていました。非番のときは午前中に稽古・午後には市内見物に出向くなど、比較的自由な行動が許されていたようです。ただし、隊士は全員屯所に共同生活をしていたため門限があり、市中に出掛けても門限までには帰ってくるよう決められていました。

 

  • ありがとうございます。それでは新選組についてのお話はここまでに致しまして、お次は土方歳三が使用していた刀についてお話を伺いたいと思います。

『活劇 刀剣乱舞』では、土方が使用していた「和泉守兼定」「堀川国広」の二振がメインキャラクターとして活躍します。これらを含め、土方はどのような刀剣を使用していたのでしょうか。

土方は、時期は分かれますが主に4本の刀を使用していたと言われています。京都にいた頃に使用していたのが二尺八寸(刃渡り約85cm)の「和泉守兼定」、また一尺九分五寸(刃渡り約59cm)の長脇差「堀川国広」の二振です。またこの他に、戊辰戦争で共闘した秋月登之助に譲り、現在は霊山歴史館で所蔵している「大和守源秀国(やまとのかみみなもとのひでくに)」と、土方の姉婿であり、新選組の支援者でもあった日野の佐藤彦五郎家が所蔵している「越前康継(えちぜんやすつぐ)」を使用していました。戦闘の多い新選組隊士にとって刀は消耗品でしたので、この他にも多数の刀を所持していたとされています。

 

  • これらの刀剣にまつわるエピソードなどはありますでしょうか。

「和泉守兼定」と「堀川国広」の二振ですが、どちらも一般的な刀に比べ長いのが特徴です。刀の「長さ」とは刃渡りのみの長さのことを指すため、柄などの部分を含めるともっと長いということです。特に堀川国広の長さは59cmと、脇差にも関わらず大刀に匹敵する長さです。

局長・近藤勇は、佐藤彦五郎に当てた手紙で「脇差、長きほどよろしく御座候」(脇差は長ければ長いほど良い)と記しています。実戦の最中に主に使用する大刀が折れてしまっても、長い脇差であれば大刀の代わりになるからというのがその理由です。土方は近藤のこの方針に賛同し、長脇差の堀川国広を使用していました。また当時、攘夷派志士の間で「攘夷刀」と呼ばれる非常に長い刀が流行していました。これに対抗するために、新選組隊士も長い刀を使用していたとも言われています。

また近藤は、大名などの上流階級が所有するような虎徹作の刀・長曽禰虎徹を所持していたと言われています。当時からの名刀を使用していたところからも「刀は自分の命を預けるものであるから、できる限り良いものを」という近藤の信念が感じ取れます。対して、土方が使用していた和泉守兼定・大和守源秀国は当時の現代刀であり、安く手に入りやすいものでした。どちらも実用向きの刀で「刀は消耗品であるから、よく斬れて安いものを」という土方の合理的な姿勢がわかります。

しかし土方は刀の外見にお金をかけるタイプであり、例えば当館で展示している大和守源秀国は、鞘に青貝が散らしてあるなどお洒落な造りが特徴的です。一般的に武士は拵えに凝ることはないのですが、ここから土方の派手好きでお洒落を好む性格が伺えます。

  • 詳しいお話、ありがとうございました!

 霊山歴史館には新選組の他にも、坂本龍馬や明治維新についてなど、幕末〜明治にかけての資料が数多く展示されています。また、現在開催中の特別展「新選組、義に生きる!!」では、インタビューでもご紹介した「大和守源秀国」と、近藤勇の愛刀「阿州吉川六郎源祐芳(あしゅうきっかわろくろうみなもとのすけよし)」を並べて展示されています。土方・近藤両者の刀へのこだわりが感じられる、2つのあつらえの違いを比べて見られるチャンスです。京都で作られた刀が、150年ぶりに京都で再会を果たしているこの機会に、皆さんもぜひ足をお運びください! 周辺には急な坂が多いので、歩きやすい靴で行かれることをおすすめします。

 今年の「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)」は9月16日・17日開催。こちらもぜひチェックしてくださいね!

ライター

立命館大学映像学部学生チーム

メディア業界を目指す立命館大学映像学部生によるインターンのチームです。毎年、ファン視点からトレンドをピックアップできるのが強み。実際、このインターンを経て業界で活躍しているOB、OGも。ぜひ暖かく見守ってください!

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