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単行本4巻発売記念!漫画『恋せよキモノ乙女』作者・山崎零独占インタビュー!
- 2019/7/9
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▲着物好きな山崎先生に、初夏の装いでお越しいただきました!
京都の街を歩くと、着物姿の人をよく見かけます。着物は、日本古来の衣服であり、身にまとうと特別な気持ちにさせてくれますよね。
着物を好きな女の子が、着物を着ておでかけする姿を描いた漫画『恋せよキモノ乙女』には、着物姿が映えるような京都のスポットもたくさん登場します。
2019年7月9日に『恋せよキモノ乙女』単行本4巻が発売されることを受け、4巻に登場する京都・東山の長楽館にて、作者である山崎零先生にお話を伺いました!
主人公ももちゃん誕生秘話
三崎 :『恋せよキモノ乙女』の主人公ももちゃんは、祖母から受け継いだ着物を大切に着ている少し引っ込み思案な女の子。着物をテーマにした漫画を描かれるにあたって、ももちゃんのような女の子を主人公としたのはなぜですか?
山崎先生:ももちゃんは「読者の皆さんに愛される主人公って、どんな主人公だろう?」という考えと、私の中から生まれたものがミックスされた存在なんです。 この漫画を描くことになった時、慎重に物語を作らなければいけないという思いがあって。着物は、周りからの目が厳しい世界だという印象が肌感覚であったんですよね。出版社から全国発売される漫画は広く読んでいただけるからこそ、どういった物語がいいのか悩みました。はじめから洋装MIX(着物と洋服を組み合わせて着る着こなし)等の自由な着こなしをするのではなく、スタンダードな着こなしで、着物の魅力が伝わる主人公にするのが良いのではないかと思ったんです。現代で皆さんに身近に感じてもらえる主人公は?と考えた時に、お金持ちで着道楽のお嬢様ではなく、一般企業に勤めていて、どこにでもいる女の子が良いと思いました。
着物に興味はあるけれど着たことがない方、着物に興味のない方に「着物って素敵だな」「着てみたいな」と思ってもらえる物語・キャラクターにしたいと思っていました。
三崎 :リーズナブルに着物を楽しむ方法ならば、アンティーク着物やリサイクル着物もありますが「おばあちゃんのおさがり」にこだわった理由はありますか?
山崎先生:知人のおばあちゃんから、素敵な着物を譲り受けたことがあるんです。その経験から「おばあちゃんのおさがり」って、一番身近で素敵だなと思ったのが、この設定にしたきっかけです。アンティーク着物やリサイクル着物もとても素敵なので、これから漫画で描いていきたいです。
三崎 :いろいろな部分に想像力を働かせて生まれた主人公なのですね。
山崎先生:素直でまっすぐな彼女の性格は、この物語の主人公の軸として私の中で自然に湧き上がってきたものでした。
なぜ着付けのシーンを描くのか
▲一話より。主人公ももの着付けシーンは、作品の見どころの一つ。
三崎 :『恋せよキモノ乙女』で、着物をまとっていく姿をしっかり描いているのはなぜですか?
山崎先生:最初の打ち合わせでは、女の子がおでかけするまでの姿を描いた短い着物漫画を描く予定でした。掲載する雑誌には男性読者が多くいらっしゃるので、普段覗き見ることのできない部分を見せられたら面白いんじゃないかという話になりました。着付けをしているシーンをしっかり描くのは、その頃から決めていたことです。
三崎 :でも、『恋せよキモノ乙女』は恋のお話ですよね?
山崎先生:ネームを練っている時に、本筋になるようなストーリーがあったほうが面白いのでは?ということになって、今の形になりました。
三崎 :着付けのシーンに、モデルはいらっしゃるのでしょうか?
山崎先生:私です(笑)自分自身が着物を着ている様子を母に撮ってもらって描いています。
三崎 :着物は昔からお好きなのですか?
