京伴祭2025 後半戦 ― 音楽の熱狂はクライマックスへ(京伴祭レポート後編)
- 2025/10/21
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90年代から令和まで―和田薫さん、名作アニメ劇伴の旅路
DJ TAIJIさんの熱い盛り上げに続いて、観客の手拍子に迎えられて登場したのは、犬夜叉や金田一少年の事件簿など数々の名作アニメの劇伴を手がけてきた作曲家・和田薫さん。
まさに“大御所”の登場に、会場はどこか懐かしさと高揚感に包まれました。
まずステージに立った和田さんは開口一番、親知らずを抜いて腫れていることを告げ、軽やかな自己紹介から始めます。
今回が京伴祭初出演であること、前日は兵庫での「アニメ・オーケストラ」に出演しており、二日連続のはしご公演になったことなど、ユーモアを交えた語りに会場も和みました。そして「90年代から時代を追うように演奏していきます」と語り、コンサートが幕を開けます。
まずステージに立った和田さんは開口一番、親知らずを抜いて腫れていることを告げ、軽やかな自己紹介から始めます。
今回が京伴祭初出演であること、前日は兵庫での「アニメ・オーケストラ」に出演しており、二日連続のはしご公演になったことなど、ユーモアを交えた語りに会場も和みました。そして「90年代から時代を追うように演奏していきます」と語り、コンサートが幕を開けます。
1曲目は1996年放送『ゲゲゲの鬼太郎(第4期)』より「総力戦」「レクイエム~魂の安らぎ」のメドレー。スクリーンには当時の映像が映し出され、しっとりとした雰囲気に。和田さん自身も「ゆっくり、のんびり、楽しんでいただけたら」と語り、観客も耳を傾けます。
続いて2曲目は、2008年ノイタミナ枠で放送された『墓場鬼太郎』から「ようこそ墓場へ」。照明もどこか不穏に変わり、会場は一気に怪しげな空気に。
和田さんは「皆さんのサイリウムが魂のように見えて、不気味で良いですね」と微笑み、観客を楽しませました。
3曲目は『金田一少年の事件簿』のメインテーマメドレー。
「疾走」「じっちゃんの名にかけて!」「“YOUNG KINDAICHI” Main Theme」が次々に演奏され、和田さんは「当時は『金田一』と『コナン』が二本立てで放送されていて、『金田一』はどちらかというとホラー色が強かった。
事件もやむにやまれぬ事情が多くて、泣きのメロディーが入っているんです」と語ります。
続く4曲目は『金田一少年の事件簿R』から「明智警視登場」と「Rのテーマ」のメドレー。和田さんは明智警視について、「どのアニメでもサブキャラの方が人気になることがありますよね」と冗談交じりに紹介し、演奏後はスクリーンのシリアスなシーンを見て「結構惨殺シーンが多いですよね」と苦笑いしていました。
5曲目からは『犬夜叉』の楽曲へ。「半妖 犬夜叉」「時を超えて かごめ」「悲運の巫女 桔梗」のメドレーが披露されます。犬夜叉・かごめ・桔梗という三角関係に触れつつ、観客もそれぞれのキャラクターに思いを馳せる時間となりました。続く6曲目は劇場版第4作からのメドレー。
さらに7曲目では、物語は次世代へと移り『半妖の夜叉姫』の楽曲に。とわ、せつな、もろはそれぞれのテーマ曲が激しい疾走感で演奏され、会場は熱気に包まれます。
そしてラスト8曲目は、10月8日から第2期が放送される『らんま1/2』より「らんまとらんま」「メインテーマ」のメドレー。
和田さんは、12月24日に発売予定のサウンドトラックには第1期・第2期をあわせた楽曲が収録されると紹介。そのため、今回披露されたメインテーマも本来は第1期から存在していたものの、これまで世に出る機会がなかったそうです。「よろしかったらクリスマスに」と語り、作品愛あふれるパフォーマンスで締めくくられました。
会場は拍手に包まれ、懐かしさと新鮮さが入り混じる、和田薫さんならではのひとときとなりました。
