京都発:マンガ・アニメ、映画・映像、ゲーム、クロスメディア、メタバースのポータルメディア

【京都ヒストリカ国際映画祭】 ディレクターズユニブ板倉様インタビュー後編。みんなが体験できる映画祭を作りたい。 交流が増え、コミュニティ映画祭にしたい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Q この映画祭に関わるようになったきっかけを教えてください。

板倉 2008年に京都市内に『株式会社ディレクターズ・ユニブ』という会社を友人と設立しました。映画の仕事がしたいとは思っていましたが、当時は京都で映画の仕事というと、撮影所ぐらいしか考えられなかったので、会社では映像制作やウェブサイトのデザインなど、広告物の企画制作を行っていました。
ちょうどそこ頃に、前職の京都国際学生映画祭の事務局でお世話になっていた森脇さんから「京都で映画祭のプロジェクトを始めるから一緒にやらないか」と声をかけて下さいました。27歳だったと思います。その会議で高橋さんと出会い、映画祭の立ち上げから関わらせていただいきました。

 

Q これまでの映画祭で、歴史コンテンツはどういった形で展開されていたのでしょうか?

板倉 例として、第8回の映画祭で、忍者映画の特集を行いました(編注:2016年、「HISTORICA FOCUS 忍者映画100年進化論−忍者エボリューション−」)。かなり独特なプログラミングだったと思うのですが、結果的に時代劇の豊かさがとてもよく分かった企画でした。『豪傑児雷也』(編注:1921年、マキノ省三監督)から始まり、2000年代のハリウッド映画の『ミュータント・タートルズ』やアニメの『NARUTO』までの忍者映画の変遷を辿っていくというものでした。日本映画の中の忍者映画の流れから、海外に忍者が受け入れられハリウッドで制作された忍者映画、さらには子供たちを魅了し続けているアニメまで、少し乱暴な解釈はあるかもしれませんが、ヒストリカでしかできない忍者映画の特集だったと思います。

Q 「忍者」という題材を選択した理由と、そこから得られた事はなんでしたか?

板倉 忍者映画は、一般的には「時代劇」として捉えても問題ないと思うのですが、『ミュータント・タートルズ』までいくと、誰も時代劇と思って観ていないと思います。もちろん『NARUTO』もそうだと思います。「時代劇」が前面になくても、結果的に「時代劇」という設定を借りて物語を作ることによって、読み手がすんなりと没入出来ている作品はたくさんあると思います。それは映画だけでなく、ゲームやアニメなどにも多いと思います。『鬼滅の刃』も、あの時代背景だからこそ、あそこまで受け入れられたのではないかと思います。「忍者」という題材を通して、ジャンルや国籍を超えた映画の面白さに触れた今でもすごく印象深いプログラムです。

 

Q 参加者の方々の感想はどのようなものでしたか?

板倉 「初めてこういう視点で『NARUTO』を見た」という感想を頂いたんですが、これからもわかる通り、実はみんな『NARUTO』を忍者映画だと思って見てない事がわかります。改めてこういう流れで観て、「斬新」・「新鮮」っていう事を沢山言っていただけたのは、企画冥利に尽きるなと思っています。

 

Q それを踏まえた、今後の歴史コンテンツの展開の方法はどうお考えですか。

板倉 今もまだ、「時代劇」は「古い」というイメージが強い気はしてるんですけど、忍者映画の企画のようなプレゼンテーションをすることによって、僕らが普段観てるアニメも漫画も、時代劇とつながっているという感覚になると、もう少し僕らの映画祭を面白がってくれる人も増えるんじゃないかという思いがあります。僕自身も、この映画祭の運営を通して、プログラミングをしている高橋さんや森脇さんに「時代劇の面白さ」を日々、教えてもらっています。今後は、オンラインなども活用しながら、お客さんも巻き込んで、ディスカッションできる場などを広げていければと思っています。

 

 

Q 今後の展開や映画祭の展望などを教えていただきたいです。

板倉 個人的な考えですが、一つは映画、ゲーム、アニメ、漫画などの歴史コンテンツアワードという憲章制度を作ることで、この映画祭のコンセプトが打ち出しやすくなると思っています。例えば、去年であれば、漫画部門・アニメ部門は『鬼滅の刃』、ゲーム部門は「ゴースト・オブ・ツシマ」と憲章するだけで、ヒストリカのメッセージが伝わるのかなと思っています。もちろん、世界には僕らが知らないような時代劇・歴史コンテンツがあるので、それこそ日本だけでなく世界のコンテンツを対象に実施できると面白いと思っています。
他にも、タイムテーブルの都合上、最近はあまりシンポジウムなどができていません。様々なテーマで語り合える場として、サミットのようなことをしたいという思いがあります。これらもオンラインを活用することで、広がりのある形が作れそうな気がしています。

 

Q では、その目標に向けての動きなどはありますか?

板倉 数年前から始めている「HISTORICA XR」という事業があります。これはXR技術だけでなく、映像に関わる最新技術に関わるセミナーなどを映画祭の中で実施しているものです。昨年度であれば、新しい映像制作のワークフローとして話題になっているバーチャルプロダクションなど、ゲームエンジンである「Unreal Engine 4」を活用した映像制作に関わるセミナーを企画しました。ゲーム業界やアニメ業界、もちろん映画業界など、様々な方面から参加いただきました。映画上映だけをやっていたらヒストリカに来ることない方々などが、このようなセミナーを実施することで参加してくれます。それぞれの業界の接点となるようなセミナーを実施していき、交流・ネットワーキングというような新しい創作につながるきっかけをこの映画祭でできればと思っています。
また京都は大学や専門学校も多いので、もっと学生のみなさんが関わる企画も考えて行かなくてはいけないと思っております。ありがとうございました!