山崎先生:昔から、民族衣装の刺繍や服飾の文様に興味がありました。ただ、実際に着付けを習って自分で着物を着始めたのは、数年前です。以前描いていた連載が急に終わってしまったことがあったのですが、その時ぽっかりと時間が空いてしまって。その時に「時間がなくて」を理由にしてやっていなかったことをやろうと思い、着付けを習い始めました。
▲この日のコーディネートは、小千谷縮の単衣の着物に、TSUBAKIANの半襟を合わせて華やかに。
半襟と帯の色合わせを楽しまれています。
奇跡のタイミング!長楽館登場の裏話
▲4巻収録の22話より。長楽館での姉の披露宴の様子が描かれています。
三崎 :『恋せよキモノ乙女』は、毎話、ももちゃんが着物でどこかにおでかけしていますが、4巻に収録される22話では、京都・東山にある長楽館が登場します。ももちゃんの姉の結婚式の会場として、長楽館を選んだ理由を教えてください。
山崎先生:長楽館は知人の結婚式で何度か訪れたことがあって「いつか描きたい!」と思っていたのですが、結婚式の最中に取材をするというのは、お祝いの席ですし、中々できなくて(笑) ただ、この作品で姉が結婚することは決まっていて、もし取材するチャンスがあれば長楽館での結婚式のシーンが描きたいと思っていたタイミングで、仲の良い先輩が長楽館で結婚式を挙げることが決まったんです。
三崎 :素晴らしいタイミングですね!(笑)
山崎先生:はい(笑) 先輩に取材しても良いかを確認したら、快くOKしてくださいました。漫画に出てくる結婚式のシーンは、先輩の結婚式の景色をそのまま使わせてもらいました(笑)
三崎 :お姉ちゃんの結婚式が描かれた22話に、ほとんどセリフがないのはなぜでしょうか?
山崎先生:この回は、無声(ほとんどセリフや説明がない描き方)で描こうと決めていました。2人は仲が良い姉妹で、説明のいらない関係性だと思うんですよね。お姉ちゃんへの想いや、結婚式に向けての準備で感じたことは、文字にしなくていい。この回に関していえば、言葉や説明は雑音に感じてしまうような気がしました。いつもなら必ず入れる着物の説明も省いて、お姉ちゃんが最後に言うセリフが引き立つようにしています。実は、意図的にページ数もいつもより少なくして、そのシーンに集中できるようにしました。
三崎 :長楽館は、明治42年に国内外の賓客をもてなす迎賓館として建築され、現在は京都市有形文化財の指定を受けています。細部までこだわった設えが魅力的な場所ですが、こういった場所を絵で描くのは大変ですか?
山崎先生:大変ですね。ただ、ももちゃんはこういう場所が好きだろうなと思います。漫画に登場させるかどうかは、ももちゃんが行きたいと思う場所かどうか、絵になるかどうかで判断しています。ももちゃんがその場所に立ったらどう動くかを、取材の時は妄想しています。取材に行ったけど、描かなかった場所もあります。
単行本4巻の見どころは、ももちゃんの変化!
三崎 :4巻の見どころを教えてください。
山崎先生:ももちゃんが、一歩踏み出すところです。単行本3巻までは、おばあちゃんの着物・着こなしを踏襲してきましたが、4巻では、収録されている最初の3話でスタイリストさんからスタイリングをしていただけたので、ももちゃんが今までにしたことのない着こなしを体験することができたんです。モリタマミさんスタイリング回(19話)では「おばあちゃんの着物でも自分らしさを表現できる」と気付き、うさこまさんスタイリング回(20話)では「和装にブーツの取り合わせの良さ」に気付き、コバヤシクミさんスタイリング回(21話)では「海外の色味を取り入れるといつもと違う私になれる」と気付く。3話それぞれに違う気付きがあります。そして、22話はお姉ちゃんの結婚式の話。一番の味方である仲良しの姉が、結婚して家を出る。姉の結婚によって「このままの私でいいんだろうか」と、ふと立ち止まって思うんです。4巻収録の6話のうち、22話を区切りに、ももちゃんは次のステップに進もうとするんです。
着物を好きになるきっかけになれば最高!
▲山崎先生の足元は、サンダル。
こんな自由な着こなしも、今後作品に登場するかも?
三崎 :最後に、この記事を読んでくださる皆さんにメッセージをお願いします。
山崎先生:ももちゃんはスタンダードな着こなしの女の子ですが、これからの展開の中で、洋装MIXや色々な着物のスタイルに出会い成長してく姿を描きたいと思っています。今後も、着物の素敵なところをたくさんご紹介できたらいいなと思っています。着物に興味のなかった方が、漫画を読むことで「着物っていいな」と思ってもらえたら最高ですよね!単行本1冊につき6話収録されていますが、6話で関西6府県をすべて登場させています。1冊に必ず1回は京都が出てくるので、ぜひ着物で出かけて欲しいです。
三崎 :『恋せよキモノ乙女』の聖地巡礼は着物で、ですね!
着物に興味がなかった方にも手に取っていただけたら嬉しい、という山崎先生。着物の素敵なところをぎゅっと詰め込んだ『恋せよキモノ乙女』、単行本4巻は2019年7月9日発売です!
©山崎零/新潮社
・『恋せよキモノ乙女』:
https://kuragebunch.com/episode/10834108156629657504
・山崎零(ヤマザキゼロ)Twitter:
https://twitter.com/kanariazero
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