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【京都ヒストリカ国際映画祭】 ディレクターズユニブ板倉様インタビュー後編。みんなが体験できる映画祭を作りたい。 交流が増え、コミュニティ映画祭にしたい。
- 2021/12/29
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Q この映画祭に関わるようになったきっかけを教えてください。
板倉 2008年に京都市内に『株式会社ディレクターズ・ユニブ』という会社を友人と設立しました。映画の仕事がしたいとは思っていましたが、当時は京都で映画の仕事というと、撮影所ぐらいしか考えられなかったので、会社では映像制作やウェブサイトのデザインなど、広告物の企画制作を行っていました。
ちょうどそこ頃に、前職の京都国際学生映画祭の事務局でお世話になっていた森脇さんから「京都で映画祭のプロジェクトを始めるから一緒にやらないか」と声をかけて下さいました。27歳だったと思います。その会議で高橋さんと出会い、映画祭の立ち上げから関わらせていただいきました。
Q これまでの映画祭で、歴史コンテンツはどういった形で展開されていたのでしょうか?
板倉 例として、第8回の映画祭で、忍者映画の特集を行いました(編注:2016年、「HISTORICA FOCUS 忍者映画100年進化論−忍者エボリューション−」)。かなり独特なプログラミングだったと思うのですが、結果的に時代劇の豊かさがとてもよく分かった企画でした。『豪傑児雷也』(編注:1921年、マキノ省三監督)から始まり、2000年代のハリウッド映画の『ミュータント・タートルズ』やアニメの『NARUTO』までの忍者映画の変遷を辿っていくというものでした。日本映画の中の忍者映画の流れから、海外に忍者が受け入れられハリウッドで制作された忍者映画、さらには子供たちを魅了し続けているアニメまで、少し乱暴な解釈はあるかもしれませんが、ヒストリカでしかできない忍者映画の特集だったと思います。
Q 「忍者」という題材を選択した理由と、そこから得られた事はなんでしたか?
板倉 忍者映画は、一般的には「時代劇」として捉えても問題ないと思うのですが、『ミュータント・タートルズ』までいくと、誰も時代劇と思って観ていないと思います。もちろん『NARUTO』もそうだと思います。「時代劇」が前面になくても、結果的に「時代劇」という設定を借りて物語を作ることによって、読み手がすんなりと没入出来ている作品はたくさんあると思います。それは映画だけでなく、ゲームやアニメなどにも多いと思います。『鬼滅の刃』も、あの時代背景だからこそ、あそこまで受け入れられたのではないかと思います。「忍者」という題材を通して、ジャンルや国籍を超えた映画の面白さに触れた今でもすごく印象深いプログラムです。
Q 参加者の方々の感想はどのようなものでしたか?
板倉 「初めてこういう視点で『NARUTO』を見た」という感想を頂いたんですが、これからもわかる通り、実はみんな『NARUTO』を忍者映画だと思って見てない事がわかります。改めてこういう流れで観て、「斬新」・「新鮮」っていう事を沢山言っていただけたのは、企画冥利に尽きるなと思っています。
Q それを踏まえた、今後の歴史コンテンツの展開の方法はどうお考えですか。
板倉 今もまだ、「時代劇」は「古い」というイメージが強い気はしてるんですけど、忍者映画の企画のようなプレゼンテーションをすることによって、僕らが普段観てるアニメも漫画も、時代劇とつながっているという感覚になると、もう少し僕らの映画祭を面白がってくれる人も増えるんじゃないかという思いがあります。僕自身も、この映画祭の運営を通して、プログラミングをしている高橋さんや森脇さんに「時代劇の面白さ」を日々、教えてもらっています。今後は、オンラインなども活用しながら、お客さんも巻き込んで、ディスカッションできる場などを広げていければと思っています。
Q 今後の展開や映画祭の展望などを教えていただきたいです。
板倉 個人的な考えですが、一つは映画、ゲーム、アニメ、漫画などの歴史コンテンツアワードという憲章制度を作ることで、この映画祭のコンセプトが打ち出しやすくなると思っています。例えば、去年であれば、漫画部門・アニメ部門は『鬼滅の刃』、ゲーム部門は「ゴースト・オブ・ツシマ」と憲章するだけで、ヒストリカのメッセージが伝わるのかなと思っています。もちろん、世界には僕らが知らないような時代劇・歴史コンテンツがあるので、それこそ日本だけでなく世界のコンテンツを対象に実施できると面白いと思っています。
他にも、タイムテーブルの都合上、最近はあまりシンポジウムなどができていません。様々なテーマで語り合える場として、サミットのようなことをしたいという思いがあります。これらもオンラインを活用することで、広がりのある形が作れそうな気がしています。
Q では、その目標に向けての動きなどはありますか?
板倉 数年前から始めている「HISTORICA XR」という事業があります。これはXR技術だけでなく、映像に関わる最新技術に関わるセミナーなどを映画祭の中で実施しているものです。昨年度であれば、新しい映像制作のワークフローとして話題になっているバーチャルプロダクションなど、ゲームエンジンである「Unreal Engine 4」を活用した映像制作に関わるセミナーを企画しました。ゲーム業界やアニメ業界、もちろん映画業界など、様々な方面から参加いただきました。映画上映だけをやっていたらヒストリカに来ることない方々などが、このようなセミナーを実施することで参加してくれます。それぞれの業界の接点となるようなセミナーを実施していき、交流・ネットワーキングというような新しい創作につながるきっかけをこの映画祭でできればと思っています。
また京都は大学や専門学校も多いので、もっと学生のみなさんが関わる企画も考えて行かなくてはいけないと思っております。ありがとうございました!
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