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ピックアップ記事

【公式イベント情報】植松伸夫氏率いるconTIKIや綾部和氏など豪華ゲストが続々登場!京都開催の「BitSummit the 13th」ステージイベント第1弾情報を公開!(開催日:2025/7/18~20)

「京まふ2025」メインビジュアルは京乃つかさと太秦萌の着物の〇〇〇に注目⁉作者・桃奈さくらさんにインタビュー!

【公式イベント情報】「BitSummit the 13th」オフィシャルセレクション&会場MAP公開!スポンサー企業様・企業出展に関する追加情報も!(開催日:2025/7/18~7/20)

お酒を片手に語り合う「地下鉄に乗るっ」のIFと未来~設定資料集から幻の脚本まで!?【地下鉄に乗るっ アニメーション展】クロージングイベントレポート

【公式イベント情報】「BitSummit the 13th」オフィシャルPRサポーターズによる配信連動プレゼントキャンペーンがスタート&追加出演とゲスト決定のお知らせ!

あなたの癖が、AIをもっと自由にする「生成AIなんでも展示会」イベントレポート

魚雷映蔵佐野リヨウタさんに訊く。「地下鉄に乗るっ アニメーション展」の裏側と、コンテンツを取り巻く厳しい現状

長い線路の上を、一緒に地下鉄に乗ってこれた感謝。思い出の地、VOXビルで感動が蘇った一夜【地下鉄に乗るっ アニメーション展】オープニングイベントレポート

【クリエイター支援情報】「 BitSummit the 13th Summer of Yokai」でゲーム会社向けJLOX+補助金&個別相談会実施!(開催日:2025/7/18~7/19)

マンガを通して日台関係の歴史をみる。「台湾の少年と日本の少年~巡り合うマンガ文化の百年~」企画展レポート【京都国際マンガミュージアム】

マンガを通じた日台友好は、かつての少年たちが切り開いた歴史。「台湾の少年と日本の少年~巡り合うマンガ文化の百年~」オープニングイベントレポート【京都国際マンガミュージアム企画展】

【公式イベント情報】「BitSummit the 13th」最新情報!「しんじさん」など人気配信者・クリエイターたちの参加決定&その他情報も!

【公式イベント情報】京都で開催の国内最大級インディーゲームイベント「BitSummit the 13th」チケット販売開始&スポンサー企業様・企業出展に関する情報公開!(開催期間:2025/7/18~7/20)

京都から自作ゲームを発信しよう。クリエイターと企業が出会う場【OPEN GAME FEST】現地レポート

【公式イベント・クリエイター支援情報】時代劇・歴史劇ジャンルの映画企画コンテスト「2025年度第17回京都映画企画市」の企画募集が開始!(応募〆切:2025/7/15)

全て表示

2025年度の人気記事

あなたの癖が、AIをもっと自由にする「生成AIなんでも展示会」イベントレポート

【京都コンテンツ関連情報】京都は7月から!「サンリオキャラクターズ」のスペシャルアニバーサリーマーケットが全国の百貨店を巡回!(開催期間:2025/7/1~7/20)

長い線路の上を、一緒に地下鉄に乗ってこれた感謝。思い出の地、VOXビルで感動が蘇った一夜【地下鉄に乗るっ アニメーション展】オープニングイベントレポート

『アイドルマスター シンデレラガールズ』がレジャー施設・温浴施設とコラボレーション 全国お出かけ周遊イベント「レジャフェス」第3弾が6月4日よりスタート

魚雷映蔵佐野リヨウタさんに訊く。「地下鉄に乗るっ アニメーション展」の裏側と、コンテンツを取り巻く厳しい現状

全て表示

人気記事ランキング

ついに鶴丸がやってくる!聖地・藤森神社での太刀「鶴丸」(写し)の奉納・展示がまもなくスタート!

10月6日までイベント開催中!【鬼滅の刃 京ノ御仕事】東映太秦映画村でのコラボをご紹介!

京都通になれる!?TVアニメ『京都寺町三条のホームズ』聖地巡礼

「孤独のグルメ」原作者:久住昌之氏、「FFシリーズ」生みの親:坂口博信氏が登壇するセミナー、京都で開催!【10/16・30、参加費無料】

寺町三条のホームズ原作者、望月麻衣先生独占インタビュー&聖地巡礼!

平安貴族は〇〇を見せない?若者の服は〇色!?「光る君へ」マンガ「あさきゆめみし」が100倍面白くなる!京都文化博物館【紫式部と『源氏物語』】学芸員さんに話を聞いてきたパート2

京都通になれる!?TVアニメ『京都寺町三条のホームズ』聖地巡礼 その2

アニメ『有頂天家族』の聖地としても有名な京都の下鴨神社でみたらし祭開催中【07/30まで!】

巡ってわかる、心の距離。TVアニメ『月がきれい』聖地巡礼~前編~

【映画・歴史好き必見】東映太秦映画村の魅力をどどんとご紹介!新選組隊士の殺陣や実写映画『銀魂』等様々なロケが行われているオープンセット、仮面ライダー立像の撮影も可能!

全て表示

カテゴリ一覧

種類別カテゴリ

ジャンル別カテゴリ

年別記事一覧

ページ上部へ戻る