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「A 5th Of BitSummit」に出展した外国人開発者達はビットサミットで何を感じたか 不平・不満から来年に向けての期待まで

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10回に渡り、「A 5th Of BitSummit(以下、ビットサミット)」に出展した外国人開発者達から色々と話を聞いてきました。ビットサミットは、2013年に「国内のおもしろいインディーゲームを海外に向けて発信していく」という趣旨のもと始まったイベントですが、年を追うごとに国際色豊かになってきているようです。AppStoreやSteamなどの流通プラットフォームの登場、任天堂やソニーの独立系開発者への門戸開放、大手ゲーム企業からの人材流出、UnityやUnrealなどのゲームエンジンの無料化、クラウドファンディングによる資金調達の容易化といったことを背景に、インディーゲームのシーンは日本のみならず世界中で盛り上がってきています。

Q1:今年のビットサミットに対する不満や不自由だと感じた点

  • 「開催期間が2日間は短い。日本(京都)までわざわざ出向くので最低3日間は欲しい」
  • 「出展料など詳細に関する案内が来るのが遅かったので、もっと早めに情報を提供して欲しい」
  • 「ブース設置当日の午後5時~7時にメディアが会場に来るので取材されるチャンスだと聞いていた。7時半まで会場にいたけど誰も来なかった」
  • 「会場にコーヒーや軽食を買う場所がないっ!」
  • 「メディアの存在感が薄かった気がする」
  • 「ブースに用意された椅子だけど、背の高い外国人用に椅子の高さをもっと高くして欲しい。会場の床が固いので立ち続けるのはツライものがある」
  • 「日本には伝説的な開発者がたくさんいるので、カジュアルに交流出来る機会を設けて欲しかった。特別ゲストとしてでもいいし、講演者としてでもいいので。レジェンド的な日本人開発者は私達全員にインスピレーションを与えてくれる存在だからね」
  • 「概ね満足しているので特にないかな」
  • 「通訳にはものすごく助けてもらったけど人数はもっと多いほうがいいんじゃない。通訳見つけるのに苦労したこともあった」
  • 「アワードや賞はもっと多いほうがいいね」
  • 「他のブースで設置したプロジェクター、テレビ、スピーカーなどの場所が悪く、自分たちのブースの邪魔になることがあった」
  • 「通訳の人のサポートは心強かったけど、通訳の人が少ない」

Q2:ビットサミット主催者に対する提案や対案

  • 「海外メディアをもっと呼び込んだほうが良い。日本のインディーゲームが英語で紹介されることになるのでにも日本人開発者にとっても絶対プラスになると思う」
  • 「日本人だけでなく外国人も多く参加するイベントだということを意識して、多様性(ダイバーシティ)に対応出来るよう努力して欲しい」
  • 「イベントなのでいろいろと変更点が出てくるのは理解出来るが、全て決まってから出展者に情報を一気に公開するのではなく、決まったことから早めにどんどん情報公開や案内をしたほうが良い」
  • 「自分なら出店とか飲食可能なスペースを設けるね」
  • 「もうちょっとスポンサーを多く獲得すれば資金的に余裕が出来るので、色々と出来ることも増えると思う」
  • 「通訳はもっと増やしたほうがいいだろうね」

Q3:来年のビットサミットに期待すること

  • 「開催日を3日間に延長して、メディアの人数が増えて取材される機会がもっと増えればいいなと思う」
  • 「開催日程、会場が京都だということ、会場のサイズ感なんかは文句なし。来年は今年以上に人気や熱気のあるイベントになってもらいたい」
  • 「来年のビットサミットも今年の続きのような感じでいて欲しい。であれば来年も必ず参加したい」
  • 「クレームはいろいろとあったと思うけど、そこは改善して今年以上に盛り上げて欲しい。来年も参加を予定しているし」
  • 「メインはあくまでインディーゲームだと思うので、メディアには任天堂やソニーのブース以外で展示しているゲームももっと取り上げて欲しいかな」
  • 「来年も参加すると決めているので、今年以上に熱いイベントになることを期待します」

