今回、京伴祭と京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)がコラボするこということで、作曲家の林ゆうきさんに色々なお話を伺いました!このインタビューでは、京伴祭を開催するにあたって、成功するチャンスを掴む秘訣や夢を追う力について語っていただきました。前編と後編がございますので、どちらもぜひチェックしてください!
また、最後に京まふ2023直前イベントのご案内もございますのでそちらもご覧ください。
―林ゆうき さんは、元新体操選手ということですが、新体操選手から作曲家を目指すきっかけは何かありましたか?
僕は子どもの頃からピアノを習ってたとかそういうことではなく、大学3年生の終わり頃に音楽をはじめました。男子新体操をしていたのですが、自分たちで踊りたい曲を探すうちに、同じ演技なのに伴奏曲が違うと演技がガラッと変わるのがすごく面白くて。
新体操の伴奏曲専門のアレンジャーさんたちに頼んでも、自分が思ってるようなイメージにならなかった。ただ、これまで音楽をやってきていなかったので、自分の言葉で具体的な指示を伝えられないことがもどかしくなって、そこで編集をやってみようと思ったことが作曲家を目指したきっかけですね。
―新体操選手としての経験は、音楽制作にどのように影響していますか。
ずっと音楽業界で働いている人だと出てこないアイデアが出せたり、基本に忠実じゃないところが評価されているのかなと。
元は音楽を使う側の人間だったので、映像に合う音楽がないから自分で作り始めた、という考え方が、監督やプロデューサーに「面白い」と言ってもらえていると思います。
―私は林ゆうきさんが手がけたドラマの音楽が大好きなんですが、アニメ作品以外に
幅広い映像作品で活躍される中で、違いはありますか。
アニメでもドラマでも作曲家と別に音響監督がいるんですが、ドラマだと納品した30曲、アニメだとドラマよりも場面展開が多いので、尺が短い代わりに曲数が多く、50、60曲をどのシーンにあてはめる、みたいな感じで使って楽曲を作っていきます。
―納品された曲が結果的に使われない事もあるんですか?
僕らは自分が作った曲が使われているかがわからないんです。「※ステム納品」をしていることに結構驚かれるんですけれど、各トラック(収録音)をバラバラに分けて納品しています。アニメではフィルムスコアリングしたように僕らの曲を使っているので、そういう多様性というか、展開に合わせて楽曲利用ができるようになっています。
―競技系ダンスの伴奏音楽制作と映像の劇伴音楽制作において共通する点はありますか?
クライアントオーダーしたものに対して最適な音楽を作ることが、どちらにも共通して大切なことかなと思います。
クライアントには音楽に専門的な知識がない人も多いので、どんな音楽が求められているかを、ちゃんと理解してあげることが一番大事ですね。例えば、ある監督が「ここはロックの曲が欲しいんだよ」と言った時に、その人が思い浮かべてるロックの曲と、僕が思い浮かべてるロックの曲は全然違うことが多い。結構抽象的なこと言われることも多いので、そういう時に具体的な音を提示してあげるとイメージ通りのものができるし、クライアントが上手くイメージできないような音を作ってあげると「予想よりずっといいものができました」、と言ってもらえる。
―アニメとかドラマの音楽を制作するとき、シナリオや漫画を読み込んだりするものでしょうか?
読み込む場合と読み込まない場合があります。
読み込むときは、やっぱり好きなもの作った方が楽しいじゃないですか。自分が好きになってその作品のために何か作る方が楽しい。このキャラのことがすごく好きになったから、こいつの曲、いいモノを作ろうとなるし、楽曲のアイディアが出てきたりとかするので、自分の作る作品を理解するために読み込んでいます。
ただ、監督やプロデューサーに話を聞く前はあまり読み込まないようにしています。例えば原作があるものを作るときに、原作に忠実に作りたいのか、原作とは違う発想で作りたいのか、それによってイメージが変わってくる。そんな時に原作が大好きになっていると、自分が「原作厨」みたいな感じになっちゃうんですよ。そうなると異なった発想が出にくくなるので、それを防ぐために意図的に読み込まなかったりはしますね。
―具体的に読み込まずに作った作品は何かありますか?
ポケットモンスターとかかな。歴史が長い作品ですが、今までとイメージを刷新したいという思いが合ったので。
あとは、アニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」ではプロデューサーから、旧来のファンの人ももちろん大事にしつつ、今いる子どもたちにも楽しんでもらえる作品にしたいという要望があったので、そういう時はもう読み込まないで自分の思う作品を作ったりします。
―元々アニメの劇伴音楽やアニメに興味はありましたか?
この仕事をするまでは、あまりアニメや劇伴音楽に興味はなかったです。自分が男子新体操を始めて、音楽をちゃんと使うようになってから、映像と音楽が一緒になった時にプラスじゃなくて『×(カケル)』になる瞬間があって、1秒楽曲がずれるだけで、何とも思ってなかったものが、鳥肌の立つような瞬間になったりもするので、劇伴でもそうものを作れたら楽しいなと思って音楽をやってるところがあります。
後編へ続きます…
【後編】作曲家・林ゆうき氏 京伴祭直前インタビュー(京まふ2023連携企画) | KYOTO CMEX(京都シーメックス)ポータルサイト
<林ゆうき氏 プロフィール>
京都市北区出身(加茂川中学校、紫野高等学校、東洋大学卒業)。
元男子新体操選手、競技者としての音楽の選曲から伴奏音楽の世界へ傾倒していく。
音楽経験は無かったが、大学在学中に独学で作曲活動を始める。卒業後、競技系ダンス全般の伴奏音楽制作を本格的に開始。
さまざまなジャンルの音楽を取り込み、元踊り手としての感覚から 映像との一体感に重きを置く、独自の音楽性を築く。アニメファンを中心に海外にもファンが多く、Spotify(スポティファイ)※による「海外で最も再生された国内アーティスト(2020年)」では第6位にランキングされた。
~代表作~
NHK連続テレビ小説「あさが来た」、ドラマ「リーガルハイ」、「あなたの番です」、「真犯人フラグ」、アニメ「ハイキュー!!」、「僕のヒーローアカデミア」、「ポケットモンスター」、「ワンピース フィルムゴールド」等
<京まふ2023直前イベントのご案内>
【京まふ2023直前イベント】林ゆうき氏×島津真太郎氏対談イベント開催!~アニメの劇伴音楽が秘める可能性~ | KYOTO CMEX(京都シーメックス)ポータルサイト
<参考>
~京都国際マンガ・アニメフェア(通称:京まふ)~人気作品のブース出展や豪華声優によるステージイベントに加え、京都ならではの伝統工芸体験など、京都のコンテンツ市場の拡大を目的とした西日本最大規模のマンガ・アニメ・ゲームの総合見本市。今年12回目となる「京まふ」は、過去最多の企業・団体が出展し、話題作から新作までが一堂に京都に集結します。
開催日:令和5年9月16・17日 (土・日)
開催場所:
・みやこめっせ/ロームシアター京都(メイン会場)
09:00~17:00(17日は16:00まで) ※入場は終了の30分前まで
・京都国際マンガミュージアム(第2会場)
10:30~19:30 ※入場は終了の30分前まで
・梅小路公園(サテライト会場) ※「京伴祭」開催会場
13:00開場/14:00開演/18:45終演(予定)
入場料:公式ホームページをご参照ください
公式HP:https://kyomaf.kyoto
「KYOTO CMEX」ポータルサイトでは、マンガ・アニメ、映画・映像、ゲーム、クロスメディアの情報を発信する京都発のポータルメディアです。SNSをフォローして掲載情報をチェック!(情報募集)