
京都府亀岡市の市職員が、行政が抱える「若年層の防災離れ」という課題を解決するため、生成AIとプログラミングを独学で習得し、RPG風防災啓発ゲーム「防災クエスト」を開発しました。「京都×ゲーム」の力で社会課題の解決に挑む、画期的な次世代型・防災教育ツールの全貌と、開発の裏側に迫ります。
【「高齢化する防災」の打破を目指した市職員の挑戦】
亀岡市をはじめ、多くの自治体が抱えている課題の一つに「地域防災の担い手の固定化と高齢化」があります。従来の防災訓練や講演会は、どうしても参加者が高齢層に偏りがちであり、幅広い世代が参加する「自助・共助」による地域防災力の向上が急務となっていました。
この現状を打破しようと立ち上がったのが、自治防災課に所属する小野直之主査です。「子どもたちが『難しい』『退屈』と感じがちな防災を、自発的に学びたくなるものへ変えたい」という強い思いから、プログラミング未経験でありながら業務の傍ら独学でスキルを習得。最新の生成AIを活用し、完全オリジナルの参加型コンテンツを作り上げました。
【子どもを夢中にさせる「防災クエスト」の全貌】
「防災クエスト」は、単なるクイズアプリにとどまらない、エンターテインメント性を重視した作りになっています。特に以下の2つの要素が、子どもたちの心を強く惹きつけています。
直感的なシステムと生成AIの活用
生成AIで作成された魅力的なキャラクターたちが登場し、4択の防災クイズに正解することでモンスターを討伐できる王道RPGのデザインを採用しています。動画エフェクトを駆使した迫力ある戦闘シーンなど、プレイを飽きさせない本格的な仕掛けが実装されています。
「地域密着型」の設問で自分ごとに
一般的な防災知識を問うだけでなく、亀岡市の地理的特徴や、地域特有の災害への備えに関連した「ご当地問題」を豊富に盛り込んでいます。これにより、プレイヤーはゲームを楽しみながら、自分たちのまちの安全を「自分ごと」として捉えることができます。
【国際会議や教育現場でも大反響!】
この取り組みは、すでに大きな成果を上げています。市内の小学校で行われた出前授業だけでなく、2025年8月に開催され、アジア各国の専門家が集結した「第1回国際安全都市アジア市民大会 in 京都・亀岡」の体験ブース等でも活用されました。
実際に体験した子どもたちからは、「防災って楽しい」「もっとクイズを解きたい」といった声が続出。従来の「教えられる防災」から、ゲームを通じて「自発的に吸収する防災知識」への転換を実現し、教育現場からも非常に高い評価を得ています。
【「セーフコミュニティ」としての今後の展望】
亀岡市は、2008年にWHO(世界保健機関)が推奨する「セーフコミュニティ」の国際認証を日本で初めて取得した都市です。2026年9月には「国際安全都市かめおか防災・安全安心フェスタ2026」の実施も予定されています。
個人の挑戦を後押しする組織風土から生まれた「防災クエスト」の大成功を受け、亀岡市は現在、交通安全に関する新たなゲームの開発も計画中とのことです。
【プロジェクト概要】
| 開発元 | 京都府亀岡市 総務部 自治防災課 |
|---|---|
| コンテンツ名 | RPG風防災啓発ゲーム「防災クエスト」 |
| 主な特徴 | 生成AIによるキャラクターデザイン、地域密着型のクイズ設計 |
| 活用実績 | 小学校での出前授業、第1回国際安全都市アジア市民大会 in 京都・亀岡 など |
デジタル技術(DX)とクリエイティブなアイデアを融合させ、全世代が安心して暮らせるまちづくりを目指す亀岡市。京都から発信される、コンテンツの力を活用した新しい行政のあり方に、今後も注目が集まります。


