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【京都ヒストリカ国際映画祭】 ディレクターズユニブ板倉様インタビュー前編。時代劇を扱うユニークな映画祭を創りたい。運営のまとめ役として大切なこととは
- 2021/12/22
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今回は、ディレクターズユニブ板倉様にインタビューしました。
Q 板倉さんは今回のヒストリカ映画祭でどのような役割を担当されているのか教えていた
だきたいです。
板倉一成氏(以下、板倉) 映画祭では事務局を担当しています。一般的に、映画祭は、映
画祭の内容を企画する側と、映画祭を運営する側の2つに分けられるのですが、私は運営サ
イドの仕事のまとめ役をやっています。
Q 映画祭の事務局ではどのような仕事があるのでしょうか?
板倉 まず映画祭を運営するのには運営資金が必要なので、そのために補助金を申請するな
ど、外部資金の獲得を行います。そこから予算管理、広報や営業、会場選び、会場の演出・
装飾、ゲストのアテンドなど、開催に必要な全てのことを行います。僕の仕事は映画祭の運
営において、適材適所、人や予算を配分していき、映画祭や上映の企画がより良く、スムー
ズに進ように調整していくことです。
(映画祭のまとめ役としての運営)
Q 運営チームの規模はどの程度ですか?
板倉 大体10人ぐらいです。うちの会社のスタッフが5人ぐらい、それ以外で5人ぐらい
が映画祭の当日まで動いている人数です。その人たちがマルチに広報や営業、当日運営など
色々な役割をこなしています。企画は、僕と、東映の高橋さん(編注:東映京都撮影所スタ
ジオ事業部(部長) 高橋剣氏 以下、高橋さん)と、京都文化博物館の森脇さん(編注:
京都文化博物館、学芸課映像情報室長 森脇清隆氏 以下、森脇さん)の3人で決めていま
す。
Q 運営のまとめ役として重要なことはなんでしょうか?
板倉 運営のまとめ役は企画の理解が大変重要になります。特に広報は、この企画をどうし
たらお客さんに届くかというのを考え、担当とディスカッションして、プレスリリースや広
報物などを作ります。良い企画を成立させるには良い運営が必要であると思ってます。もち
ろん、逆も然りです。
Q ヒストリカ映画祭を運営する上で、悩ましいと感じている事はありますか。
板倉 今の悩みは、毎年、映画祭のアンケートには「この映画がよかった、このゲストの話
が面白かった」など、個別の作品の感想については書いて貰えるんですが、「映画祭のここ
が楽しかった」という感想が少ないという点です。もちろん、上映作品に期待して来場いた
だくのは嬉しいのですが、運営する仕事としては、もっと作品以外にもこの映画祭を楽しん
でもられることを考える必要があると思っています。
今年はそれらの課題をスタッフと共有して、少しずつ改善を図っています。映画祭のロゴの
刷新や配信企画の実施、会場装飾の検討など、色々とアイディアを出し合いながら、できる
ところから始めています。これまでは映画に詳しくないからということで、映画祭の仕事に
気後れしたスタッフもいましたが、映画祭を楽しんでもらう仕事においてはあまりその点は
関係なく、スタッフも前向きに業務に当たってくれています。今年はぜひ、去年からの変化
を感じてもらえる映画祭にできればと思っています。
(ユニークな映画祭を作る)
Q 時代劇が国際展開する上でヒストリカとして何ができるかお教えください。
板倉 現在、時代劇は映画で出会うよりも、アニメや漫画、ゲームで時代劇に出会う機会が
多く、また世界のユーザーを魅了しているという現実があります。加えて、それらの作品は、
必ずしも日本で作られたとは限りません。もはや時代劇は日本の専売特許とは言いにくい状
況かもしれません。そういった中で、世界に羽ばたいていけるような時代劇を作るにはどう
したらいいのか?ということを制作者と一緒に考えたいとスタートしたのがこの映画祭です。
そのために、この映画祭は、上映だけでなく、「京都フィルムメーカーズラボ」(編注:時
代劇制作ワークショップ)や「京都映画企画市」(編注:時代劇企画ピッチングコンテス
ト)、「上洛まつり」(編注:コスプレイベント)、「HISTORICA XR」(編注:AR/VR
のセミナー)など、多面的に時代劇を通して国内外と接続できる事業を展開してきました。
国というボーダーや、映画やアニメ・ゲームなどのジャンルのボーダーなどを越えて、時代
劇について学び、刺激し合い、交流できる映画祭にしたいなと思っています。ぜひこの映画
祭でヒントを見つけて、新しい時代劇を作って欲しいです。
Q そう考えるに至った理由をお教えください。
板倉 この映画祭を始める少し前に、映画村では「戦国まつり」(上洛まつりの前身)が始
まり、「戦国BASARA」や「銀魂」、「NARUTO」など、時代モノの作品のコスプレイ
ヤーを拝見する機会が増えました。僕は純粋に、こんな作品の楽しみ方もあるんだなと思う
一方で、映画祭を初めてすぐに、テレビでは大河ドラマを除いて地上波のレギュラーで時代
劇の番組がなくなり、時代劇の衰退を多くのメディアで語られました。
このような時代劇を取り巻く変化の中でヒストリカを立ち上げました。ヒストリカは京都で
作られた過去の時代劇もすごく大切にはしていますが、当初から「新しい時代劇を作るた
め」という未来志向であろうと心掛けてきました。繰り返しになりますが、そのために時代
劇は映画だけでなく、アニメやゲームなどの隣接したジャンルからも学ばなきゃいけないと
いう考えがあり、アニメ作品の上映や漫画家を招いたトークショーなどを行ってきました。
また海外で歴史映画を作っている監督やクリエイターを招聘し、シンポジウムなども実施し
てきました。
Q ヒストリカ最大の特徴は、実際に映画制作に携わっている人が主体的に、主催者側に
回っているのが特徴だと思います。板倉さんなりのヒストリカと従来の映画祭との違いをお
教え下さい。
板倉 この映画制作に携わっている人というのは太秦の撮影所の方々かと思います。これは
少し質問から外れるかもしれませんが、今は京都文化博物館を会場にしていますが、3回目
までは東映京都撮影所、松竹撮影所の両撮影所の試写室を使い、開催していました。今思え
ば、大変ユニークで、時代劇を取り扱う映画祭にふさわしい、どこにもない映画祭だったの
ではないかと思っています。
そこには京都府の山下副知事(編注:京都府副知事、山下晃正氏。京都府企画理事などを経
験)の「作り手が楽しめる映画祭を作ろう」という言葉があり、今でも当時の映画祭に参加
した監督やクリエイターなどからは、撮影所でガンガンを囲って暖をとっていたことや、撮
影所のステージでの打ち上げのエピソードなどが語り草になっています。
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