こうして実際に出展した人達の声を拾うと、概ね好評だったようなのは間違いないようです。目立った不満となると、メディアと言葉の壁からくるコミュニケーションに関することでしょうか。英語が苦手な日本人記者がただゲームを試遊しただけで、日本語が話せない開発者に話を聞かなければ、開発者は「取材された」とは感じないでしょう。日本人記者からすれば、すでに何度もコミュニケーションを取ったことがある日本人のイベント関係者や企業担当者から話を聞くのが一番効率的ですし、なんといっても楽です。

メディアとはいえ企業なので、経費的な問題もあるでしょう。実際、メディアの多くは東京に集中しており、1泊2日の日程で記者を何名京都まで取材に行かせるかは、新幹線などの交通費、ホテルなどの宿泊費、出張手当、日当、食事代など、企業としてどれだけ経費をかけられるか次第となってきます。記者を1人しか取材にいかせることが出来なければ、当然1人の記者がカバー出来る範囲は狭くなってきます。

メディア関係者は東京ゲームショウのように事前登録してメディアパスを貰って会場入りという流れだと思いますが、英語が苦手なメディア関係者も多いと思うので、専属の通訳を1社につき1人用意するとか解決策は結構あるかと思います。ざっくりと日本国内のメディアが報道したビットサミット関連の記事を見てみましたが、言葉の壁があることに加え既存の付き合い(大人の事情というやつです)があるからか、日本人開発者や日本企業に関する記事が多かったようです。

ビットサミット関連記事で掲載本数が多かった順に記事を並べてみると、以下のようになりました。読者受けやPVを考慮すると、こういう順番になるのも致し方ないのかもしれません。単独でビットサミットに出展した外国人開発者のゲームに関する記事が一番少なかったので、メディアに対して不平・不満の声があがるのも当然と言えば当然でしょうか。

  • 1. 主催者や出展者からのプレスリリースをそのまま掲載した記事
  • 2. ステージイベントに関する記事(登壇者への取材・インタビュー含む)
  • 3. 任天堂やソニーなど大手企業のブース紹介記事(関係者への取材・インタビュー含む)
  • 4. 日本のパブリッシャーのブース紹介記事(関係者への取材・インタビュー含む)
  • 5. VRゲームの紹介記事
  • 6. 独自にブース出展した日本人開発者のゲーム複数を1つの切り口(ジャンル別など)でまとめた記事
  • 7. 独自にブース出展した外国人開発者のゲーム複数を1つの切り口(ジャンル別など)でまとめた記事

「国内のおもしろいインディーゲームを海外に向けて発信していく」というビットサミットが始まった当初の理念に照らし合わせると、「海外メディアをもっと呼び込んだほうが良い」という声は無視してはいけないかもしれません。いくらインターネットを通じて情報が世界中を駆け巡る時代になったとはいえ、日本語で情報を発信しても受け皿となる日本語が理解可能な人口はたかだか1億数千万といったところです。ところが、英語で情報を発信すると受け皿となる人口は10億人以上と10倍以上になります。ユニークな日本のインディーゲームを海外メディアを通じて英語で紹介してもらうことで、新たなビジネスチャンスも産まれてくることでしょう。

外国からの出展者が増えることで気をつけなければいけないのは、多様性(ダイバーシティ)対応でしょうか。日本社会は幼稚園から老人ホームまで、いたるところで「皆と同じ」といった画一的な社会構造となっています。幼稚園の時から「1人1人が違う個性を持った人間」という多様性を尊重する考え方のもと、成立しているのがアメリカなどの多民族社会です。流行語にもなった「おもてなし」ですが、それぞれニーズが異なる1人1人の人間に対応できるかどうかが本当の意味でのおもてなしではないでしょうか。ただ、まだまだ多様性には慣れていないのが日本の現状なので、この問題の解決には時間がかかりそうです。

自分たちがつくりたいゲームをつくる。インディーゲームの存在意義はこの1点に尽きるのではないでしょうか。大手ゲーム会社で仕事をしていようと、インディーの開発者だろうと、ゲームに関わる人々にとって今のゲーム業界の礎を築いた任天堂の本社がある京都はまさに聖地だと言えるでしょう。外国人開発者であっても、日本のゲームに影響を受けていない開発者は数えるほどしかいないのではないでしょうか。そんな熱量を持った人々が世界中からビットサミットというイベント目がけて京都に集結するわけです。盛り上がらないわけはないですよね。

面白いゲームに国境はない、ということで来年のビットサミットも今年以上の盛り上がりを期待しましょう。

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