再びMCの飯大郎さんと鈴木さんが登場し、和田薫さんのステージを振り返りつつ犬夜叉トークで盛り上げます。余韻に浸る会場に残ったのはDJ TAIJIさん。次の出演者を想起させるように『FAIRY TAIL』の楽曲をゆるやかに流し、さらに『BORUTO』のCMが映し出されると、観客の期待感は一気に高まります。暗転とともに「京伴祭!」の掛け声と手拍子が響き、舞台には普段より多い演奏者の姿。そして肩からキーボードを下げた高梨康治さんが華やかに登場すると、会場は総立ちの大歓声に包まれました。
高梨康治さん、圧巻のステージ!――フェアリーテイルからナルトまで、観客を総立ちに
オープニングは『FAIRY TAIL』を象徴する楽曲「ドラゴンフォース」。会場は瞬く間に赤一色に染まり、圧倒的な熱気に。高梨さんはチームメンバーとともにステージを駆け回り、観客を煽って大きな手拍子と歓声を引き出します。続く2曲目は「FAIRY TAIL メインテーマ2014」。スクリーンに流れる懐かしくも胸を熱くするシーンの数々に、観客は再び歓声を上げました。ヴァイオリンのAyasaさんによるソロはまさに圧巻で、会場を震わせます。
「ようこそ京伴祭へ。今年もみなさんに会えてうれしいです」と挨拶する高梨さん。黒を基調としたロック&ゴシック調の衣装に身を包んだメンバーたちは、統一感がありながらも個性が際立ち、ステージ全体の一体感と迫力を際立たせます。ヨーロッパ公演も共にしたボーカルのJunoさんとの掛け合いも軽快で、ステージはますます熱を帯びていきます。
3曲目は『FAIRY TAIL 100年クエスト』から「BEYOND THE QUEST」。
Junoさんの「Let’s go beyond the quest!」の掛け声とともに幕を開け、力強い歌声とシャウトで観客を引き込みます。藤澤健至さんのギターソロや高梨さんのキーボードソロも炸裂し、まさにバンドの真骨頂を見せつける一曲となりました。
続いて披露されたのは『キン肉マン 完璧超人始祖編』より「Amazing Muscle」。ここではスペシャルゲストとして和楽器バンドの黒流さんが和太鼓で参加。
この曲は「観客と一緒に盛り上がりたい」という高梨さんの強い思いが込められた参加型パフォーマンスで、高梨さんやJunoさんの煽りに合わせて観客も「Wow Wow」と声を響かせ、会場全体が一体感に包まれる圧巻の盛り上がりとなりました。
ここからは『NARUTO』パートへ。三味線のKIJIさん、エアロフォンの有里さんが紹介され、まずはメインテーマへ突入。
「だってばよ!」のコール&レスポンスで会場はさらに熱を帯びます。黒流さんの和太鼓と山本さんのドラムによる掛け合いは鳥肌もの。
続く「轟地に立つ」では、ナルトと九尾、カグヤとの激戦の映像と共に重厚なサウンドが響き渡りました。
ここで残り2曲と発表されると観客から「え〜!」の声。すると高梨さんは「え〜って言われるの、すごい好き」と茶目っ気たっぷりに応え、「あと2曲」「え〜」というコール&レスポンスを楽しみます。
続く「動天」は、ナルトファンなら誰もが聞き覚えのある代表曲。
タイトルを聞いた瞬間に観客が沸き立ちます。思い思いのカラフルなペンライトが揺れる中、演奏はクライマックスへ。
メンバー紹介の後、高梨さんは「いよいよラストですね。続きはまた……次はいつだろ、、まぁでも、京伴祭はまたやります、どっちにしろ」と、まさかの出演確定を宣言。観客は大歓喜に包まれます。最後を飾ったのは「形勢逆転」。コンバスの長谷川さんやJunoさんもペンライトを振りかざして盛り上げ、エアロフォンやヴァイオリンのソロに鳥肌が立ち、落ちサビで旋律だけが浮かび上がる瞬間には、会場全体が息を呑みました。
圧巻のステージは大盛況のうちに終了。「この後も楽しんでください!」と高梨さんが声をかけ、観客の熱狂を残したまま幕を閉じました。
再びMCの飯大郎さんと鈴木さんが登場。ステージの盛り上がりに触れながら、「会場の気温、あがってません?」と熱気に包まれた会場の雰囲気を伝えます。最後に「いよいよトリ、林さんのステージです」と締めくくり、次のステージへとバトンを渡しました。
林ゆうきさん、堂々の登場!主催者として、そして劇伴作家として圧巻のステージを披露
