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学生の手でつくるインディーゲーム展示会「ゲームジャム有志展 –京都編–」レポート 受賞歴作品含む新進気鋭の12作品が!【BitSummit関連情報】

学生クリエイターたちの斬新なアイデアと情熱が詰まったゲームが集結する「ゲームジャム有志展 –京都編–」が、2025年10月25日と26日、京都国際マンガミュージアムで開催されました。
日本最大のインディーゲームイベントの一環、「BitSummit Game Jam」で生まれた学生チームの力作の全12作品がプレイできるかたちで出展。表情で操作するゲームや、専用コントローラーを使う作品など、学生ならではの自由な発想が光るゲームに、多くの来場者が触れ、交流する機会となりました。この記事では本イベントの様子をレポートします。
「ゲームジャム有志展 –京都編–」とは

「ゲームジャム有志展 –京都編–」は、複数の大学などの学生たちが協力して制作したゲーム作品を展示し、実際にゲームをプレイすることができるイベントです。京都精華大学のマンガ学部キャラクターデザインコースとメディア表現学部イメージ表現専攻が共催しました。
会場では、学生たちがチームを組み、3か月間にわたる制作活動を経て完成させたゲーム作品を展示。これらのゲームは、日本最大のインディーゲームイベント「BitSummit Game Jam」で発表された学生チームの力作が集まりました。
学生ならではのフレッシュなアイデアと情熱が詰まった作品は、国内外で注目を集めてきました。今回の展示では、2024年および2025年の「BitSummit Game Jam」で出展したゲームから選出された12作品を体験することができました。
BitSummit Game Jamとは
「BitSummit Game Jam」は、日本のインディークリエイターを世界に紹介してきたBitSummitが、若手の人材育成の機会を提供するイベントです。2025年のテーマは『spooky and weird 妖+妙』。
若いクリエイターがグローバルな視点や多様な価値観を受け入れ、ゲームという共通言語を通じて国内外の参加者と交流できる人材に育つことを目的にしています。開発したゲームをBitSummit本番で展示するチャンスを提供し、クリエイター支援を行っています。
詳細は「BitSummit Game Jam」公式ページをご覧ください→https://www.creators-guild.com/bitsummit-game-jam-2025
なぜ「マンガ」ミュージアムでゲームのイベントを開催するのか?

「ゲームに関連するイベントが、なぜマンガを専門に扱う京都国際マンガミュージアムで開催されたの?」という疑問を抱く方もいるかもしれません。この問いを解決するには、ゲームというメディアが持つ性質やパワーを考える必要があります。
マンガはコマ割りといった側面だけでなく、ストーリーを伝えるメディアとして機能しています。古くは葛飾北斎が『北斎漫画』として、現実世界を生きる人々、そして様々な伝説の生き物を描きました。
彼の作品のような、ある世界に没入できるメディアの在り方が、テクノロジーの進化によって変遷をたどって来ました。アニメーション、イラスト、3DCGなど、たくさんの技術が合わさってゲームは成立しています。特に画面に連続性があるゲームは、マンガというメディアのつくり出す「体験」の価値を拡張するかたちで、今日の生活に根付いてきているのです。
ゲーム内に登場するキャラクターについても、ただ画面の中で動くプレイヤーを制限する存在と考えるのではなく、現実世界とのかかわりの中で体験の自由度を拡張する存在として考えれば、新しい発見があるかもしれません。
展示作品のご紹介
会場には12種類のゲームが並び、開発に携わった学生が来場者の対応に当たりました。会場には、ゲーム好きの小さな子供や観光で偶然訪れた外国人観光客をはじめ、大学の進路を考えに訪れた高校生など、様々な人々が集いました。
展示された全12作品について詳しくは、こちらから確認できます。
BANg BANg Streaming

「BANg BANg Streaming」は、自作のコントローラーを使って神配信者を目指す、2Dタワーディフェンスゲーム。BitSummit Game Jam 2024グランプリ受賞作品です。
写真にあるような大掛かりなコントローラーは、柔軟な発想と売上げなどに縛られなくてよい学生が開発するインディーゲームだからこそ実現できると言えます。「触る」をキーワードに、身近な体験に似た動きを、老若男女問わず楽しむことができるのがポイント。
特に、2025年のBitSummitでは「特殊デバイス」コーナーが大々的に設けられたこともあり、今後オリジナルコントローラーの裾野が広がっていくことを期待したいです。
ドリームメーデー

「ドリームメーデー」は、プレイヤー同士の会話を通じて異変の解決を目指す、2人用協力コミュニケーションゲーム。BitSummit Game Jam Award 2025受賞。
「今までにないゲームは何か?」という出発点から、モニターを2枚使い、さらにコミュニケーションそのものを操作の手段とした、画期的な作品です。2枚の画面には、それぞれ夢の世界と現実世界の全く別の世界が映るので、プレイヤーの積極的な発言で認識をすり合わせていくのがハイスコアを取るコツ。
また、BitSummit Game Jamが初めてチームでゲームを制作する経験になったメンバーも在籍し、その楽しさと難しさを教えてくれました。
お話を聞かせてくださったリーダーの今村零さん(https://x.com/R_IMAMURA0002)と、プログラマーリーダーの棚橋良将さん(https://tanahashi415.github.io/)、ご協力ありがとうございました!
YaoyoroZoo

「YaoyoroZoo」は、プレイヤーの表情がカギを握る2Dアクションゲーム。神ゲー創造主エボリューション2025年ファイナリスト作品。
従来のコントローラーでの操作に加え、ゲーム内のギミックを表情で制御するという、新感覚の操作方法でステージクリアを目指します。画面のWebカメラに向かって瞬きをしたり口を開けたりして、様々なギミックを動かします。
「(今回の展示を通して)自分たちのつくるゲームが、どういった視点からプレイヤーに評価してもらえるのかに興味がある」と話してくれたのは、プログラムを担当したsamirin33さん(https://x.com/samirin33)。来場者に実際に遊んでもらって得られる感想が、samirin33さんのゲーム制作の原動力になっているようでした。
学生が開発したゲームを使ったスコアアタック大会も開催

学生たちによる展示だけでなく、会場の大画面を使ったスコアアタック大会も実施されました。取材時に行われていたのは「わっしょい! カミオコシ」の大会。
実況は開発者の学生が務め、偶然会場に居合わせた数人がスコアを競い合いました。見事なプレイが出るたびに拍手が起こるなど、まるでe-sports大会のような盛り上がりを見せていました。
体験の拡張と、若き才能が掴んだ手応え
出展した学生それぞれが、対面での交流ができる「ゲームジャム有志展 –京都編–」でしか得られない経験を持ち帰ることができたイベントとなりました。自ら手掛けた作品を、子供から大人まで国籍を問わない来場者に遊んでもらい、その場で表情を感じ取り、感想を受け取ることで、「ゲームジャム有志展 –京都編–」は、BitSummitの延長として機能し、若手の人材育成に貢献したことは間違いありません。
また、マンガとゲームの共有する、体験というメディアの価値についての理解も深まりました。専用コントローラーを触る体験、表情でギミックを動かす体験、会話で操作する体験など――これらは、マンガが提供してきた没入体験の、現代における拡張といえます。技術と学生の柔軟な発想が組み合わさることで、ゲームというメディアがいかに体験の自由度を広げているかを発見できるイベントとなりました。