キーボードの前に現れた林さんは、主催者らしい堂々たる登場。「今日も劇伴が最高に面白いということを証明したいと思います」と痺れる一言で観客を惹き込み、ステージが幕を開けます。
さっそく一曲目に入ります。『SAKAMOTO DAYS』より、メインテーマ「Out of this world」。疾走感あふれるクールなナンバーで、一曲目から空気を一変させました。
続いては「最近、新しい代表曲になったと思えるお気に入りの作品」として、『メダリスト』から三曲続けて披露。
1曲目「Morning Comes」では、Ayasaさんが衣装を変えて再登場し、繊細なヴァイオリンの旋律を響かせます。照明やペンライトが青や水色に染まり、まるで会場全体がスケートリンクになったかのようで、会場も心なしかひんやりとしているように感じます。
演奏後、林さんは「後半、泣きそうになりました」と語り、最終回では「しょぼしょぼに泣いた」とも明かしました。
2曲目の「“The Flower Fairy“ from the film, THE LAND OF CANON AND BARRE」では新たなボーカルのダニエラ・あいこさんが登場。雄大で優美な歌声と、床に映し出される氷模様の影、氷の上の霧のように見える白いライトで幻想的な世界を作り出します。
3曲目「Go For The Gold」では男性ボーカルのJonさんが登場し、登場キャラクター・鴗鳥理凰の演技曲を熱唱。曲中では客席に降り立ちながらセリフ調の語りパートを挟み、情感豊かな表現で観客を引き込みました。
メダリストの三曲が終わると、そのまま『アークナイツ』パートへ突入。まずは「アーミヤ」を披露し、繊細でドラマチックなサウンドが会場を包み込みます。
続く「Fleeting Wish」では、ボーカルのKOCHOさんが登場。透明感のある歌声で静かな情感を描き出し、観客を幻想的な世界へと引き込みました。
林さんからは、10月4日に行われる『アークナイツ』TVアニメシリーズ・フィルムオーケストラコンサートの開催、さらに11月4日のシンガポール公演情報も告知されました。
次に『ハイキュー!!』パートへ。その前振りがあまりにも完璧でした。林さんが突然「バレーボールは好きですか?」と問いかけると、観客はすぐに察して歓声を上げます。間髪入れずに「ハイキュー!!は好きですか!」と続けると、客席はさらに大きな歓喜の声に包まれ、一気に熱気が高まりました。そのまま勢いそのままに演奏へと突入します。
ハイキュー!!からは三曲一気にメドレーで披露されます。劇場版『ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』より、「ごほうびタイム-Type A-」「わくわく」「コンセプトの戦い」をメドレーで披露します。
林さんは、演奏の前に曲名を告げるスタイルのため、タイトルが告げられた瞬間、ファンからは熱い声援が送られました。
Ayasaさんも客席に降りて演奏し、ペンライトはオレンジを中心に、紫・赤・ピンクとさまざまな“推し色”が輝きました。演奏後、「(このイベントは)劇伴作家の“ごほうびタイム”だと思っております」と、曲名に掛けたコメントで笑いを誘いました。
そして、いよいよあの作品のパートです。林さんが再び「ヒーローはお好きですか?」と問いかけると、観客は「待ってました!」と言わんばかりの大歓声。続けて「ヒロアカはお好きですか!」と叫ぶと、会場は大絶叫の嵐に包まれます。
ヒロアカ一曲目は、スピンオフ作品『ヴィジランテ–僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』より、メインテーマ「VIGILANTE SQUAD」です。
Jonさんはキャップを被ってストリート感を漂わせながら再登場し、ラップ調の楽曲をクールかつロックに歌い上げます。歪んだエレキギターがかき鳴らされ、ヴィランらしい荒々しくもスタイリッシュなサウンドが響き渡ります。
Jonさんも林さんも客席に降り立ち、「後ろのみなさんどうですかー!」と観客を煽り、会場のボルテージは一気に最高潮に達しました。
続いて本編『僕のヒーローアカデミア』より三曲、「Go Beyond‼」「OCHAKO URARAKA VS HIMIKO TOGA」「六等星」を披露。
「Go Beyond‼」は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』のために書かれたものの、本編では未採用となった曲。
今回は特別に映画映像を使用し、林さんが本来意図した形での演出が実現しました。その話を聞いて、観客からは大歓声が上がります。演奏中は出久の覚醒シーンに合わせてペンライトが緑に染まりました。
続く2曲では、麗日お茶子とトガヒミコの名シーンが映像とともに展開され、会場は号泣必至の感動に包まれます。3曲目が終わる頃には、会場にいる全員が涙していたと言っても過言ではありません。悲しさの中に温かさが宿るメロディが心を揺さぶり、感情が渋滞して鳥肌が止まりません。
最後の曲「Jet Set Run」では、誰もが聞き覚えのある“ヒロアカらしい”熱いナンバーで堂々の締め。手拍子と歓声に包まれ、熱は最高潮のまま演奏を終えました。
演奏後は出演者紹介が行われ、全員がステージに再集合。
村山さんは「一番最初に弾いていた村山です」と笑いを誘い、「この公演が皆さんの人生のサウンドトラックになれば嬉しい」と名言を残します。照井さんは「皆さんのステージを堪能させてもらいました」と謙虚に語り、和田さんは「おじさん頑張りました(笑)もうヘロヘロです」と笑いを取ります。
高梨さんは、今回のイベントを実現した懐刀株式会社さんやスタッフの方々への感謝を述べるとともに、「イベントを育てるのはお客さん」と語り、観客にも感謝の気持ちを伝えていました。さらに恒例となっている「ゆうきコール」の音頭を取り、林さんを称えました。
最後に林さんがマイクを取り、「出演してくださった皆さん、素晴らしい演奏をありがとう。裏で頑張っているすべてのスタッフにも感謝します」と挨拶。
「地元・京都でこうしたイベントを育てていきたい。来年は東京でもやります」と語り、観客から大きな拍手が起こりました。
ラストは全員での写真撮影タイム。
「また最高の劇伴仲間を集めて、楽しんでいただけるものを一年かけて作っていきます!」という林さんの言葉で締めくくられました。
退場後には、スクリーンにエンドロールとリハーサル映像が流れ、感動の余韻に包まれたまま幕を閉じました。
林さんの言葉で締めくくられた今年の京伴祭は、まさに“劇伴音楽とアニメへの愛”に満ちた一日となりました。作品を支える音楽の力、そしてその世界を全身で受け止める観客の情熱が響き合い、会場は最後まで温かな感動に包まれていました。
読んでくださった皆さまにも、この熱気と感動が少しでも届いていれば幸いです。
最後に、本公演を彩った出演者・演奏者の皆さまのお名前を以下に記します。
バンドメンバー
Bass:田辺トシノ さん
Drums:山本真央樹 さん
Guitar:遠山哲朗 さん
Keyboard:大嵜慶子 さん
Trumpet:真砂陽地 さん
Sax:中村有里 さん
Strings(Jillストリングス)
Violin(Top):Jill さん
Violin:星野沙織 さん
Viola:惠藤あゆ さん
Cello:平松由衣子 さん
Contrabass:長谷川ジャッカル慧人 さん
◎照井順政さんステージ
Bass:山崎英明 さん
Vocal:みきまりあ(NOMELON NOLEMON) さん
Vocal:KOCHO さん
◎高梨康治さんステージ
Guitar:藤澤健至 さん
Guitar:若井望 さん
三味線:-KIJI- さん
太鼓:黒流(和楽器バンド) さん
Vocal:Juno さん
Solo Violin:Ayasa さん
◎林ゆうきさんステージ
Vocal:Jon Underdown さん
Vocal:ダニエラ・あいこさん
Vocal:KOCHO さん
Solo Violin:Ayasa さん